2018年上半期のAR(拡張現実)企業数は290社、2017年末の150社から50%増加〜The Venture Reality Fundのレポートから

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Image credit: The Venture Reality Fund

投資家である The Venture Reality Fund(The VR Fund)によれば、AR(拡張現実)のエコシステムは2018年上半期も成長を続け、AR 企業の数は2017年末から50%増えて290社となったことが明らかになった。Magic Leap の印象深くクレイジーな資金調達の力に支えられ、AR 市場は堅調な新しい投資領域として確立しつつある。しかし、The VR Fund のジェネラルパートナー Tipata Chennavasin 氏は GamesBeat とのインタビューで、Magic Leap の多額の資金調達能力を除外しても、上半期の AR 業界はすべてのセクターで投資活動が堅調にあったと語った。

1円前、The VR Fund は AR 企業150社を追跡していたが、その数もは2017年末には約200社にまで増えた。これらの企業は、インフラ、ツール、プラットフォーム、アプリ、AR エコシステム向けのコンテンツを開発しており、Chennavasin 氏はこのセクターが世界的に健康な状態を保っていると述べた。

50%という成長率は企業数に関するもので、それには投資を獲得したスタートアップだけでなく、市場に参入してきた大企業も含まれます。

彼はまた、これまで一般消費者ユーザの獲得に苦慮している VR(仮想現実)も、投資獲得を伸ばしつつあると述べた。AR および VR 企業が今年はこれまでで調達した資金総額は10億米ドル以上に上るそうだ。

Apple、Google、Facebook のような主要企業に加え、モバイル AR を主導する Snap や、デベロッパ、投資家たちも着目し始めた。(Chennavasin 氏)

2018年上半期には、Apple や Google の携帯電話 AR プラットフォームをターゲットにしたアプリやコンテンツで、最も大幅な成長が見受けられた。モバイル AR エコシステムではアプリダウンロードを1,300万件以上に上るが、これまでの Pokémon Go や今後の Jurassic World Alive を超えて、多くのユーザを魅了して成功する AR アプリはまだほとんど存在していない。Pokémon Go は2年間で18億米ドルを稼ぎ出した

こういった他とかけ離れたアプリは強いが、大きな成功はまだ見たことがない。Snap のような、ソーシャル AR はうまく行っている。(Chennavasin 氏)

現実世界で恐竜を見つけることができる「Jurassic World Alive」
Image Credit: Ludia

Chennavasin 氏は、AR クラウドのようなインフラ技術に対する投資が、さらにリッチなソーシャル体験の限界を解き放つだろうと考えている。The VR ファンドは4,000以上の企業を評価し、資金調達、売上、主要な事業範囲、主要な提携関係といった一定条件を満たした企業がビジュアル資料に掲載されている。

The VR Fund によれば、成長の多くが見受けられるのはモバイル AR 向けコンシューマアプリの分野であるものの、AR スマートグラス、3D ツール、SDK、エンタープライズアプリケーション、AR ヘッドマウントディスプレイ向けのディスプレイコンポーネントなど、すべてのカテゴリで特筆すべき成長が確認できたそうだ。

主要なテクノロジー企業は、よりリッチなモバイル AR 体験をデベロッパやデザイナーに作ってもらおうと、ツールをリリースし始めている。Apple や Google に加えて、Blue Vision Labs、6D.ai、Niantic といったスタートアップが、ソーシャル AR 体験を実現する AR クラウド SDK をリリースしている。

フロリダを拠点に、Magic Leap One という AR グラスを開発する Magic Leap は、水曜日に AT&T から調達額非開示の資金を調達するより前、すでに23億米ドルを調達している。しかし、仮に同社を除外しても AR 業界への投資総額は数億米ドルのレンジで堅調に推移している、と Chennavasin 氏は語る。このような背景から、AR エコシステムの企業数は増加の一途をたどっているわけだ。

Snap に加え、Facebook、Amazon、Adobe、Unity 3D がモバイル AR 向け制作ツールを発表している。

その結果として、Williams Sonoma や L’Oréal といった非テクノロジー企業による AR テクノロジー企業の買収が続いており、このことから、AR が E コマースなどの業界に、いかに広くインパクトをもたらすと期待されているかがわかるだろう。

ソーシャル AR は、利用頻度の高い大きなカテゴリーになりつつある。Snap、Facebook、Instagram、Apple Messages、Snow などの主要なソーシャルアプリは、すべて AR 機能をサポートしている。Snap は昨年、約7,000万人のユーザが、ARのレンズ機能を1日あたり平均3分間使ったと報告した。

近未来の AR を形にする Magic Leap
Image credit: Magic Leap

MR(混合現実)のヘッドマウントディスプレイについては、Magic Leap のデベロッパーキットが一部のデベロッパに提供されており、Microsoft HoloLens のデベロッパキットの次版が2019年初頭にローンチするだろうと噂されている。コンシューマ向け MR ヘッドマウントディスプレイがいつ出荷されるかについては、まだ発表がない。

従来からの通念では、コンシューマ販売の低下により VR 投資が鈍化し AR 投資が上昇するとされる。しかし、Chennavasin 氏は、Penrose Studio が1,000万米ドルを調達するなど、投資が続いていることにも裏打ちされるように VR は堅調に推移を続けており、大企業も VR への支援を続けるだろうと語った。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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