Uber、持続可能なモビリティを進める取り組みの一環として電動自転車の充電スタンド「Jump」をローンチ

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(上)Jump 充電スタンド
Image Credit: Jump

Uber は自社のドックレス電動自転車用のパブリック充電スタンドをロールアウトするという計画を発表した。「持続可能なモビリティ」キャンペーンのより幅広い取り組みの一部をなす動きである。

このニュースとともに、同社は9月26日1,000万米ドルの新たな持続可能モビリティファンドを発表した。さらに、Uber のような民間の運輸企業が他者とどのようにデータを共有できるのかという基準を作り上げるために同社は SharedStreets とのパートナーシップも発表した。

Uber の CEO である Dara Khosrowshahi 氏はこう述べた。

個人で自動車を所有することが前世紀のモビリティにおいて根本的なインパクトを持っていたように、新たな交通形態はまた別の革命に拍車をかけています。独自の困難とチャンスを伴った革命です。今日の私たちは変曲点にいます。人々を A 地点から B 地点へと運ぶための、よりスマートで、安全で、効率的な方法を作るべく、官民が一体となって協力していく必要があります。

充電完了

去る4月、Uber は電動バイクシェアリングのスタートアップ Jump を、2億米ドル相当とされる取引で買収した。これは Uber の長期的な目標を示すものであり、移動に自動車が適さないような全ての状況に対して、都市交通のオプションを提供しようとするものだ。Jump のドックレス電動自転車は電動アシスト自転車であり、充電が必要なので、従来はチームを組んで自転車を回収して駐輪場に戻し、6時間かけて充電していた。

これはスケールが困難なシステムであるため、今 Uber は Jump 自転車のための充電スタンドをロールアウトしている。まず、Uber はサクラメントとの「深い」パートナーシップから始めると述べた。サクラメントは市内各地の大学や役所、そして公共交通機関の駅で充電スタンドを提供することとなる。

弊社は電動自転車を通勤や乗換えへの行き帰りといった日々の利用に使えるようにするため、Sacramento Regional Transit District(サクラメント地域交通局)、Sacramento Council of Governments(サクラメント市審議会)、カリフォルニア州立大学サクラメント校といった公共機関と緊密に連携しています。

Khosrowshahi 氏はそのように付け加えた。

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(上)Jump 充電スタンド

充電スタンドはある意味で「ドックレス」という原則に反してはいるが、人々が自転車を置いておきたいと思うような場所に配置されているため、ユーザが充電スタンドに停めるよう促すことになるだろう。

これは確かに理に適っている。多くの都市でドックレス自転車は紛れもなく爆発的に増えているが、必ずしも諸手を挙げて歓迎されているわけではなく、電動自転車は継続的な充電のためにより多くのインフラが必要となる。そしてこの点こそが、Uber が充電スタンドと共に投資している部分だ。現時点では狭い一地域に限られているが、Jump はヨーロッパを含む新たな市場へと拡大を続けているため、この取り組みがもっと遠い場所に着地するということも期待できるかもしれない。

Khosrowshahi 氏は続けてこう述べた。

弊社が Jump を買収したのは、都市周辺への移動に自動車はまったく適さない場合もあるという考えへの直接的な投資です。電動自転車への投資は初期段階の結果は良いものだったと胸を張って言うことができます。サンフランシスコでのデータによると、最も渋滞が激しい平日の午前8時から午後6時までの間、Uber 自動車での移動は10%減少したのにもかかわらず、Uber プラットフォーム全体の Jump 利用者による移動は15%上ったのです。

ファンディング

Uber は本日(9月26日)、いくらかのファンディングイニシアチブについても発表した。

持続可能なモビリティへの Uber の投資を支えるのは1,000万米ドルの新たなファンドであり、Khosrowshahi 氏によれば、これは「現状のモビリティの維持よりも長期的な公益を優先するという理念のためのキャンペーン」に使われることになる。これには持続可能な交通環境で活動している世界的な NGO が定めた基準である Shared Mobility Principles for Livable Cities(住みよい町のためのシェアードモビリティ主義)への支持も含まれることとなる。

Khosrowshahi 氏は特に、投資を試みようとしている一領域として、混雑課金を指摘した。Uber はニューヨークで混雑立法が通過するよう、すでにロビー活動に投資してきた。また Uber はこの法律は全ての車両に適応されるべきであり、初期段階の提案が明確にターゲットにしたように、有料の車両に限定されるべきではないと強く主張している。

Khosrowshahi 氏は次のように述べた。

混雑課金の徴収から生み出される資金は、公共交通機関を直接的に支援することになるでしょう。それが弊社のキャンペーン全体の重要な目標です。弊社はこの度、来年のニューヨークにおける法案の通過を勝ち取るために追加で100万米ドルを出すことにしました。このキャンペーンは世界中の都市に持続可能な交通の方針をもたらすために、同様の支援を行うという弊社からの合図です。

このファンドから Uber は未公開の額を PeopleForBikes にも充てている。PeopleForBikes はアメリカ各地で政府や地方自治体と協力し、自転車に関する法やそれに関連するファンディングイニシアチブを進めている組織だ。

ビッグデータ

都市がインフラを向上させるための重要なツールとして、ビッグデータは浮上している。たとえば、Uber は都市と連携して匿名化したトリップレベルのデータを提供しており、交通管理プラットフォームの Waycare は履歴データおよびリアルタイムデータのソースを活用し、地方自治体が安全性やインフラを向上させる手助けをしている。中国では都市がライドシェアリングデータとスマート信号機を調和させて、道路の混雑を緩和している。

以上のことを踏まえて、Uber は本日(9月26日)SharedStreets とのパートナーシップおよび同団体への25万米ドルの提供も発表した。SharedStreets は National Association of City Transportation Officials(NACTO)と世界銀行が主導する Open Transport Partnership が作った非営利団体であり、Uber のような企業がどのようにデータを他者と共有できるのかという新たな基準を作り、公道の発展を目指すものである。

Uber は世界中の数百の都市で利用可能で、数百万人が最初に選ぶライドヘイリングアプリであり、多くの国々で都市と協力するための独自のポジションを得ている。そしてまずはじめに、同社は道路の速度データを地方自治体に提供したいと述べている。

Khosrowshahi 氏はこう指摘した。

今日の多くの都市は、ほぼあらゆる交通分析に用いられるデータセットである道路の速度について詳細なデータを欠いています。弊社は、世界中で1日に1,500万件の移動をお手伝いする企業として、集めた豊富なデータをサービス展開している都市に役立てていただくという独自の機会を持っています。だからこそ弊社は SharedStreets と提携し、民間企業が道路の速度データを他者と共有することができる最先端の基準を作ろうとしているのです。

これはつまり、今後数ヶ月のうちに Uber はストリートレベルの速度データを無料で公開し利用可能にするつもりであるということだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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