イグニション・ポイントは毎年2つずつ、インターネット・サービスを事業創出することを目標に掲げており、これまでに IoT を使ったホームセキュリティの「Secual(セキュアル)」、フォトブック・サービス「meGrid(ミーグリッド)」のしくみをベースにした日本とアジア向けの越境 EC サービス、クリエイティブスタジオの「POINT EDGE(ポイント・エッジ)」、小学生向けのオンライン英会話学習サービス「LEARNie(ラーニー)」といった事業を創出してきた。先ごろ、ペットの DNA を元にしたライフサイクル事業「Pontely(ポンテリー)」を発表したばかりで、今回の DANX は独立した会社形式での新規事業創出としては6つ目となる。
DANX Image credit: DANX
〝Day and Night Box〟という言葉に由来して名付けられた新会社 DANX は、人々の労働環境の多様化、シングル生活者の増加、地方創生といったさまざまなライフスタイルの変化に呼応して、飲食業にイノベーションをもたらしたいと考えている。元来、飲食業というのは決まった場所に店があり、そこを中心に商圏を拡大してきた。ユニークな食べ物を提供する店であれば地理的な商圏は拡大するが、一方で分厚い潜在顧客層を確保しなければ商売は成り立たない。立地条件が商売の良し悪しを決める要素の9割とさえ言われる飲食業だが、好立地の物件には供給量に限りがあり、都市部では賃料が依然として高止まりしているのが現状だ。
E-BaoNet(易保)という企業の下で政府のデータを商業化することを専門に扱うブロックチェーンスタートアップ THEKEY は、社会保険をブロックチェーン上に置こうとしている。それを達成するための第一歩は強固な ID 認証システムを確保することであるが、健康に関する情報という繊細なものを含んでいることを考えれば、そのタスクはより重要なものとなる。
政府のデータはあらゆるブロックチェーン ID アプリケーションにとって基礎、もしくはキーとなるものである。それがないアプリケーションは役立たずだ。だが、このデータを集めるのは簡単なことではない。同社の会長兼 CEO の Catherine Li(李雪莉)氏によれば、中心的なデータベースがないことが問題だという。中華人民共和国人力資源・社会保障部(MOHRSS)だけが、全国に200のデータベースを持っている。
THEKEY チェアウーマン 兼 CEO Catherine Li(李雪莉)氏 Image credit: TechNode/Masha Borak
このプロジェクトはまだ進行中だが、THEKEY のプロジェクトチームは既に、ブロックチェーンをベースとしない初期の ID 認証システムを中国の66の都市で実行しており、2億1,000万人をカバーしている。同社は東南アジアの海外市場にも目を向けている。
中国で増加中のブロックチェーンプロジェクト
中国政府が模索しているブロックチェーンの使用例は社会保険だけではない。3月には、中国人民銀行の下で運営している Zhongchao Blockchain Research Institute(中鈔区塊鏈技術研究院)が、中央銀行が支援するブロックチェーンプラットフォームとしては中国初の Blockchain Registry Open Platform(BROP)をローンチした。このプラットフォームもまた中国の煩雑なお役所仕事を短縮するためのもので、地方と外国の企業の両者に脅威となっている。企業向けのデジタル信任状や所有者登録、公共サービス上の情報を提供するブロックチェーンに基づいて、独立した知的財産権を開発するためのオープンプラットフォームだ。THEKEY のケースのように、信頼できるユーザの身元確認が重要となるだろう。
ブロックチェーンベースのIDはモバイルにも進出している。Tencent(騰訊)と国有の通信企業 China Unicom(中国連通)は、モノのインターネット(IoT)業界向けの新たな ID 認証基準と共に、TUSI SIMカードをローンチした。これは他の何にも増してスマートシティのアプリケーションに使われるようになるものである。
注目すべき疑問は、中国がいつの日か独自のデジタル通過を発行するのかどうかということだ。政府が仮想通貨を嫌悪しているのはこれまでによく知られている。ICO は2017年9月から禁止されており、仮想通貨を人民元に換えることは違法だ。しかし、中国人民銀行の Digital Currency Research Institute(数字貨幣研究院)はブロックチェーンとデジタル通貨決済の商業への適用に関する41の特許申請を提出している。中国人民銀行前総裁の Zhou Xiaochuan(周小川)氏によると、「技術の発展の結果、デジタル通貨は不可避であると言って良い」とのことだ。
パリ拠点のベンチャーキャピタルISAIは4日、レイトステージ向けの1億7500万ドルのファンドをクローズしたことを発表した。フランスのスタートアップの拡大支援を目的とするものだ。 フランスではスタートアップが拡大し、アーリーステージ向けのファンドも増えたが、エマニュエル・マクロン大統領下の政府も運営するLa French Techプログラムの戦略はもっとも期待できる若い会社のスケールアップを支援す…