Amazonは人工衛星市場の民主化を進めるーー衛星写真データの提供サービスを開始

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2018.12.4

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Image by NASA Goddard Space Flight Center

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ニュースサマリー : 11月27日、Amazonが人工衛星写真データ提供サービス「AWS Ground Station」の立ち上げを発表した。利用企業は予めスケジュールしておいた時間における特定地域の人工衛星写真をAmazonのデータセンターを通じて取得することができる。衛星画像の分析を事業としている企業が抱える、衛星データの取得・保存・機械学習による解析コストの3つの課題を解決する。

本サービス立ち上げのため、Amazonは宇宙航空企業「Lockheed Martin」と提携してAWSとデータ連携可能なアンテナ「Verge」を用意。世界中の企業が自社で衛星データを獲得するためのサーバー構築コストから、低軌道衛星の打ち上げ企業との提携コスト削減を目指す。

話題のポイント : 人工衛星データ需要が日に日に高まっているように感じます。なかでも農業、不動産、海運分野での活用事例を頻繁に目にします。

たとえば農業害虫の発生を予防するIoT開発企業「Spensa Technologies」は、画像認識技術を用いた虫カゴを提供。虫カゴに入った害虫の種類と数を分析して該当農地のどこ、どのタイミングに、どんな害虫が大量発生するのかを事前予測します。同社は虫カゴだけでなく航空画像データ分析を通じた害虫発生予測も行います。今後、AWS Ground Stationのようにデータ獲得コストが下がれば、航空写真ではなく低軌道衛星写真を使った分析へと切り替えることも考えられるでしょう。

不動産スタートアップも住宅保険の査定に、衛星写真を通じて特定住宅の屋根の損傷具合を判定します。こうした保険企業の査定にも人工衛星データが応用されています。

広大な海原で各船舶の航行状況をリアルタイムで分析する海運サービスにも人工衛星が利用されています。海運業者に向けて人工衛星を通じて得た航行情報を提供する「Spire」がそれです。同社はAWS Ground Stationの初期顧客としてすでにサービスへ参加しており、これに並んで海運事業者向け低軌道衛星データを扱う「Satellogic」や「ICEYE」もGround Stationを利用することが見込まれるでしょう。

人工衛星データ需要が高まれば、必然的に打ち上げ需要も高まります。そこで従来、数億ドルの開発・打ち上げコストを要していた人工衛星を数百万ドルまでの低コスト化に成功させた「Capella Space」に注目が集まるでしょう。関連して小型人工衛星用の打ち上げ基地を開発する「Vector」の成長も期待されます。

先述した3つの市場(農業・不動産・海運)は単なる一例に過ぎません。AWSが人工衛星データを取り扱うようになり「衛星データの民主化」が進めば、別市場へのデータ活用も十分に考えられます。

人工衛星市場は非常にコストのかかる事業であるため、容易にスタートアップが参入できるものではない印象でした。しかしAWSがディスラプトした商機を見逃さなければ、日本のベンチャーも世界的な事業拡大を目指すことができるかもしれません。

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