農業・食品版SPAを展開するアグリゲート、三井物産と資本業務提携——推定数億円を資金調達、都市型八百屋のFC展開・販路開拓などで協業

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新業態「旬八キッチン&テーブル」で提供される予定のメニュー
Image credit: Agrigate

東京に拠点を置き、野菜の生産・流通・販売を一気通貫で提供するスタートアップ、アグリゲートは28日、三井物産(東証:8031)と資本業務提携を提携したと発表した。三井物産発表のリリースによれば、今回の出資によるアグリゲート株式の取得比率は22%で、アグリゲートは三井物産の関連会社となる。

アグリゲートと三井物産の両社は、今回のディールにおける出資金額を明らかにしていないが、前回ラウンドの調達規模や関係者の情報などから、調達ラウンドはポストシリーズ A ラウンドで、調達金額は数億円規模と推定される。株式取得比率が開示されていることから、必然的に同社の現在のバリュエーションは数十億円の前半規模と推測される。

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アグリゲートは、東京農工大学農学部、インテリジェンス出身の左今克憲(さこんよしのり)氏が2010年に設立。農業や野菜に関わる、販売・生産流通・教育・地域活性の4つの事業を経営の柱としており、都内で都市型八百屋「旬八青果店」を15店舗、惣菜デリカ店「旬八キッチン」を2店舗(天王洲店と、長崎県雲仙市とのコラボによる虎ノ門店)運営している。

同社では今回の調達を受けて、今季中に旬八青果店を20店舗(直営19店舗、FC 1店舗)、来期中に50店舗(直営25店舗、FC 25店舗)にまで拡大する計画。「旬八キッチン」については、店舗に加え調理施設としての役割が大きいため、店舗数を著しく増やすことはしないが、「旬八キッチン」で調理された惣菜は「旬八青果店」の店頭にも並ぶため、「旬八青果店」の商圏拡大は野菜のみならず惣菜の売上増にもつながる。

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アグリゲートがオフィスデリバリしている弁当
Image credit: Agrigate

食料品を中心とした消費者とのタッチポイントを考えたとき、コンビニの存在を無視することはできないだろう。セブンイレブンはイトーヨーカードー(セブン&アイホールディングス)、ミニストップはイーオン、ローソンは三菱商事、ファミリーマートは伊藤忠商事が、それぞれ実質的なオーナーシップを持つ。三井物産はセブンイレブンに出資するなどコンビニ最大手であるセブンイレブンとの繋がりが強い。

三井物産は、野菜流通の〝川上〟(市場とのネットワーク)、〝川中〟(中間流通の卸会社)、〝川下〟(セブンイレブンへの出資や FC 展開)のすべてに強く、「旬八青果店」の FC 展開にあたって、三井物産が持つノウハウやネットワークが生きてくる可能性は高い。商社の強みを生かして、2020年以降には、「旬八青果店」を海外展開させる計画もあるようだ。

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東京の新虎 CORE にオープンする新業態「旬八キッチン&テーブル」
Image credit: Agrigate

アグリゲートは新規業態の開拓にも余念が無い。野菜をふんだんに取り入れた弁当は、1日に作られる2,400食のうち400食以上がオフィスにデリバリされている。六本木ヒルズに入居する IT 系企業やテックスタートアップなどで人気を集めているようだ。東京・新虎通り(旧・マッカーサー道路)に森ビルが10月18日に開業する「新虎通り CORE」には、新業態となるイートインスペース「旬八キッチン&テーブル」を出店する予定。これまでの住宅街だけでなく、オフィスエリアでのタッチポイント増も期待される。

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