経産省、官民によるスタートアップ集中支援プログラム「J-Startup」を発表——初回には92社が採択、海外展開支援とユニコーン創出に注力

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J-Startup ローンチセレモニーの冒頭で挨拶する経済産業大臣の世耕弘成氏
Image credit: Masaru Ikeda

経済産業省は11日、日本のスタートアップの海外展開支援とユニコーン創出を念頭に置いたプログラム「J-Startup」を発表した。同日、都内で開かれた J-Startup ローンチセレモニーには、経済産業大臣の世耕弘成氏をはじめ、KDDI 社長の高橋誠氏、駐日フランス大使の Laurent Pic 氏、駐日インド大使の Sujan R. Chinoy 氏ら要人が駆けつけ、プログラムのローンチを盛大に祝った。

J-Startup は、経済産業省が JETRO(日本貿易振興機構)、NEDO(新エネルギー・産業技術綜合開発機構)らと共同で運営するスタートアップ支援プログラムの総称だ。ユニコーンや上場ベンチャー企業を2023年までに20社創出することを目標に、日本全国に約1万社存在すると言われるスタートアップの中から、有識者(投資家ら66名により構成)による評価・採点により、ロールモデルとなるスタートアップ約100社を採択し「J-Startup 企業」として認定する(今回の初回バッチでは92社が採択)。

採択されたスタートアップには、J-Startup ロゴの使用が許可されるほか、GITEX FUTURE STARS、WebSummit、SLUSH、Consumer Electronics Show、SXSW など世界的イベントに訪問・出展するツアーへの招致、JETRO 海外事務所に設置されるグローバルアクセラレーション・ハブの利用、大企業や省庁とのビジネスマッチング、補助金等の優遇措置や手続の簡素化、規制サンドボックスの積極活用、政府系海外ミッションへの参加などの機会が提供される。

J-Startup のスキーム
Image credit: METI

また、毎週木曜日の18時〜19時には、虎ノ門ヒルズカフェで有力支援者や有名起業家を招いた対談イベント「J-Startup Hour」が開催されるほか(Venture Café Tokyo の Thursday Gathering の1コマとして開催)、J-Startup の支援企業(J-Startup Supporters)105社からも、メンタリングや機材・設備提供などの優遇措置が提供される見込みだ。

経済産業省ではこれまで、グローバルな起業家育成を意図した「始動」、次世代を担う企業育成を意図した「飛躍 Next Enterprise」などのプログラム運営を行ってきた。また、経済産業省傘下の JETRO も独自に、有望起業家を海外のスタートアップ・カンファレンスに派遣するプログラムを展開してきた。今後これらのスタートアップ支援プログラムは、J-Startup という統一ブランドのもとに統合・整理され、より効果的な形での運営を目指すと見られる。

J-Startup のロゴ
Image credit: METI

J-Startup では、日本のスタートアップの海外進出と同時に、海外スタートアップや起業家のインバウンド誘致にも力点が置かれている。前出の JETRO のグローバルアクセラレーション・ハブの活用に加え、法務省との連携により、認定自治体において在留資格要件が緩和される「Startup ビザ」の運用も前向きに検討する考えだ。

J-Startup の話を聞くと、似た活動として韓国の中小ベンチャー企業部(日本の省に相当)が支援する K-Startup やフランスの Business France 傘下の La French Tech などの事例を想起させられる。世界各国で行われるスタートアップ・カンファレンスではここ数年、La French Tech のニワトリのロゴが目につくようになった。J-Startup のプレゼンスが名実ともにどこまで成長するか、今後の動向に注目したいところだ。

J-Startup ローンチセレモニーに集まった、J-Startup 企業や J-Startup Supporters の皆さん
Image credit: Masaru Ikeda

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