Magic Leap CEOインタビュー:「他の人より10年先の生活を2,295米ドルで始めよう」(前編)

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Magic Leap のビジュアライザアプリ「Tónandi」
Image Credit: Magic Leap

Magic Leap は最初の製品である2,295米ドルの ARグラス「Magic Leap One Creator Edition」の注文を受け付けている。このグラスは現実世界にコンピュータが動かすイメージを重ね合わせ、自分の目で見ているものを拡張することができる。

CEO の Rony Abovitz 氏は、2010年にフロリダのガレージで Magic Leap を始めた日から、ずっと長い間この日を待っていた。Google が同社に5億米ドル以上を投資した後には期待と興奮が爆発し、AR と複合現実への期待が高まった。

同氏はこれを使い23億米ドル以上を調達し、1,500名の従業員を雇用したが、途中で上手く行かないときもあった。そしてこういったイノベーションの大飛躍には多大な費用がかかり、開発して市場に届けるには長い時間がかかるという現実もあった。

Magic Leap One Creator Edition はライバルである Microsoft の HoloLens AR グラス(3,000~5,000米ドル)よりも安価だが、それでも一般的なコンシューマー機器よりはるかに高価である。最初の製品はクリエイターや企業向けであり、同社はすでに将来の製品に取り組んでいるが、これは改良を加え、より適応範囲が広い一般消費者向けとなると Abovitz 氏は述べた。

Abovitz 氏は Magic Leap の拡張現実グラスを次世代のコンピュータプラットフォームとして見ている。コンピュータビジョンやライトフィールド技術、空間音響を使い、人間の脳と協力するのだ。筆者は本日(8月8日)、同氏にインタビューし、そのビジョンについて話を聞いた。

以下にインタビューの内容を編集して記す。

VentureBeat:

本日(8月8日)のローンチについてお気持ちをお聞かせください。

Rony Abovitz 氏:

徹夜続きからまだ回復していませんが、気分は良いです。会社の皆も本当に喜んでいます。

VentureBeat:

どのような決断によって、ここまで至ることができたのでしょうか。

Abovitz 氏:

最大の決断は、そうですね。私はロボット手術周辺の会社を立ち上げ、2008年に株式を公開しました。それから3年ほどして、私たちは成功しました。順調に上手く行っており、私は非常に満足していましたし嬉しかったです。私は「また何かすごく挑戦的なことをしなくちゃいけない」と感じました。振り出しに戻って、次のプロジェクトのために夜遅くまで働き出したかったのです。

何か新しくて大きく野心的なことを始めよう、コンピュータ周辺のすべてを変えようという決断は、ちょっとクレイジーなものでした。ビルボ・バギンズ(指輪物語のキャラクター)がホビット庄の外へ出なくてはならなかったのと同じようなものです。出て行けばドラゴンがいます。しかし、出て行ってそれをすると決めたことがおそらく最大の決断でした。

Magic Leap CEO の Rony Abovitz 氏
CC BY-NC-ND 2.0: via Flickr by Fortune Brainstorm TECH

VentureBeat:

現時点のコンピュータのパワーを考えれば、比較的手頃な値段で送り出すためには、多くの妥協点が必要だったのではないかと思いますが。

Abovitz 氏:

私はコンピュータと共に育ちました。私の人生は常にコンピュータと共にありました。ずっとそういった妥協に関する決断を見ながら育ってきました。子どもの頃は128K Mac を持っていました。最初期の Atari を持っていました。そういった関連のものはすべて見てきました。私が尊敬するすべての人は、デザインや計算能力に関して、そのときできる限りのことを全力でやっていました。制約の中でできる限り最高のものにしていました。

エンジニアとデザイナーは常に制約の中にあり、何かの制限を受けます。何かをするには常に計算能力とフォームファクタのバランスを取らなければなりません。Magic Leap では、世界がどんな風になるかというビジョンが私にはありました。90年代半ばのeコマースを考えてみれば、今の Amazon のようになるまでに20年かかりました。ですが、90年代半ばには今のビジョンを持ち、ここまで大きくなれると信じなければなりませんでした。毎年少しずつそのビジョンを実現させていくのです。

私はこれを非常に長いひとかたまりのパンのようなものだと考えています。常に最大で最高の一切れを切り分けて人々に与え続け、価値があるものにするのです。年が経つにつれてどんどん大きく、素晴らしいものになります。すぐにマトリックスやブレードランナーのようになると考えている人もいると思います。全宇宙がすぐにウォーターワールドになると考えている人も。私はマトリックスジュニアのようなものだと考えています。最初は友人と周囲の地元で始めるのもよいでしょう。誰もが入手できるわけではない機能から始めることもできます。

Magic Leap One Creator は、それを今すぐ欲しいという人向けに提供したいと思っています。入手した人は他の人よりも10年か20年先の生活を始めることになるでしょう。誰もが入手できるわけではない未来の生活を手にすることになりますが、いずれは他の人も追いついてきます。何かを作り出し、皆を引っぱっていきたいと考えるグループに向けて、弊社は Magic Leap One を作っています。

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Magic Leap One Creator Edition
Image Credit: Magic Leap

VentureBeat:

2,295ドルという価格は今の HoloLens よりも安価です。エクスペリエンスにおいて類似点はありますか。

Abovitz 氏:

比較するなら、こちらには非常にパワフルな CPU と GPU、Nvidia Parker があります。ポケットに入れる小さなコンピュータ Lightpack は、普通に買えば Magic Leap One 一式よりも高価なノート PC と同じくらいのパワーがあります。さらに、頭に付ける Lightwear にもコンピュータはあり、プログラムできるコンピュータビジョンと可愛らしい Jarvis AI、そしてセンシングを備えます。これらは人工衛星や数万ドルはする自動運転車にもあるものです。

価値提案に答えを出そうとして私たちが検討していたもの。それが、完全にレベルが違う SF 的なリアルタイムのコンピュータです。フォトニクスチップは弊社が一から作り出しました。マシンを設計し、組み上げました。ノート PC と同等で強力な描画能力を持つ、ポケットに入れる Lightpack そのものを検討しました。Lightwear に比肩するものはありません。すべてが揃っています。

クリエイターもしくは空間的コンピューティングを先取りしたい人には、これは非常に価値のあるものであり、ゲームに導いてくれるでしょう。プロ用のタブレットやスマホに喜んでお金を使う人であれば特にそうです。1桁分と同じくらいの重みがあります。Magic Leap One よりも高価なハイエンドのノート PC とほぼ同程度です。すべて揃っています。完璧です。

VentureBeat:

23億ドルを調達したとのことですが、Wired によるとこの先もキャッシュには余裕があるように見えます。まだキャッシュに余裕を持つ必要はありますか。

Abovitz 氏:

Magic Leap One のローンチのためだけに資本を調達したわけではありません。Magic Leap One、Magic Leap Two と、空間的コンピューティングシステムを作り上げるために、弊社は全体的な開発環境と稼動する工場を作りました。AT&T とのパートナーシップも発表しており、弊社の次のシステムは5Gと統合する予定です。Magic Leap One、Two、Three、Four という風にずっと付き合って行きたい物語のようなものです。三部作のようなもの、もしくは9作あるスター・ウォーズのようなものです。

この分野でやっていくためには真剣にやらなければなりません。一発屋ではだめなのです。長い目で見てプランを立てなければなりません。弊社は Magic Leap One に投資しただけではありません。空間的コンピューティングの分野で素晴らしい存在となれるよう投資したのです。それだけが弊社が企業として行っていることです。

第2回に続く

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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