スマホ家庭教師「manabo」が駿台グループ入り、リアル塾への国内外導入および新サービスも

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マナボ代表取締役の三橋克仁氏

スマホ家庭教師「manabo」を提供するマナボは6月6日、駿台グループによる買収を発表した。グループ内のIT関連開発を手がけるエスエイティーティーが5月31日付でマナボの全株式を取得して完全子会社化したもの。株式売却にかかる費用については非公開。

マナボの創業は2012年4月。同社代表取締役の三橋克仁氏は東京大学を卒業後、大学院在学中にスマホによるリアルタイムのオンラインチューターモデルを構想。内定していたコンサル企業などへの就職を辞退してスタートアップした。翌年にはサイバーエージェント・ベンチャーズから約4000万円のシード資金を獲得し、2014年にベネッセなどから3.3億円、2016年には増進会ホールディングスから2.5億円を調達した。

公表されているこれまでの累計の指導数は約20万回、登録講師数は3500名以上になった。主に塾や予備校などの法人向け導入が進み、今回のグループ入りにつながった。三橋氏の話では、駿台グループとは2017年前後から業務、資本の両方で話し合いが持たれていたそうだ。

「買収については(駿台以外にも)いくつかオファーを頂いていましたが、評価や今後のサービス展開、経営の自由度などの点で決定しました。特に教育サービスというのは『安かろう悪かろう』が通じない業界です。商品が同じでも信頼や実績があるないではパフォーマンスが変わってきます」。

マナボは以前にもベネッセや増進会(Z会)と資本業務提携しているが、オンラインチューターの仕組みは通信教育よりも実際に講師のいる「リアル塾」の方が生徒モチベーション維持の点で効果が高いという結果が出たそうだ。

三橋氏は現在31歳。もともと家庭が貧しいという理由で参考書を買うことができず、外的な理由で勉強が不自由になる悔しさを味わった。その経験がオンラインでいつでも先生に教えてもらえるスマホ家庭教師というアイデアに結実する。

しかし実際に事業運営してみると同じような理由で学べないという人は少なく、それよりも「そもそも学習意欲が低下している」という問題の方が大きいことに気がついた。これまでの資本提携は主にオンライン学習事業者との連携が中心だったが、最終的にリアル学習塾と手を組んだ理由はそこにある。

「リアル塾って先生がモチベーションを上げてくれるんです。manaboはそのモチベーション高い人をさらに上げるためのツールなので、相性がよかった」。

現在、両社では駿台グループを通じてmanaboの国内外利用拡大を進めるほか、新たなEdTech関連サービスの創出を狙う。

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