IVS 2018 Winterのピッチコンペティション「LaunchPad」の優勝は、次世代ドローン「Nextシリーズ」を開発するAERONEXTが獲得 #ivs18w

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本稿は、12月17〜19日に開催される、Infinity Ventures Summit 2018 Winter in Kanazawa の取材の一部。

19日午前、IVS では恒例となっているスタートアップ・ピッチコンペティション「LaunchPad」が実施され、次世代ドローン「Nextシリーズ」を開発するAERONEXT が優勝を獲得した。

LaunchPad の審査員を務めたのは、

  • 仲暁子氏 ウォンテッドリー 代表取締役 CEO
  • 千葉功太郎氏 Drone Fund General Partner
  • 木下慶彦氏 Skyland Ventures ジェネラルパートナー & CEO
  • 川田尚吾氏 DeNA 顧問
  • 山岸広太郎氏 慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長
  • 國光宏尚氏 gumi 代表取締役会長
  • 吉田浩一郎氏 クラウドワークス 代表取締役社長 CEO
  • 堀新一郎氏 YJ キャピタル 代表取締役社長
  • 真田哲弥氏 KLab 代表取締役会長 兼 社長
  • 丸尾浩一氏 大和証券 専務取締役
  • 本田謙氏 フリークアウト・ホールディングス 代表取締役社長 Global CEO
  • Brendan Wales  Partner, e.ventures
  • Corina Birta  Executive, ITC
  • Joseph Chan/詹德弘氏 AppWorks/之初創投

なお、副賞としてファイナリスト全チームに  Freee の1年分利用権(Freee 提供)、1〜3位入賞チームに Daiwa Innovation Network 優先登壇権(大和証券提供)、優勝チームにサッポロビール1年分、2〜5位入賞チームにサッポロビール半年分(AGSコンサルティング 提供)、全社に AWS Active 3,000米ドル分(Amazon Web Services 提供)が贈られた。

【1位】Next by Aeronext

<副賞>

  • Freee 200万円相当利用権(Freee 提供)
  • スペシャルディナーご招待 with Daiwa IPO Team(大和証券 提供)
  • SibaZiba スペース利用権300万円分(SibaZiba 提供)
  • Aiptek Mobile Cinema i70、Elecom Omni shot、コワーキングスペース6ヶ月間無料利用権(NTT ドコモ・ベンチャーズ 提供)
  • TECH PLAY 利用権150万円相当(PERSOL 提供)
  • ヴィラージュ伊豆高原1組5名1泊分(住友不動産提供)
  • 「SOICO タイムカプセル ストックオプション」無料コンサルティング(SOICO 提供)
  • Amazon 本当にかなうウィッシュリスト(Amazon Web Services 提供)

AERONEXT は、次世代ドローン技術を開発するスタートアップだ。独自技術「4D Gravity」を使って、これまでに360°VR撮影用の「Next VR」、宅配専用の「Next DELIVERY」、インフラ点検や検査測量、警備、農業等に対応した「Next INDUSTRY」といった、ユースケースに最適化されたドローンを発表している。

ソフトウェアではなくハードウェア的なアプローチ、ドローンの機体を改善することで、飛行時の軸がぶれないなど安定性や高速飛行などの点で圧倒的な技術的優位性を獲得した。ユースケースのそれぞれの業界大手とジョイントベンチャーを作ることでスケールを図る。現在、マルチコプター技術を駆使した固定翼垂直離着陸機「Next VTOL」を開発中だ。B Dash Camp Fall 2018 in 福岡の Pitch Arena でも優勝

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【2位】Virtual Cast by Virtual Cast

Virtual Cast は、VR デバイスを使うことで、誰でも容易に VTuber になることができるサービスだ。現実よりも楽しい仮想現実の世界を作ることが目指している。Twitter と連動して、配信している番組へのツイートを番組内で紹介することもできる。VTuber は視聴者からギフトを送ってもらい、マネタイズすることが可能。

他の VTuber の番組に飛び込み参加ができる「凸機能」という機能が備わっており、VTuber 同士が互いの番組で掛け合いをすることも可能。HTC VIVE、Oculus Rift + Oculus Touch、Windows Mixed Reality に対応している。

【3位】MiiTEL by REvComm

RevComm の「MiiTel(ミーテル)」は、電話営業を人工知能で可視化するサービスだ。電話営業では、担当者と取引先の閉じたコミュニケーションにしてしまいがちだ。成約と失注の理由が共有できず、結果として営業活動が属人化してしまう。MiiTel を導入すると、取引先にかけた営業電話を内容を録音し解析。そのフィードバックを営業活動に反映し改善することができる。

話すスピードを取引先の担当者と合わせることを促すなど、営業トークを改善する機能も備えている。今後は、AI によるアポどりとクロージングの自動化、また、営業のみならずミーティングの最適化や経営判断の最適化なども提供したいとしている。同社は今年10月、「ビズリーチ創業者ファンド」から1号案件として資金調達している

