止まらないAmazonのリアル出店ーーロンドンにアパレル系を出店、次世代コラボレーション店舗誕生の兆し

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2018.10.30

ピックアップ : Amazon opens its first fashion pop-up shop via Digital Commerce 360

ニュースサマリー : Amazonがアパレル商品特化店舗を英国ロンドンに期間限定出店した。店舗商品ラインナップが一日置きに変更されるポップアップ店舗で、例えば有名ファッション雑誌編集長のトークセッションを交えたコンセプト店舗などがイベント的に展開されている。

顧客はウェブ上から店舗にどんな商品・イベントが展開されるのか確認ができる。店舗スタッフには専属スタイリストを揃え、顧客の商品選択を最大限サポートしてくれる。店舗内在庫を購入することもモバイルアプリを通じたオンライン購入も可能で、EC購入の場合は商品横にあるQRコードを読み取る。

話題のポイント : Amazonのオフライン進出が止まりません。Amazon Books、Amazon Goに続きファッション分野にも進出するに至りました。ここでポイントとなるのは3点あります。1つ目は個客データ管理

今回は数日間の限定出店でしたが、仮にAmazon Goのような旗艦店を展開するようになれば新たなデータ獲得源となります。入り口で既存Amazonアカウント認証を行った場合、オンラインと店舗購買データとの連携に成功し、店舗内でどんな商品を買ったのか情報が溜まる導線が完成します。Amazon Marketplaceと店舗内商品の情報を統合させることで、どんな購入チャネルから顧客が流入しても最適な商品展開が可能となります。

たとえばAmazon Marketplaceで購入したアパレル商品購買データをもとに、専属スタッフが顧客毎に最適なスタイルコーディネートを提案することができるようになるでしょう。また、店舗で好きになったブランド商品をAmazon Marketplace上のレコメンド機能でお勧めすることもできます。このようにどのようなシチェーションであっても、各顧客にパーソナライズした接客サービスを提供する「個客データ戦略」を可能にしてしまいます。

2つ目がコラボレーション店舗の誕生です。たとえば2018年11月からイベントやコラボレーションをテーマにした次世代百貨店「Fourpost」や「Neighborhood Goods」が米国で順次開店します。両社ともサービス展開前から数百万ドルの資金調達に成功している大型小売スタートアップです。このように商品を販売するだけでなく、イベントコンテンツなどを交えた店舗形態が徐々に主流になっていく兆しが市場から感じられるのです。

今回、Amazonの期間限定店舗ではファッション雑誌「VOGUE」とコラボレーションを果たししました。外部メディアとの連携を強めることで店舗体験へと活かす流れが強まると感じます。こうした体験をテコ入れする形で先述の個客データ戦略を駆使すれば、どのような属性顧客がどのブランドに惹かれているのかデータを収集できます。Amazonはさらなる競合優位性を手にすることになるでしょう。

3つ目は店舗内広告です。購買体験に結びつかずとも、オフラインで商品を体験してもらいブランド認知をしてもらっただけでもGoogle Adsに代表されるオンライン広告以上の訴求力を提供できます。こうした考えに基づいた広告概念が「店舗内広告」です。

Amazon GoでAIカメラが実装されているように、天井に取り付けられたカメラで各顧客がどの商品に対して興味を示したのかを分析します。商品棚毎の滞在時間を計り、体験エンゲージメント率を数値化させる手法が考えられます。このデータ収集手法と「店舗内広告」の考えを普及させたのがスタートアップ家電店舗「b8ta」です。先日、Googleとの提携も果たした急成長リテール企業であり、Amazonが仮にb8taのモデルを踏襲した場合、新たな店舗収益源および出店企業を募る際の強い営業要素となるでしょう。

Amazonの期間限定ファッション店舗から想像できる小売戦略は多岐に及びます。とはいえ、日本の小売企業がこうした戦略を駆使した出店戦略を行った場合でも、大きな商機が残っていると感じます。今後もAmazonを筆頭とした欧米のリテールトレンドに学んでみると、よい示唆が得られるかもしれません。

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