世界20カ国から新進気鋭スタートアップが参加したTechsauceのピッチコンペティション、音の力で身体の痛みを和らげる豪SzeleSTIMが優勝

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6月22日〜23日、バンコクで開催された Techsauce Global Summit のピッチコンペティションで、音を使って身体の慢性痛を和らげる技術を開発する、オーストラリアの SzeleStim が優勝した。

今回は例年を上回る20カ国で地域予選イベント(Roadshow)を行い、勝ち残った各国代表チームがバンコクに集結。予選で17チームにまで絞られ、さらに決勝にはファイナリスト10チームが登壇した。本稿ではその10チームを紹介する。

このコンペティションの審査員は……

  • William Bao Bean 氏 – General Partner, SOSV
  • Nichapat Ark 氏 – Advisor, Openspace Ventures
  • Monthida McCoole 氏 – Investment Partner, Early Stage Investor
  • Michael Smith Jr. 氏 – Partner , SeedPlus
  • Roni Burrell 氏 – Director, Verizon Ventures
  • JinA Bae 氏 – Head of Corporate Venture, Hanwha
  • Kawee Pokaratsiri 氏 – Senior Business Development, True Incube

…の7人の皆さんが務めた。

【優勝】SzeleSTIM(オーストラリア)

SzeleSTIM は、迷走神経刺激法により慢性痛を和らげる技術を開発するスタートアップだ。慢性痛に対しては痛み止めを処方されるケースが多いが、恒常的な痛み止めの服用は薬が効きにくくなるばかりか、肝臓や腎臓への副作用が懸念される。

SzeleSTIM は、耳に装着する特殊なウエアラブルデバイスを開発。ここから発生されるノイズにより神経を刺激し、脳が痛みを感じにくくする。今のところ副作用は確認されておらず、仮に副作用が確認されてもデバイスを外すだけに副作用はすぐに解消されることになる。

2018年、ウィーンのスタートアップカンファレンス Pioneers 2018 のピッチコンペティションで優勝

【賞金10万ドル特別賞】Miro(香港)

Miro は、香港発の画像認識スタートアップで、スタートアップイベントにおいて、主催者などが撮影した動画や映画から出場者の顔を認識し、それを当該の出場者に提供するサービスを開発している。具体的には、マラソンでランナーが完走後、自身の姿が映った写真を一括ダウンロードできるようなしくみを想定。

顔認識以外にも、ランナーが履いている靴のブランドなどもリアルタイム認識できるので、ブランドマーケティングにも応用できる。2017年には65イベントで利用され、2018年には250イベントで利用される予定。すでに毎月4.5万米ドルの売上がある。来年にはジムに進出し、ジム内の防犯カメラを活用しケガ防止システムを展開する予定。

Cognalearn(シンガポール)

Cognalearn は、Duke-NUS Medical School(デューク大学と共同で設置された、シンガポール国立大学の医学大学院)で開発された、認知科学に基づいた学習技術を提供。学校などで身につけた座学ベースの知識が、業務で役に立たない Employability Gap の解決を目的としている。

同社の開発したソフトウェア「InteDashboard」を使うことで、従来の講義形式のインタラクションの無い教育方法を改め、学生と教師の双方により効率のよい教育・学習効果を提供。学生は、個別準備確認試験(IRAT)、チーム準備確認試験(TRAT)を経て、雇用トレーニング向けた導入へと進む。医学部教授などがコンテンツ作成で協力、アメリカ、オーストラリア、シンガポールなどで、大手製薬会社などにサービス展開している。

RunCloud(マレーシア)

RunCloud は、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)など、複数のクラウド環境を、Web ベースのダッシュボードで設定できるサービスを、月額15米ドルまたは年額150米ドルで提供。2017年1月にローンチし、顧客数はアカウントベースで7,000件、接続しているサーバ数ベースで5,200台。

昨年11月にマレーシアのアクセラレータ Cradle から77,000米ドルを調達しており、今後、アメリカやヨーロッパでの顧客を獲得するために100万米ドルを現在調達中。類似サービスは他にもあるが、クラウド環境の設定についての知識を持たない人でも、簡単に使えるよう操作を簡便にしているのが特徴だとしている。

NowFloats(インド)

