NASDAQ上場を果たした中国のソーシャルECプラットフォーム「Pinduoduo(拼多多)」、驚くべき急成長の理由と背景に迫る(前編)

by TechNode TechNode on 2018.8.13

Image credit: NASDAQ

Alibaba(阿里巴巴)から JD(京東)まで中国では大手 e コマースに事欠かない。同国の e コマース市場は非常に集約されているが、適切な顧客グループに適切なソリューションを提供できれば、スタートアップがこの市場に風穴を開けることも不可能ではない。

中国のソーシャルeコマースプラットフォーム「Pinduoduo(拼多多)」はそれを証明して見せた。上海を拠点とする同社はアメリカの株式市場に16億米ドルという巨額の IPO を申請した。これは今年最大級の取引である。同社を取り巻く興奮は急速に盛り上がり、これにより競争の激しい中国 e コマース市場で、同社が3年間でかなりの成功を成し遂げることとなった。

Pinduoduo とは何か、そして何をしてきたのか?

Taobao(淘宝)や JD と同じく、Pinduoduo は日用品から家電まで幅広い商品を提供するeコマースプラットフォームである。Pinduoduo の特徴は、ソーシャル要素を今までのオンラインショッピングのプロセスに統合した点だ。同社はこれを「団体購入」モデルと称している。

WeChat(微信)や QQ のような SNS で Pinduoduo の商品情報をシェアすることで、ユーザはショッピングチームを形成し、より低価格で商品を手にすることができる。この仕組みは、よりインタラクティブでダイナミックなショッピング体験のため、ユーザにやる気を起こさせ繋ぎ止めておくものである。現金やクーポン、くじや無料の商品といった他のインセンティブも一緒に使い、Pinduoduo は非常に低コストで集客に成功した。友人とチームを組んで行った良い取引ではスコアが得られるというオマケの満足感もあり、Pinduoduo はすぐに口コミで中国に広まった。

極めて低価格な点も Pinduoduo の注目すべき魅力の1つだ。10人民元のベッドシーツから1,000人民元のPCまで、値引きは普通9割引きにまで至る。だが最もよく売れているのは、信じられないほど低価格の日用品だ。10箱12.9人民元(約210円)のティッシュは640万セット以上、1本10.3人民元(約170円)の傘は480万本以上が売れた。

同社のまとめ売りモデルは販売業者に手軽に大量の注文をもたらし、さらなる値下げの余地を与えている。同時に、Pinduoduo のアプリはこれを促進するよう設計されていると、専門家が地元メディアに説明した

Taobao のインターフェースは検索を元に多様な商品を表示することに重点を置いています。一方で Pinduoduo はニュースフィードに近く、そのため1つの商品がより多く露出し、「爆款(口コミで広まっている商品の意)」ができやすくなっています。Taobao の方が商品リストは豊富ですが、Pinduoduo は少数の売れ筋商品に焦点を当てており、これがより多くの購入者を引きつけています。

Pinduoduo(拼多多)
Image credit: Pinduoduo(拼多多)

Pinduoduo はC2Bモデルで製造者から直接発送することを可能にし、複数の代理店を挟む必要をなくしており、購入者の購入価格を下げるだけでなく製造者の利益も上昇させている。このアプローチは需給のマッチング速度が重要な、腐敗しやすい農作物や生鮮製品に特に効果的だ。

ブランディングによる費用をなくすことで、知名度の低いブランドは有名なブランドよりも選ばれていた。さらに、ソーシャルメディアでユーザがシェアすることで、宣伝とマーケティングのコストも抑えられている。このアプローチはコスト削減もでき、効果的でもある。SNS でシェアすることを通じて、ユーザは収入および消費傾向の近い友人やグループに向けて商品の正確な情報を送るのである。知名度の低いブランドがこのプラットフォーム上でアイデンティティを確立するには、バイラルマーケティングは賢いやり方だ。財政的には、より少ないマーケティング予算で、値引きの一部を調整できるかもしれない。

Pinduoduo の華々しい成長は価格とSNS連携だけによるものではない。適切なユーザプロフィールの特定が最後のピースだ。中国のモバイルeコマースプラットフォーム「Chuchujie(楚楚街)」のオペレーションディレクター Yang Lin 氏は、地元メディアとのインタビューで問題の核心を突いた。

Taobao は5億人以上のユーザを持ち、一方で WeChat は10億人以上です。中国の2つの大手アプリの差となっている巨大なグループは3級以下の都市に散らばっており、主に年配者です。このグループは最近になってネットを始め、どこにでもある WeChat を主な情報源として頼っています。このグループが Pinduoduo のターゲットです。

リサーチ企業 Jiguang(極光)のデータが示すところでは、3級以下の都市のユーザは Pinduoduo の総ユーザベースの65%を占めているが、JD は1級都市と2級都市のユーザとそれ以外の中国のユーザは半々である。さらに、女性が Pinduoduo のユーザベースの70%を占めている。家のものを買うのは彼女らの仕事であり、価格にもより敏感だ。これによってさらに活発なシェアと購入が保証されている。

JD、Taobabao、Pinduoduo のユーザ特性
Image credit: GGV

裕福な中国人の顧客は段々と高品質なものにお金を出すようになってきているという消費傾向の上昇は、ここ数年の中国 e コマース業界の主流であった。海外の高品質なものを持ち込むという Taobao や JD のグローバリゼーションイニシアチブも、Red Book(小紅書)や、NetEase(網易)の Yanxuan(嚴選)Kaola(考拉)のような国境を跨ぐ e コマースサイトのブームも、すべては消費傾向の上昇を背景としていた。

だが Pinduoduo の成長は、このプラットフォームが消費の下降を表しているのかどうかという議論を巻き起こしている。消費が上昇しているのか下降しているのかというのは、おそらく重要な問題ではない。これは単に中国市場がどれだけ大きく、そして分断されているのかということを示す証拠の1つでしかないのだ。増加する収入は中国都市部の市民の一部に、品質を求める自由を与えているかもしれない。だが、これまで目を向けられることのなかった地方の住民にとっては、値札の1人民元の違いはいまだ大きな懸念のままである。

顧客にとってはコストパフォーマンスはやはり考慮すべき最重要ファクターである。高額な商品は必ずしも高品質を表しているわけではなく、逆もまた然りだ。この見落とされがちな市場が持つ巨大なポテンシャルはさらなる競争相手を呼び込んでいる。Taobao は中国の低価格帯ユーザ専用のアプリ「Taobao Tejia(天天特価)」をローンチした

Pinduoduo がソーシャルeコマースモデルを発明したわけではない。Groupon は何年も前にグループ購入というコンセプトを開拓している。だが、スーパーアプリ WeChat やモバイル決済インフラおよびモバイルファーストなユーザによって構成される新たなエコシステムのおかげで、Pinduoduo は成功している。

後編に続く)

【原文】

【via Technode】

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