Airbnb「住宅市場参入」の衝撃ーーデータドリブンな〝証券化〟住宅が建ち並ぶ未来とは

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Image by Airbnb Samara

ピックアップ:Exclusive: Airbnb will start designing houses in 2019

ニュースサマリー:民泊サービス「Airbnb」の未来部門(フィーチャーディビジョン)「Samara」が住宅建設プロジェクト「Backyard」を2018年11月末に発表した。

同プロジェクトが目指すのはシェアリング時代に最適な住宅の提供。現在建設中のプロタイプは2019年にリリースされる予定。未来志向を軸に、地域コミュニティを発展、環境への配慮、スマートホームの位置付けにおいて最先端な住宅開発を目指す。

話題のポイント: Aibnbが考える住宅建設事業は、コミュニティを重視した社会貢献の意味合いが非常に強いと言えるでしょう。しかし、今や500万戸以上の住宅をネットワークに持つAirbnbのデータを活用すれば、通常の住宅よりはるかに利回りの良い「シェアリング特化住宅」を次々と建てることができると考えます。

1つの事例として「Loftium」を挙げさせてください。2016年にシアトルで創業し、累計250万ドルの資金調達に成功している不動産スタートアップです。同社は住宅購入希望者に頭金約5万ドルを提供します。これは住宅ローンではなく、借入金ではないため返済義務は発生しません。その代わり、12〜36か月の間、Airbnb向けに部屋を貸し出し、収益分配をLoftium側とする必要があります

どの程度の期間、いくつの部屋を貸し出すのかは各地域のAirbnb需要と料金をもとに算出します。一定の利益が出ると事前予測データから判明したら、機関投資家から頭金5万ドル相当の投資を募り、オーナーへと渡る仕組みになっています。この点、LoftiumはAirbnbを活用したいわば「住宅証券会社」であり、5万ドルを負担する必要がありません。

同じ仕組みをAirbnbが導入したらどうなるでしょう?データドリブンの観点から各地域の中で収益を最大化できる場所に住宅を建設。オーナーは頭金と住宅購入金額の一部を支払い、残りの額は長期投資家らが補填。オーナーは在住期間中、各部屋をAirbnb向けに貸し出すことを条件に、住宅ローン返済が免除されるような新たな住宅購入システムが考えられます。

5〜10年で投資家は最低限の利益を確定することができ、その後も継続してリターンを得ることができるはずです。部屋単位で証券化される「民泊時代の住宅証券」と言えるでしょう。オーナーになる人は初めから民泊を通じていろんな人とのコミュニケーションを好む人であると想定されるため、一切の苦を感じることなく生活していけます。

これまで培ってきたデータを活かして収益を最大化させ、証券販売する仕組みをAirbnbが確立すれば、立派なフィンテック企業へと成長できる可能性が見えてくるはずです

非常に飛躍した考えかもしれませんが、長期投資市場へとAirbnbが参入する余地は十分あります。一方、日本の不動産業者がLoftium同様に部屋単位の住宅証券サービスを提供してみると、非常に面白い取り組みになるかもしれません。

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