創薬スタートアップのInsilico MedicineとA2A Pharmaceuticals、共同でConsortium.AIを設立——AIの活用で希少な症例の治療を目指す

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Insilico Medicine の CEO Alex Zhavoronkov 氏
Image Credit: insilico

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は子供に発症する希少な筋肉疾患で、歩けなくなってしまう。DMD は進行が速く、平均余命は約20年で、筋細胞膜を維持する役割を果たすと考えられているジストロフィンの生成を司るX染色体の遺伝子変異が原因である。

DMD 患者および希少な退行性疾患を有する患者に、希望が見えてきた。Insilico Medicine と A2A Pharmaceuticals は本日(原文掲載日:7月19日)、人工知能(AI)の進化を最先端の創薬に適用することを目指すベンチャー企業の Consortium.AI を新たにローンチした。

Consortium.AI を通じて両社は DMD やその他重度の遺伝性疾患の治療法を共同開発し、機械学習を活用して最も有望な治療法の候補を検証する。

ボルティモアを本拠とする Insilico Medicine は、教師なし学習に適したアルゴリズムの1種である敵対的生成ネットワーク(GANs)の分子構造形成に対する適用のパイオニアだ。既知のリガンド(分子複合体)があるが標的(疾患経過に関連するタンパク質)がないものを対象とする。同社の50名を超える研究陣は、がん、皮膚病、線維症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ALS、糖尿病、サルコペニアおよび老化に対する創薬プログラムに積極的に取り組んでいる。

A2A Pharmaceuticals のビジネス製品開発部門長の Elena Diez Cecilia 博士は、次のように話した。

Insilico Medicineとの提携を喜ばしく思っています。当社の強みと補完技術を組み合わせることで、治療を必要とする患者に向けて、より効果的な治療法への進化を加速し、病院へ提供して参ります。

筋ジストロフィーは、筋肉の炎症と衰弱を引き起こす末期性の変性疾患であり、より効果的な治療法が大いに必要とされています。

同様に、ニューヨークを本拠とする A2A Pharmaceuticals では、タンパク質間相互作用などの治療が困難な疾患の治療法の開発にコンピューターツールを活用している。

Insilico Medicine 設立者で CEO の Alex Zhavoronkov 氏は声明の中で述べている。

A2A Pharmaceuticals は新薬候補の発見、開発、ライセンス供与における実績を持つ優秀な人材を擁しています。

私たちは A2A Pharmaceuticals と提携し、治療法が確立していない病に対する答えを待ち望んでいる患者の医療ニーズにお応えするべく取り組んでいく機会を得たことを非常に嬉しく思っております。これは AI の素晴らしい適用例です。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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