荷物預かりのecbo、JR東日本・JR西日本・JR九州との業務提携を完了——西日本の駅関連施設や博多駅構内でもサービスを開始

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左から:JR九州 博多駅駅長 森勝之氏、ecbo 創業者 兼 CEO 工藤慎一氏、JR九州 執行役員 事業開発本部企画部長 福澤広行氏
Image credit: ecbo

荷物預かりサービス「ecbo cloak(エクボクローク)」を展開する ecbo は21日、福岡市内で記者会見を開き、JR 九州と業務提携したことを明らかににした。この提携にを受けて、ecbo は22日から博多駅構内の旅行窓口で荷物預かりの実証実験を開始する。同社ではこれに先立ち、JR 東日本管内では山手線の東京駅、品川駅、池袋駅で、JR 西日本管内では駅関連施設や駅構内の14拠点でサービスを開始しており、全国の JR や」鉄道各社でサービスを開始する上で、大きな足がかりとなるだろう。

既存のコインロッカーに比べ、ecbo cloak のバリュープロポジションは、事前決済・予約ができること、預け場所で取扱優先レーンが用意されていて並ぶ必要が少なくて済むこと、コインロッカーに入らないスーツケースなども預かれることなどが挙げられる。サービスが複数言語に対応していることも重宝され、ecbo cloak のユーザの外国人率は7割に達している。サービス開始から2年を経て、利用者や利用動向に関する精緻なデータが溜まったとのことで、これまでオーガニックな流入に依存していたユーザ獲得についても、来年からマーケティングに本腰を入れる模様だ。

ecbo の創業者で CEO の工藤慎一氏は THE BRIDGE のインタビューに対し、次のように語ってくれた。

荷物の預かり場所はまだ圧倒的に足りていない。駅ナカが最もよく使われているので、今はそこを取りに行っているところだ。とにかく、荷物の預かり・預け場所のサプライとデマンドを均一化していきたい。ちょっと駅から歩く預け場所は料金を割安に変動させるとか、将来はダイナミックプライシングなどの導入の可能性もあるかもしれない。

ダイナミックプライシングの可能性は、プライスサージなどの仕組みを持つ Uber で勤務した経験のある工藤氏ならでは発想と言えるだろう。 ecbo cloak のユーザ数は公表されていないが、利用可能な荷物預け場所の拠点数は1,000ヶ所を超えている。今までに無かったコンセプトだけに、「サービスを浸透させるのに時間がかかった」と工藤氏はこれまでの道のりを振り返るが、インバウンド人口の増加に加え、2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博など大規模イベントが目白押しの中、荷物預かりの需要は今後も継続的に伸びると見られ、今後 ecbo cloak の導入に向けて動く事業者は増えることが期待できるだろう。

ecbo は IVS 2017 Fallのピッチコンペティション「LaunchPad」で優勝「JR EAST STARTUP PROGRAM」の第1期デモデイで審査員特別賞「東急アクセラレートプログラム」第3期デモデイでNewWork 賞を獲得している。

ecbo はこれまでに、エンジェルまたはシードラウンドで千葉功太郎氏、渡瀬ひろみ氏、ANRI本田圭佑氏から、今年2月にはシリーズ A ラウンドで東日本旅客鉄道、JR西日本イノベーションズ、メルカリ、赤坂優氏、廣田朋也氏、河合聡一郎氏から資金を調達している。累積調達額は明らかになっていないが、総額で数億円程度に上ると見られる。

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