
Image credit: SenseTime(商湯科技)
急成長を続ける中国で画像・顔認識技術を牽引する SenseTime(商湯)は、シリーズ C+ ラウンドで6億2,000万米ドルの資金を調達した。Fidelity International、Tiger Global などが投資家として名を連ねた。Qualcomm Ventures も参加した。
新たな資本注入により、SenseTime の評価額は45億米ドルとなった。これまでに同社は総額16億米ドル以上の資金調達を行っている。パートナーと顧客には MIT や Qualcomm、NVIDIA、Huawei(華為)、Xiaomi(小米)、iFlytek(科大訊飛)などが挙げられる。
画像・顔認識技術は、強力なマーケット需要と将来性が見込まれている。ところが、AI 認識と AR の中国市場には、コアな高度技術を有するプレーヤーはあまり多くない。そのため、SenseTime のような巨大なプレーヤーにリソースと関心が集中する状況が続いている。業界企業各社が SenseTime との提携を望んでいることはもちろん、アプリケーション分野の企業も、同社とのビジネスチャンスを強くうかがっている。
結果として、SenseTime は2017年に大きな収益を記録。3年連続で400%の前年比成長率を維持し、2018年5月までの時点で、同社の事業契約収益は10倍以上も増加した。
実はこの成功は、中国公安部門での画像・顔認識技術の使用増加によるところも非常に大きい。SenseTime は現在、中国最大の地下鉄運営会社 Shanghai Shentong Metro Group(上海申通地鉄集団)との間で、交通モニタリングのための行政協力を結んでいる。
しかしながら、市場から高い評価を受けているソリューションプロバイダーは SenseTime だけではない。中国トップクラスの画像ソリューションと画像認識技術を誇る Face ++ も、シリーズ C で4億6,000万米ドルの資金を集めるなど莫大な資金を獲得している。また中国の警備・監視製品の研究・製造企業大手の Hikvision(海康威視)は、中国政府との緊密な関係を築いている。
中国のユニコーン企業への巨額の資本注入自体はそれほど目新しいことではない。その中で特に注目すべきなのは、ユニコーン企業のもつ、技術的優位性と成長力を維持する力だ。もちろん、投資家やマーケットが短期的に重視するのは、なにも事業収益性だけではない。とはいえ、その業界のビジネスと R&D において政府が積極的な役割を果たしている場合においては、短期に十分な収益をあげることがきわめて重要だ。
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