国家による不動産情報のブロックチェーン管理ーーイギリス土地管理局が検討のコマを進める

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本稿は11月18日から20日まで東京ミッドタウン日比谷で開催されるブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo 2018」編集部による寄稿

HM Registry to explore the benefits of blockchain via HM Land Registry UK Press Release

ニュースサマリ:イギリス土地管理局は10月1日、物件売買の合理化を図ることを目的とするブロックチェーン活用プロジェクトを第二段階に進めると公表した。同局はこの検討にあたって不動産の登記情報や購買記録の保存が可能となるプラットフォームを開発するMethodsと提携している。なお、Methodsが開発するプラットフォームはR3が開発を進めるCordaフレームワークを採用している。

話題のポイント:国家によるブロックチェーン活用事例です。ここに出てくるR3社は2014年創業で、前回お伝えした「コンソーシアム型ブロックチェーン」を開発するEEFやHyperledgerと並び、特に金融機関をターゲットにプロジェクトを進めるブロックチェーン関連のスタートアップです。

データ・トランザクションを管理する上で重要になってくるのがスマートコントラクトです。

スマートコントラクトを説明する際に、従来までは店舗を通してしか(人為的確認が必要)飲料水を購入できませんでしたが、自動販売機ができてからはお金を入れるだけで自動的に(スマートコントラクト)飲料水が獲得できるようになった、という例え話があります。

これはブロックチェーンのひとつの機能であり、そこにフォーカスして、中央・非中央集権(プライベート or コンソーシアム)をあまり意識せず、この機能が果たす業務効率化の力を活用したのが今回の事例と言えるでしょう。

膨大な不動産登記などの情報を管理する上で、自動化が進めばそこに潜む効率化の効果は計り知れません。「AIによって業務効率化を図る」というトレンドがありますが、ブロックチェーンが持つスマートコントラクトという機能もそういう意味では限りなくAIに近い印象があります。

中央があるか否かという点で、コンソーシアム型のブロックチェーンはブロックチェーンではない、といった批判はよくありますが、実際問題このように国家が中心となって効率化を図る際に用いるブロックチェーンの選択としては最適解なのかもしれません。こういった事例において現状のパブリックブロックチェーンを考えると、コンソーシアム型ブロックチェーンが魅力的に映る理由が分かる気がします。(執筆:増渕大志

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