Uber 撤退後に Grab が主役の座に座り、Go-Jek が参入を進める中、シンガポールで新たなライドヘイリングサービスをローンチする企業は失敗する定めに見えるかもしれない。
とはいえ、そんなことでは参入を止めない企業もいる。そして、今回新たに参入する企業は、一見飽和しているように見えるこの市場で根本的に違う何かを提供できると考えている。
韓国のブロックチェーンスタートアップの MVL(Mass Vehicle Ledger の略称)がつい最近シンガポールでライドヘイリングアプリをローンチした。シンガポールは同社初の市場であり、近い将来、ベトナム、韓国、日本に向けてさらに進出を計画している。
Tada(韓国語で「さあ乗ろう」という意味)と命名されたこのアプリは MVL のブロックチェーンエコシステム上に構築されている。このエコシステムは自動車業界や関連サービス業界、その顧客を念頭にデザインされている。
Tada ならではのウリは、ドライバーパートナーにコミッションを課金しないことだ。つまり、ドライバーは乗客が支払う運賃全額を受け取れるが、ユーザがクレジットカードやその他の支払い方法を選ぶと手数料が差し引かれるというモデルだ。
シンガポールのカンポン・ウビで開催されたローンチイベントで、MVL 設立者の Kay Woo 氏は、すでに2,000名のドライバーパートナーがサインアップ済みで今後も1日あたり100~200名のサインアップを見込んでいると語った。
Tada のドライバーは、他のライドヘイリングサービスと同時に掛け持ちしても構わない(それには他サービスもそれを許可しなければならないが)。
Woo 氏は次のように話している。
私たちはドライバーと独占契約を結ぼうとは思っていません。それは私たちの哲学ではありません。ドライバーの皆さんには選択肢があって然るべきです。
Woo 氏はまた、タクシードライバーが同プラットフォームにサインアップする方向で、少なくともタクシー会社1社と Tada が交渉中であることも明かした。ただし、パートナー企業候補の具体名は明言しなかった。Tada はタクシープラットフォーム運営ライセンスをシンガポール陸上交通庁に申請中で、同庁の決定が今後2ヶ月内であることを認めた。
Tada の戦略は、ライドヘイリングプラットフォームであれ従来型のタクシー業者であれ、既存業者と直接競合したり置き換えたりすることではないと Woo 氏は説明する。
市場全体を押さえることは目指していません。すでに大手がいますし、それは当社にとって現実的ではありません。私たちが目指すのは選択肢を提供することです。
また、同氏は Tada と MVL は将来的に Grab やその他同業他社との協業も可能だと話す。MVL のブロックチェーンベースのリワードシステムにリンクするのだ。
Tada は乗客からポジティブな評価を受けたドライバーパートナーに MVL のデジタルトークンを授与し、またドライバーパートナーが評価を付けるとクリプトコインによる報酬も支払う。
Woo 氏は、広範な MVL のエコシステムが最終的に自動車メーカー、ガソリンスタンドチェーン、保険プロバイダーなどといった幅広い自動車関連産業の企業を取り込んでいく構想を持っている。トークン所有者はその MVL コインをこうしたサービスプロバイダーやその他の小売店舗での支払いに使える。この点について、MVL がパートナー候補数社と協議中であると同氏は付け加えた。
【via Tech in Asia】 @techinasia
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