【受賞全8ペア紹介】起業家と投資家が合宿で事業をつくる「Incubate Camp 11th」

by SuzukiSekiko SuzukiSekiko on 2018.9.20

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9月14日から15日にかけて、スタートアップへの投資および育成を事業とするインキュベイトファンド主催の「Incubate Camp 11th」が開催された。2日間にわたり、起業家と投資家が共同で事業アイデアをブラッシュアップする合宿スタイルの同イベント。第11回目の開催では、会場となる千葉県内のホテルに選考を勝ち抜いた16名のスタートアップ起業家とインキュベートファンドの代表パートナー4名、ゲストベンチャーキャピタリスト13名たちが集結した。

Incubate Campの参加対象は、シードラウンドでの資金調達を求めているスタートアップに加え、プロダクトをローンチ済みで追加の資金調達やサポートを希望するスタートアップ。

1日目は書類選考を通過し、本戦出場に選ばれたスタートアップのピッチと投資家によるメンタリング、担当する投資家のペア決め。2日目には審査員を交えたプレゼンテーションが実施された。

本稿においては、15日の決勝プレゼンテーションで総合順位5位までに入賞したチームとベストベンチャー賞、審査員賞などを受賞したサービスの概要を中心に同イベントについてお伝えする。なお、全16社の情報に関して、個々のサービスの背景や詳細などについては、随時 THE BRIDGEで取材を進めていく予定だ。

Incubate Camp 11thのプレゼンテーションで審査員を務めたのは、

  • ディー・エヌ・エー執行役員CFOの浅子信太郎氏
  • GameWith代表取締役社長の今泉卓也氏
  • DBJキャピタル取締役役員部長の内山春彦氏
  • サイバーエージェント・ベンチャーズ取締役日本代表の近藤裕文氏
  • 産業革新機構専務取締役 共同投資責任者の土田誠行氏
  • 三井住友銀行 成長戦略推進プロジェクトチーム成長事業開発部副部長の松永圭司氏

の計6名。司会はインキュベートファンドの木村亮介氏が務めた。

【総合順位1位】【ベストグロース賞3位】IMCF

(メンタリング担当:伊藤忠テクノロジーベンチャーズ 河野純一郎氏)

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デザイナーがブランドを立ち上げるには、クリエイティブの他にマーケティングや流通、販売といったビジネスの側面も必要になる。このビジネス面を支援するサービスを提供するのがIMCFだ。

同サービスでは、デザイナーと同社が共同でブランドを立ち上げ、同社がD2Cモデルでブランド商品を販売。Instagramなどでのマーケティングも支援する。既に4ブランドを展開しており、今後もブランドを設立したいデザイナーのクリエイティブに対して、マーケティング目処が見えれば、新規ブランドの立ち上げを進めていく。

販売データ部分の収集にも注力しており、今後も購買データなどを活用し、デザイナー支援を強化していく。現状Instagramでもメディアとして機能しているが、メンタリングでの意見としてあがったメディアの自社構築なども実施を検討するようだ。

【ベストグロース賞1位】SOÉJU personal

(メンタリング担当:ANRI 佐俣アンリ氏)

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モデラートが運営するSOÉJU personal (ソージュ パーソナル)は、プロのスタイリストのカウンセリング後、毎月もしくは3カ月に1回スタイリング提案を届けてもらえるサービス。カウンセリングは代官山にあるサロンもしくはオンラインにて、体型タイプ・ファッション志向診断といった内容を実施する。

アイテムの購入は、スタイリング提案の中からユーザーが希望する場合のみ実施。月額3000円を購入の有無に関わらず、ユーザーがサービス利用料として支払うモデルだ。提案するファッションアイテムは自社ブランドと他社の商品の両方を採用している。

顔の見える対面での接客による信頼関係を強みとし、同サービスの平均高倍率は64%。1人あたり年間で150万円分の購入をするユーザーもいるという。

中長期的には、データベースに蓄積している顧客プロファイルやコミュニケーション履歴に基づいて、制度の高いレコメンデーションの実現を目指す。また、短期的には自社ブランド「SOÉJU(ソージュ)」のローンチにより、マーケティングおよび事業利益率の向上を目指す。

直近ではサロンのモデルを検証し、年間売上2億円の規模への成長を目標とする。さらに、サロンとECを組み合わせたモデルで1店舗あたり7億円の売上を目指し、コスメなどの横展開も視野にいれている。

【総合順位2位】「HERP」

(メンタリング担当:Draper Nexus 倉林陽氏)

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HERPは自動連携型の採用管理システムだ。複数の採用向け媒体やエージェントなどに分散している情報を収集し、同プラットフォーム上で一元管理することができる。具体的には、連携媒体の求人票の一括管理や応募情報の確認といった機能で、企業の採用担当者が抱える作業部分の工数を削減する。

同社代表取締役の庄田一郎氏はエリクルートやエウレカにて採用業務や責任者を担当しており、自分自身が採用担当して経験した課題を解決するためHERPを創業した。

同社は採用に関連する企業向け各種APIの解放を促す「Open Recruiting API構想」を掲げており、求人媒体提供企業との交渉を続けている。2018年7月には、SCOUTERおよびFind Job!の2媒体と連携を開始した。また採用チャネルごとの効果の見える化も目指す。

今後は採用管理以外のダイレクトリクルーティングや求人票公開、候補者とのコミュニケーションが抱える課題解決に向けて、プロダクト開発を予定している。

【ベストグロース賞5位】高齢者向け住宅のマッチングメディア(名称未定)

