ブロックチェーンロック、TISと野村総研から資金調達——ブロックチェーンとスマートロックで、トークンエコノミーの形成を目指す

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ブロックチェーンロック創業者で CEO の岡本健氏。以前は、楽天でブロックチェーンラボの代表を務めていた。
Image credit: Masaru Ikeda

ブロックチェーンロックは、スマートロックとスマートコントラクトを組み合わせた企業向けパブリックチェーン「BCLチェーン」を開発している。同社は23日、都内で記者会見を開き、TIS と野村総合研究所から資金調達を実施したことを明らかにした。調達金額は明らかにしていない。この出資を受けて、ブロックチェーンロックは TIS と野村総合研究所らとともに、スマートロックをはじめとする IoT デバイスの開発と展開、トークンエコノミーを持った BCL チェーンのユースケース開発と普及を進めるとしている。

なお、これに先立ち先週、シンガポールに BCL Foundation が設立されている。BCL Foundation は世界への BCL チェーンの普及を意図したコンソーシアムで、ブロックチェーンロックはその発起人かつメンバー企業という位置付けだ。今後、BCL Foundation は BCL チェーンを核に他の IoT ハードウェアメーカーなどを巻き込み、国際的なトークンエコノミーの醸成を狙う。

ブロックチェーンとスマートロックをつなぐ必要があるのか、という素朴な疑問を、おそらく多くの人の脳裏をかすめるだろう。4G や WiFi または BLE 接続で、すでにスマートロックは製品技術として確立されており、スマートロック本体と操作者との間を、敢えてブロックチェーンを介して接続することの意義をにわかには理解しづらい。

ただ、さまざまなインターネットサービスが実社会の日常のしくみにつながることを模索するように、ブロックチェーンもまたトークンエコノミーを形成するために実社会のしくみとつながろうとしている。法定通貨と同じく、他のものとの価値交換ができてこそ、トークンが意味を持つからだ。

ブロックチェーンロックが展望するビジネスモデルとビジネス構造(クリックして拡大)
Image credit: BCL Foundation / Blockchain Lock

トークンエコノミーを作り出す第一歩として、ブロックチェーンロックはブロックチェーンを使った価値移転の可能性を考えた。IoT デバイスの象徴的な存在であるスマートロックをブロックチェーンにつなぐことで、施錠や解錠といった信号をやりとりする以上の可能性を、そこに見いだせるかもしれないということだ。

記者会見で投影されたビデオ(本稿底部)では、スマートロックを使った民泊施設のしくみが披露されたが、ユーザに民泊ポータルで検索をしてもらい、施設を見つけてもらって予約をしてもらうという一連の流れを考えると、民泊における一連のユーザエクスペリエンスにおいて、中央集権的なコンセプトの関与を完全に排除するのは難しいだろう。果たして、BCL チェーンこそが(あるいは、BCL チェーンのみが)活躍しうるユースケースは何だろう?

筆者に素晴らしいアイデアがあるわけではないが、例えば、dApp のウォレットを使って、スマートロックを使った野菜の無人販売で買い物をする、というようなシーンは考えられるかもしれない。無人販売の店舗は、どこかの電子マネーの加盟店になる必要はなく、ただブロックチェーンにアクセスさえできれば商売ができる。スケールメリットを追求しない個人経営の(コージーな)シーンで、オンデマンド的にアクセス権を与えたり奪ったりすることで生まれるビジネス機会に、BCL チェーンはうまく商機を見出せるかもしれない。

今回は BCL チェーンの開発・普及が始まるということがトピックであるが、このコンセプトを使って、どんなユースケースやアプリケーションを作り出せるかに、普及のカギがかかっていることは間違いない。BCL Foundation には今後、世界中のさまざまな企業の参加する見込みで、そこから今までに目にしたことのないビジネスモデルやユーザエクスペリエンスが生まれてくることを期待したい。