世界を変えるためにスタートアップを選択したーーLGBT求人事業「JobRainbow」がジェネシアVから5000万円の資金調達

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セクシャルマイノリティ(以下、LGBTと表記)の求職者を対象にした求人サイト「ichoose」などを運営するJobRainbowは7月10日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。払込日は6月30日で、調達した資金は5000万円。調達した資金でサービス推進を目的に、開発やセールスチームの強化を進める。同社の説明によると、現在はアルバイトなどを含め約10名ほどで運営をしている。

JobRainbowの創業は2016年1月。自身もゲイとして社会の目を向き合ってきた星賢人氏が、東京大学在学中に立ち上げたLGBTコミュニティでの出来事などから就業支援事業を手がけることになったのがきっかけ。

「大学に入ってセーフティーネットになりたいという想いから40人ほどのサークルを立ち上げたのがきっかけです。ここにはトランスジェンダーの方で、高校生までは男性として過ごし、大学生になって性別適合手術を受けて女性になった方がいらっしゃったんです」(星氏)。

星氏の話では、彼女はとある会社の就職面接を受けるのだが、セクシャルマイノリティであることが分かった段階で面接を中断して断られてしまったのだという。

「例えば男女の蘭でどちらにマルをつければいいのかとか、こういった方であればタイトなスーツは抵抗があったり。どこの会社が受け入れてくれて、どうやって就職活動すればいいか分からない。こういう課題に対して継続的な支援がしたい」(星氏)。

性的な問題は当然ながらそれぞれの人としての能力とは無縁だ。星氏によれば、彼らの提供するサービスは35万人のユーザーが登録して利用している。ここ1年ほどで立ち上げた求人サイトには日本アイ・ビー・エムや日本マイクロソフトなど、積極的にセクシャルマイノリティの課題に取り組む企業の求人が並ぶ。

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ビジネスとしては求人の掲載広告料と成果報酬の両方を試していたそうだが、後者の場合、どうしても事業的に求職者が望まないマッチングが生まれる可能性があるということから、現在は主に掲載料でのビジネスを積極的に進めているという話だった。

また、業種についても飲食や介護といったホスピタリティを求められる職種に求人が多いほか、やはりインターネット関連の事業はこういった問題に対して「フラット」な対応が期待できるということから人気があるそうだ。

取材最後、星氏になぜ今回、スタートアップ・ビジネスとして投資を受けたのか尋ねてみた。こういった社会的な活動は意義深い一方、理解に時間がかかるなど、資本投入だけで右肩上がりの成長が期待できるほど単純でないと感じたからだ。

「創業からは確かに資本を入れることは考えず、スモールビジネスでやってきました。それでも可能ではあったのですが、同時に社会に対してインパクトを与えられているのか疑問に感じたのも事実です。これで自分は世界を変えられるのか、今、目の前で困っている人を助けられるのか」(星氏)。

啓蒙には時間がかかる。彼らは研修や企業コンサルティングなどを通じて企業の理解を得るなどの活動も実施しているという。

人と異なる、ということだけで優秀な人材が埋もれてしまうことは損失だ。だからこそこの難しい分野には朝鮮する意義があると思うし、それを支援し切れるかどうか、国内のスタートアップエコシステムが問われているようにも感じた取材だった。

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