ホワイトカラー向けAIによるRPAソリューション開発のシナモン、台湾にR&Dセンターを開設——無償のAIコースも提供へ

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日本の AI ソリューションプロバイダー、シナモンが Microsoft や Google に続き、AI 研究開発センターを台湾に開設すると発表した。同国の優れた科学技術教育水準という魅力が決め手になった。

地域的な人材不足に対しては、10月に同社は無償で6ヶ月間の AI コースを台湾の若者に提供する。従業員候補の育成が目的だ。

シナモンの共同設立者で CTO の堀田創氏は次のように話す。

台湾はアジア太平洋市場において AI 開発をリードしていくポテンシャルがあります。台湾の人材の多くはハードウェアエンジニアですが、その多くが AI の基礎となる、数学や物理学など基本的な科学教育を収めています。

同社にはアジアで5ヶ所の AI 研究センターを開設する計画があり、2022年までに500名の AI エンジニアを雇用する目標だと堀田氏は話す。急速に成長が進む AI 分野では、国際的にもアメリカと中国に人材が集まる傾向にあり、多くの国が人材不足に直面している。

優秀で最高の人材を育てる

シナモンの大学生年代向け無料コースでは、交通費やその他の経費も支給される。本コースで最優秀の成績を収めた者は同社の採用が内定する。

最高の人材を得るためには自分も何かしなければなりません。(堀田氏)

7月18日付けの Business Next(数位時代)の報道によれば、同氏は以前ベトナムで同様のプログラムをローンチした実績があるという。

堀田氏自身も情報通信テクノロジーの教育を受けており、25歳の時に日本の慶應義塾大学でニューラルネットワークの博士号を取得している。

後に同氏はシリアルアントレプレナーとなる。初期に手がけたベンチャーにはシリウステクノロジーズがあり、後にヤフーに売却した。同氏は自身のスタートアップにおける豊富な経験を活かし、実践と応用を重視したカリキュラムを用意した。

授業は、国立台湾大学または国立清華大学から選ばれた3~4名の専門家が行い、10月に開始となる予定だ。

学生は契約を結ぶ必要はなく、研究内容や興味に関して大幅な自由がある。本コースは2ヶ月間の基礎的な理論の教育と、4ヶ月間のグループ学習からなる。学生は AI のオープンソースフレームワークを利用して、6ヶ月後に AI 関連アルゴリズムの作成を始めることになる。

こうしたコースを最初にベトナムで開催した際には150名の学生が集まったが、グループ学習に進めたのは8名だけで、同社に採用されたのは3名だけだった。

将来計画

シナモンは現在シリーズ B の資金調達を終えつつある。FFG Venture Business Partners、伊藤忠グループ、ソニーイノベーションファンドが合計800万米ドルを投資している。また、みずほ銀行、三井住友銀行からも融資を受けており、今年8月までに調達目標の1,000万米ドルに近づきつつある。

シナモンで最も知られている製品は FLAX Scanner で、同社売上げの80%以上を占めている。

FLAX Scanner は、申請フォームや文書、e メールから情報を抽出できる AI 対応ドキュメントツールだ。同製品は手書きのテキストデータも解釈できる。

【via e27】 @E27co

【原文】

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