低所得者層でも住宅が買える「Divvy Homes」ーー鍵は”クレジットスコア”にあり

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DivvyHomes

ピックアップ : Divvy, an interesting new fractional home ownership startup, just raised a Series A round led by Andreessen Horowitz via TechCrunch

ニュースサマリー : 低所得者向け住宅購入サービス「Divvy Homes」が3,000万ドルの資金調達に成功。本ラウンドは著名VC「Andreessen Horowitz」がリードした。Divvy Homesはクレジットスコアが著しく低い550以下の顧客を対象に、物件購入をサポートする。約5万ドルから20万ドルの価格帯の物件を取り扱う。

仕組みは顧客が購入希望物件の2%以上の支払いを済ませる。残りの最大98%はDivvy Homes側が負担。同社負担額は市場価格およびエクイティー支払いとして顧客が毎月支払う。最大3年をかけて物件所有権の10%に当たるまで支払いを続ける。

支払い終了時には、顧客のクレジットスコアが580にまで上昇している目算で、それを超えると金融機関などからローンを組むことができ、住宅を担保として差し出すことが可能となる。ローン借り入れが決まれば、借り入れ額はDivvy Homesへ支払われる。仮に3年以上支払いを続けた顧客が自己破産してしまっても、住宅担保があるため金融機関のリスクは減る。

話題のポイント : Divvy Homeの登場は住宅購入市場に新たな「所有」の業態を導入した好例とも言えるでしょう。低所得者層にアプローチすることで、これまで非常に敷居の高かった住宅購入のハードルを下げる仕組みを構築しました。

Divvy Homesのビジネスモデルで参考となる点は、ステークホルダーとWin-Winの関係を築ける業態でしょう。

顧客が希望物件の10%までしっかりと支払い義務を果たせばクレジットが貯められます。住宅購入を通じて低所得者層から中所得者層へと社会的信用・地位をテコ入れするポジティブな循環を生み出しています。Divvy Homes側も10%までの支払いを見届ければ顧客が金融機関から正式にローン借り入れができるようになるため、利益を確定できます。

もっとも危惧すべきは、3年以内に顧客が破産してしまうデフォルトリスク。最低でも物件の88%(利用当初は最大98%の購入額をDivvy Homesが負担。そのあと10%まで支払いをさせる。98% – 10% = 88%)の所有権をDivvy Homes側が抱えるリスクが発生します。この点は、シリーズAまで資金調達できていることから、リスクヘッジするためのある程度の顧客スクリーニングマニュアルが存在していると予想されます。

また、たとえ支払い義務を怠った顧客が現れても、信用スコアデータを各金融機関に販売することで、低所得者情報を握るフィンテック情報企業としての側面を持てるかもしれません。支払い義務違反を犯した顧客に対し、他の不動産業者も当該者へ賃貸する基準を高めることができます。言い換えれば、表面上は住宅購入サポートサービスという謳い文句でありながら、裏では信用スコア情報ビジネスという業態を併せ持つことできるのです。

日本でもCASHが同様のサービスを展開したら面白そうだと感じました。

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