NowFloats は、インド国内に5,800万件あるといわれる中小企業ビジネスにフォーカスし、彼らが簡単に Web サイトを設営し、オーガニックに集客できる環境を提供する。特別な知識を持たなくても Web サイト構築を可能にするアプローチは Wix や Shopify にも似ている。

ユーザの事業種別に基づいてキーワードを選ばせ、独自アルゴリズムと機械学習によって SEO を最適化し、オーガニックに(広告無で)集客効果を期待できるのが特徴だと言う。利用料金は1社あたり年間450米ドルで、Web サイト構築に加え、ROI 分析や顧客啓蒙などの機能も提供する。

Inagri(インドネシア)

インドネシアのバンドンを拠点とする Inagri は、東南アジアに多い、個人経営の小規模カフェ向けのバックヤードソリューションを提供する。在庫管理や請求書管理はもとより、地元農家や卸業者への食材注文や搬入を、バイクなどを使ってオンデマンドに提供できるのが特徴。Inagri 創業者の父が地元で物流会社を経営していることから、このアイデアを思いついたようだ。現在、バンドの小型カフェ130店舗で利用されている。

小規模飲食店にとっては昨今、GrabFoods、TravelokaEats、Go-Food などのオンデマンドフードデリバリも大きな販路になりつつあり、こうした急な食材の需要増減にオンデマンドの調達手段で提供したい考え。今後、ジャカルタ、マニラ、バンコクへの進出を計画しており、食材搬入のための物流は、地元のオンデマンド型バイクサービスとの提携で実現を目指す。

Clef Technology/克莱芙科技(台湾)

読者の中には、数年前に台湾南部の高雄で発生した、大規模なガス爆発事故のことを覚えているだろうか。ガス爆発事故は、高雄に限らず都市部で時折発生する痛ましい事故だ。この事故を防ぐには、ガス管が破損しガス漏れを起こしていないかを監視する必要があるが、現在のところ、職員が一定間隔で巡回し状態を確認する形でしか運営できていない。

Clef Technology が開発した技術では、ガス管の外に数百メートルおきにセンサーをつけ24時間監視し、音によってガス漏れを検出する。測定されたデータはクラウドにアップロードされ、必要に応じて、危険が近づいていることをユーザにモバイルで伝え退避を促す。ターゲットとしているのは、製油会社、ガス会社、ショッピングモール、不動産会社など。昨年ローンチし、シンガポールの AirMaker からシード資金を調達している。

Exora(フィリピン)

製鉄産業においては、製造コストの多くの部分を電気代が占めるため、電気代が高い国は鉄の輸出には不向きだとされる。フィリピンにおいても電気代は競合市場と比べて高価であるが、使われていない発電機の供給能力をマーケットプレイス上で流通させることにより、安価な電力を提供しようとするのが Exora の試みだ。

発電機のオーナーは、Exora のマーケットプレイスに参加料を支払い、通常より安い金額で余剰電力を供給する契約を行う。一方で、電力需要家はスマートメーターを設置し、電力の消費パターンを6ヶ月に渡ってデューデリジェンスしてもらうことで、最適な料金形態により発電者からの電力供給を受けることができる。Exora を通じて、これまでに合計6,700万米ドル相当の電力が供給され、需要家は合計2,000万ドル相当の電気代節約に成功している。

Inspace XR(オーストラリア)

Inspace XR は、不動産・建築業界向けのバーチャルリアリティ(VR)ソリューションを開発、既に大手不動産デベロッパと契約し、設立から14ヶ月目にして13万ドルの売上を上げているスタートアップだ。

建物の設計、工事、メンテナンスにあたって、VR 上に画像を取込・作成することで、BIM データ分析を元にした計測、レイヤー追加、検査などをやりやすくする。昨年 Alibaba が開催した Create@Alibaba コンペティションで、オーストラリア・ニュージーランド地域優勝

Edgybees(イスラエル)

Edgybees は、超高速もしくはリアルタイムで AR(拡張現実)を実現するスタートアップで、ドローンで撮影されたライブ映像に、例えば、付近の電線、ガス菅、水道管などの社会インフラの配置を表示することで、自然災害時の復旧活動の計画を立てやすくする。

スマートシティの IoT センサーなどとも連動し、駐停車しているクルマの状況や、付近の住居の内部の様子なども表示可能。ターゲットとする顧客領域は、緊急サービスを提供する企業や自治体、製油業界やガス会社、工事会社や電気通信会社など。

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