バルト3国のデジタルイノベーション【ゲスト寄稿】

mark-bivens_portrait本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens 氏によるものだ。Mark Bivens 氏の許諾を得て翻訳転載した。(過去の寄稿

The guest post is first appeared on Mark Bivens’ Blog. Mark is a Paris- / Tokyo-based venture capitalist.


Image credit: berean / 123RF

今年の夏、私は一時期をバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)に戻って過ごしていた。最後の訪問から十年以上過ぎているので、「戻って」と表現するには日が過ぎてしまっていた。また、3国のうち、ラトビアには行ったこともない。これら小さな3つの国がどれほどデジタルに接続されるようになったか、多くの領域でどれほど腕を上げつつあるかは信じられないほどだ。屋内の光ファイバーや屋外の 4G ネットワークが、あらゆる場所でも使える(例えば、リトアニアとラトビアの光ファイバー普及率、それぞれ71%と65%だ)。モバイルの通話データ契約は、3カ国すべてで1人あたり1.4件を超えている。

キャッシュレスエコノミーは、バルト3国で成長真っ只中にある。ヨーロッパにおける全 POS 取引のうち、キャッシュレス決済の半分以上をエストニアが占めている(これと比べ、スペインの全 POS 取引のうちキャッシュレス決済は13%、イタリアは14%に過ぎない)。実際に、私がリガ(ラトビアの首都)とビリニュス(リトアニアの首都)で目にした店舗での取引のほとんどは、キャッシュレスであるだけでなく非接触型だった。3カ国はユーロを採用しており、エストニアでは2011年に、最後となったリトアニアでは2015年に始まった。

エストニアと EU における、キャッシュレス決済とカード決済の取引量推移
Image credit: エストニア中央銀行

私が先進国で見てきた限りで言えば、現在タリンで会社を設立することは最も手間がかからない。これは2014年、エストニアが世界中の非エストニア人に対してもデジタルアイデンティティシステム「e-Estonia」を開放したこと(e-Residency)に大きく由来する。e-Residency によって、エストニア国外にいる市民も、同国政府のポータル e-Estonia を通じて提供される多くのデジタルサービスにアクセスできるほか、エストニア国内に場所にこだわらなくてよい事業を登記できるようになった。この努力により、エストニアは自国の影響力の仮想的な境界をデジタルコミュニティへと広げ、グローバル市民を惹きつけることができる。

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ブロックチェーン人材は、日本(人口1億2,700万人)よりもラトビア(人口200万人)で多く感じられた。Bitfury はおそらく、仮想通貨コミュニティにおいてラトビア発の最も成功したストーリーの一つで、現時点で世界中のビットコインマイニング量の10%以上を扱っている。しかしながら現在、ラトビアには Bitfury 以外にも、たいていの国際的な VC(ラトビアに拠点を置いている VC はほとんどいない)の目に留まらないようにしている、仮想通貨やブロックチェーンの興味深いプロジェクトは数多い。

Blockchain Centre Vilnius 全景
Image credit: Blockchain Centre Vilnius

ビリニュスでは、NSA(アメリカ国家安全保障局)でさえ再現できない、人工知能ベースの画像認識技術を開発した技術者に会えたのは光栄だった。リトアニアの首都には「Blockchain Centre Vilnius」があり、ヨーロッパ中のブロックチェーン人材を魅了する中心的ハブとなっている。

バルト3国の起業家たちは国内市場の規模に幻想を抱くことはないため、世界進出に対して野心を持っている。SkypeBitfuryRevolut は言うまでもなく、現在は世界的な成功を遂げたブランドとなっているが、彼らは今でもそれぞれ、エストニア、ラトビア、リトアニアにそのルーツと初期成長の牽引を有している。

最近のヨーロッパでのデジタルイノベーションを動きを目にしたければ、バルト3国は必見と言えるだろう。

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