(メンタリング担当:インキュベイトファンド 村田祐介氏)

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高齢者向け住宅に住みたい人やその子供世代を対象にした高齢者向け住宅のマッチングメディア。代表はサムライト出身の大上諒氏。主に40歳以上をユーザーターゲットとしている。

同市場では、有料老人ホームでの入居が11年待ちというケースもあるようで、サービスローンチには政府の政策によるサービス付き高齢者の建設推進がある。直近では5年で20万戸が建設済み、2020年までに60万戸が建設予定となっている。一方、情報が少ないため自分に会った住宅を見つけられない高齢者やその家族も増えているそうだ。

同サービスでは、各種サービス付き高齢者向け住宅などの情報を整理し、コンテンツを制作。健康状態やこだわりなど30項目以上の賃貸条件に対して、適した物件が見つかるようなマッチングを目指す。さらに同事業領域で、採用管理システムや求人分野への展開も視野に入れている。

【総合順位3位】【ベストグロース賞4位】「クラウド健進」

(メンタリング担当:グロービス・キャピタル・パートナーズ 今野穣氏)

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クラウド健進は、高性能聴診器「超聴診器」と「遠隔聴診システム」を組み合わせた遠隔聴診が可能なビデオチャットシステム。遠隔聴診を受けるユーザーは電極シールや接触センサー、アシスト機能がついた超聴診器により、自身で健康データを取得し、医師が音声データと可視データを受け取って相談に乗る。

同サービスを開発したのは、日本内科学会認定内科医・産業医の小川晋平氏。離島僻地などで医療従事者が不足しているなどの課題解決を目指す。病院に行く前の相談、というポジショニングでメタボリックシンドロームなどの早期発見の仕組みづくりなども視野に入れているようだ。

今後は自治体単位での導入も検討しており、1自治体でのテストマーケティングが決定している。来年春には、全国展開を目指す。

【総合順位4位】【ベストグロース賞2位】【スポンサー賞】「BeLiving」

(メンタリング担当:セプテーニ・ホールディングス 佐藤光紀氏)

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「BeLiving」は、日本で賃貸物件を探す外国人と日本の空き家を繋げるマッチングプラットフォーム。オンラインでの入居審査や賃貸契約で最速2〜3時間程度で、住みたい部屋を見つけることができる。ターゲットは外国から日本への留学生や仕事の駐在で訪れる人々だ。

AirBnB物件の宿泊許認可がおりていない物件や集客が難しいシェアハウス物件など、空き物件になってしまっている物件を主に住居を探す外国人とマッチングする。家賃未払いなどのリスクは同社が保証する仕組みになっている。

現在の主なマーケティングツールはSNSということだ。実際に同サービス開始前に1棟18部屋の物件で募集を実施したところ、1600件の申し込みがあったそうだ。

【総合順位4位】「O:SLEEP」

(メンタリング担当:インキュベイトファンド 本間真彦氏)

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企業に務める従業員向けに睡眠というアプローチで働き方改善を推進するクラウドシステム「O:SLEEP」。O:代表取締役の谷本潤哉氏が勤務での長時間労働で健康を損ない、「時計を持たない1週間の無人島生活」で回復した経験をきっかけに作られたサービスだ。

同サービスは、組織の従業員に睡眠コーチングアプリを利用してもらうことで、組織の生産性の分析、改善を見える化するクラウドシステム。コーチングアプリのデータは個人が特的できないような集合データとして活用する。

個人の睡眠を具体的に改善していくのではなく、睡眠のデータを活用し、組織の課題を解決することを目的としているのが同社の特徴。3月頃にローンチし、現在20社が導入している。

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同氏によれば、91%の確率でメンタル不調者を早期発見し、月間で平均1.5人の休退職者抑制をしているそうだ。

今後はローンチ済みのシステムと連携するデバイスをローンチする予定としている。

【審査員賞】【キャンプ卒業生賞】「VOX」

(メンタリング担当:アーキタイプ 中嶋淳氏)

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「VOX」はスマートフォン制御型の宅配ボックス。戸建や集合住宅、公共スペースへ設置し、不在時の荷物受取の課題を解決する。

サイズはS・M・Lの3種類展開になっており、現時点で冷蔵機能付きはないが、今後検討していく予定だ。屋内外で使用でき、盗難検出機能やマスターキー機能、荷物センサー機能を搭載。電源を内臓しており、電源コードがなくても利用ができる。

従来のダイヤル式のボックスなどでは3万円程度かかるそうだが、同サービスの利用料は月額390円。今後は公共スペースなどへの普及を目指し、宅配だけでなく自分専用ロッカーとしての利用なども促進する。

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なお、キャピタリスト賞には、1位にグロービス・キャピタル・パートナーズの今野穰氏、2位にインキュベイトファンド 本間真彦氏、3位にセプテーニ・ホールディングスの佐藤光紀氏、4位にはANRIの佐俣アンリ氏、インキュベイトファンドの赤浦徹氏、インキュベイトファンド の村田祐介氏が選ばれた。

今回11回目からはIncubate Camp 2nd出身で、2017年6月に東証マザーズに上場したGameWithの今泉卓也氏も審査員として参加。キャンプ卒業生賞が新設された。前回10回目までの開催で、累計参加起業家数190人、累計外部調達額は212億円でIPOおよびM&Aによるエグジットを果たした企業は14社となっている。

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