あの人は今ーーチェックインの火付け役「Foursquare」誕生から約10年、実は10億人が使っている影の主役に

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Foursquare raises $33 million to expand its location technology platform via VentureBeat

ニュースサマリ:位置情報サービスのFoursquareが10月2日に3300万ドルの資金調達に成功している。VentureBeatの記事によれば、引受先になったのはSimon VenturesとNaver、Union Square Ventures。ラウンドはシリーズFで、2500万ドルの資金については調達が完了しており、セカンドクローズとして今年年末までに残りの800万ドルを調達する予定としている。

話題のポイント:今では当たり前になった位置情報サービスですが、この火付け役としてのFoursquareを知ってる人はどんどん減っているんじゃないでしょうか?

消費者向けの位置情報 x SNSアプリとして2009年にリリースされたもので「チェックイン」という言葉と共に一世を風靡したスタートアップです。チェックインするともらえるバッジなどの仕組みは「ゲーミフィケーション」(ゲーム要素のある行動促進施策)と呼ばれ、書籍などで解説本が出るなど「ああ、そういえばそんなのあったな〜」と思われる人も多いかもしれません。2015年には6000万登録ユーザーを獲得しており、月間MAU5000万人とその人気ぶりがわかります。

しかしFacebookを中心とする強力な消費者プラットフォームに位置情報機能が組み込まれたおかげで、チェックインのシェアは消失しました。その後、2014年に「Swarm」を分離するなどアレコレと消費者向けの施策はありましたが、最終的に行き着いた先はやはりビジネス向けだったようです。

その準備は2013年頃からで、蓄積された位置情報のビッグデータを「Foursquare for business」や「Foursquare API」などの形で事業者向けに提供し、これが彼らを生き残らせる源泉となるわけです。具体的な展開はこんな感じです。

  • Place Insights:1億以上の場所の情報を持ち、人々がどう動いているかがわかるツール
  • Pilgrim:サードパーティアプリ向けの広告配信ツール。GPS、通信、通信信号強度、周囲のWi-Fiネットワークなどの信号を組み合わせることで、ユーザーがチェックインする必要なくユーザーの位置を推測することができる。
  • Pinpoint:ロケーションベースの広告配信・分析ツール
  • Attribution:来店者の動向分析ツール。Attributionの最新リリースでは、過去の訪問数、時間帯、曜日、店舗からの距離、アプリやプラットフォームの使用状況など、500を超えるさまざまな要素が存在。
  • Places API:直近リリースしたアプリ開発社、中小企業、スタートアップ向けの位置データ活用ツール。ロケーションベースのデータへのアクセスを提供するだけでなく、Placesデータベース内の1億以上の場所に関する写真、ティップス、レビューなどを利用することができる。

このような形でかつての消費者向けサービスは裏方に回り、彼らの位置情報サービスを利用している顧客会社数は12万社に拡大するまでになっているそうです。有名どころでは、Uberの地図上の店舗名はFoursquareのデータが使われており、同社のジオロケーションのツールを利用しているアプリのユーザーのリーチ総数は10億人に上ります。

記事にもありますが、中でもロケーションベースの広告配信・分析ツールはDisneyやSubway、Walmart、AT&T、Citibank、Office Depotなど超大手に利用されており、3年間のグロースは491%と成績好調です。

消費者向けサービスとしては「あの人はいま」的な存在になりましたが、しっかりと着実にビジネスを進めている事例として興味深い内容ではないでしょうか。

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