勉強ノートまとめアプリ「Clear」のアルクテラス、シリーズCで新生銀行やZ会から1億円を資金調達——企業向け新卒採用支援や塾向け広告に参入

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アルクテラス 代表取締役の新井豪一郎氏
Image credit: Masaru Ikeda

学生向けのノートまとめアプリ「Clear」を展開するアルクテラスは30日、シリーズ C ラウンドで1億円を資金調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、新生銀行と新生企業投資のファンド、Z 会を運営する増進会ホールディングス。2015年7月のシリーズ A ラウンド、2016年11月のシリーズ B ラウンドとあわせ、アルクテラスのこれまでの累計調達額は約4億円に上る。増進会ホールディングスからの調達は、前回シリーズ B ラウンドに続くもの。

アルクテラスは2010年10月、リゾート開発・運営大手の星野リゾートでスキーリゾート事業責任者などを歴任した新井豪一郎氏(代表取締役)が、慶応ビジネススクールで同期だった白石由己氏(取締役副社長 COO/CFO)と共同創業。

2013年12月にローンチした Clear は、教科や単元別に他ユーザとノートを共有できるサービスで、ウェブのほか、Android や iOS のアプリとして提供されている。ローンチから約5年を経て、Clear の国内外での利用は、ダウンロード件数220万件、月間アクティブユーザ100万人以上、ノート蓄積数25万冊で、タイ、台湾、インドネシア、中国、香港などにも多くのユーザがいる。

バンコクで2017年に開催された Techsauce Summit 2017 で、ファイヤーサイドチャットに参加する新井豪一郎氏
Image credit: Masaru Ikeda

今回調達した資金を使って、アルクテラスは企業向けの新卒採用サービスに参入する。これは、大学生が新卒として企業に就職後、希望職種と実態のミスマッチが生じ、入社直後の離職率が高くなっている現状を抑制することを意図している。新井氏によれば、学業と仕事では必要とされるスキルは異なるものの、Clear の利用を通じて得られた学習ログをもとに性格や適性などを分析し、ユーザに適職を案内するようなサービスを想定しているようだ。また、Clear を利用するユーザの約半数は理系・医学系の学生が占めており、こういった学生を社員に迎えたい企業のニーズにも応えたいとしている。

また、アルクテラスでは Clear 上での塾向けの広告出稿サービスも開始する。既存の多くの塾の広告は保護者向けであることと対照的に、Clear は生徒に直接リーチできるチャネルであるため、生徒向けの広告出稿が可能だ。地域、学年といった複数のユーザプロファイルに基づいて、効果的な広告出稿を実現する。

この事業領域で競合となり得る、「塾ナビ」や「みんなの学校情報」といったメディアを運営するイトクロ(東証:6049)は、時価総額700億円以上、PER 60倍以上と市場評価は高い。アルクテラスではかねてから Clear 以外に、塾向けの指導ツール「カイズ」や東京・大田区の住宅街で志樹学院という個別指導塾を自ら営んでおり、広告出稿サービスへの知見活用も期待されるところだ。

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