Leap Motion、Appleとの買収交渉を二度にわたって台無しに

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VR のハンドトラッキングを実演する Leap Motion 設立者 David Holz 氏
Image Credit: Dean Takahashi

AR・VRスタートアップの Leap Motion は、業務とゲームの両方で使える、紛れもなくアメイジングな」ハンドトラッキングハードウェアを開発していた。しかし、Business Insider の新しいレポートによると、同社のビジネス感覚は必ずしも鋭いわけではないようだ。Leap Motion は過去5年にわたり、Apple からの2度の買収提案を台無しにしてきた。その理由は完全には定かではないが、重役の非現実的な期待が原因とも言われている。

レポートによると、Apple が買収について話し合うために、初めて Leap Motion の共同設立者である Michael Buckwald 氏と David Holz 氏に会ったのは2013年のことである。この会談では、買収によって Apple の新しい複合現実に対する取り組みを支援するための見通しについて話し合われた。非常に珍しいケースを除いて、Apple は通常買収した企業、企業内のチームとプロジェクトを取り込んで自社の一部にする。

Apple は Leap Motion の買収でも同じようにするつもりだったようだ。クパチーノに拠点を置く Apple は、Leap Motion のチームと従業員、知的財産を買うつもりだったが、Leap Motion の重要なアクセサリーには興味がなかった。それは価格が80米ドルで、複雑な手の動きをコンピュータが理解できるジェスチャー入力に変換するボックスである。Leap Motion のデバイスがあれば、手と指の動きを VR 企業やゲーム業界で活用できることは明らかだ。

Holz 氏は Apple の提案に興味を示さなかったようだと伝えられている。同氏はApple について「かつてのイノベーションを失い、テクノロジーも大したことはない」と語り、次いで Apple のライバルである Google のモバイルオペレーティングシステム Android を褒めたたえた。Leap Motion の元社員によると Holz 氏は実際に「あんな人たちとは二度と一緒に働きたくありません。彼らは悪魔のようです」と語っていたそうだ。そして買収は今回も失敗に終わった。

最初の試みが失敗に終わり、Leap Motion の財政面も不安定な兆しを見せ始めていた。Apple はそれでも同社に興味があることを伝え続けた。しかし取引には至らず、結局、AR 製品開発のために Leap Motion の従業員数名を雇うこととなった。Leap Motion では、ハンドトラッキングアクセサリーに続く製品として、North Star という奇妙な見た目の AR ヘッドセットを開発していた。AR コミュニティのイノベーションを活発化させるために、このヘッドセットはすぐにオープンソースとして公開された

今年の春も終わる頃、Apple は3,000万~5,000万米ドルを提示して再度 Leap Motion の買収を試みたようだ。そして正式な内定通知と福利厚生案を送るところまで来ていた。ところが、Leap Motion を過小評価していると設立者らが主張したことで、取引はまたしても「謎を残したままご破算」となった。

Leap Motion の評価額は最大で3億600万米ドルとされてきたが、投資家のパフォーマンス目標に到達できるだけの収益を上げられていない。ハンドトラッキングアクセサリーの市場は限られており、同社が開発した AR ヘッドセットの販売もまだ開始していない。レポートによると、ここ数ヶ月で複数の従業員が Leap Motion を退職し、家賃の高いサンフランシスコのオフィスも退去しているとのことである。同社は他社とミーティングを行い、取引の可能性を探っている。今後も独立を保てるのか、結局他社に買収されることになるのかは、同社のピーク時の評価額より低い価格でも買収を受け入れるかに大きくかかっている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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