【4位】P3 Finder by RF Locus

RF Locus の「P3 Finder(P3ファインダー)」は、RFID タグを使った高精度位置測定システムだ。一般的な RFID のユースケースでは、バーコードを使った方法に比べ、商品の入った段ボールを開梱する必要がなく、棚卸しなどが楽になる。しかし、RFID は位置精度がよくないため、どの位置にその商品が存在するのかは把握しづらい。

P3 Finder ではスマートフォンとソフトウェアを使い、スマートフォンの加速度センサーを併用した「電波位相情報時系列解析」により、開梱しない状態でも正確な商品の位置と内容を把握することができる。ピッチでは、物流ロボットやドローンと併用したシステムを披露。トヨタ自動車、大手航空会社の整備、大手アパレルなどで導入されている。

【5位】GOKURI by PLIMES

PLIMES は、筑波大学からスピンオフしたスタートアップで、加齢による飲み込み能力の低下、すなわち、嚥下機能計測を行う。首の部分に接触させたマイクを使って拾う音から嚥下が正常であるかどうかを日常的に計測でき、ユーザのリハビリの効率化を目指すウエアラブルデバイス「GOKURI」を開発している。

2,700回の嚥下を AI 学習し、その情報をもとに 97.3%の精度で嚥下を検出する技術を開発。特許を取得している。今年4月のローンチ以降、16施設1,089ユーザに利用されている。1台あたり10万円、サブスクリプション500円/月でマネタイズする。

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AILL by gemfuture

厚生労働省の調査によれば、20〜30代の正社員独身者の半数以上が恋人がいないと回答しており、その理由として、建前では「忙しい」や「恋愛のノウハウが無い」という回答が多いという。しかし実際の理由は、「恋愛で傷つきたくないから」というのが深層心理にある、と GemFuture は見立てる。成果主義が浸透し、結果が明確に見えないことに努力しづらい世相も影響しているのだろう。

GemFuture が開発した「AILL(エイル)」は、カップル間のチャットを支援する AI サービスで、好感度や告白成功確率を上げ、両者の関係性を進展させるべく AI キャラクターがナビゲートしてくれる。恋愛における心理的ハードルを下げることに特化しているのが最大の特徴。これまでに1,000人を超える会員を獲得しており、その86%が「(AI による)ナビゲートが必要」と回答した。企業への福利厚生サービスとして導入支援が決定している。

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Hubble by Hubble

Hubble は、法務ドキュメントのバージョン管理システムだ。二者間で契約書などの内容を推敲するとき、複数回にわたってやりとりが発生する。このような契約書のドラフトのやりとりが複数同時に発生したとき、どの契約書が最新版がわからなくなる。これを解決するのが、ビジネス版の GitHub だ。

Hubble は Microsoft Word を SaaS 上から呼び出し、契約書の作成過程、弁護士からの専門アドバイス、Slack や Chatwork をはじめとするサードパーティーツールとも連携する。10月にローンチし、これまでに300社から問い合わせが得られている。

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AI-CON by GVA TECH

GVA TECH の「AI-CON」は、AI を使った契約書のレビューサービス。ユーザが作成した契約書データをクラウドにアップすると独自の AI がリスク判定し、専門の法律家がレビューして改善点などを指摘してくれる。現在14種類の契約書に対応しており、弁護士に依頼する場合に比べて10分の1のコストで契約書のレビューを依頼できる。これまでの利用登録社数は約1,000社。

最近、スクラッチの契約書をレビュー依頼するのではなく、あらかじめ用意されたドラフトに基づいて契約書を作成できる「AI-CON ドラフト」をリリースした。AI-CON と AI-CON ドラフトを合わせて、利用者は2,000社。年明けのローンチを目指して、大企業向けのサービスも開発中。

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Zenport by Zenport

Zenport(ゼンポート)は、貿易業務のコラボレーションツールだ。競合各社は、物流プレーヤーをつなぐプラットフォームを開発しているのと対照的に、Zenport では輸入者と輸出者の間に入って運用することにより、双方のニーズも把握する。

アパレル、雑貨、食品など多品種小ロット業種にフォーカス。課金版を開始して半年が経過するが、すでに17社が利用している。オリコと提携し、ユーザ企業向けの短期融資サービスも提供する。

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VOX by Mashroom

VOX」は戸建や集合住宅、公共スペースへ設置し、不在時の荷物受取の課題を解決するスマートフォン制御型の宅配ボックスだ。屋内外で使用でき、盗難検出機能やマスターキー機能、荷物センサー機能を搭載。ソーラーセルによる環境電源で動作するため、電源コードがなくても利用ができる。公共スペースなどへの普及を目指し、宅配だけでなく自分専用ロッカーとしての利用なども促進する。

フードデリバリ、ネットスーパー、ボタン一つだけで商品交換可能なサービスなど、サードパーティーとのサービス連携を計画している。生活者の時間消費、束縛からの解放を狙っており、中でも特に、洗濯サービスとの連携により、汚れものを VOX に入れるだけで洗濯された衣類が返却されるサービスを展望している。

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monooQ by monooQ

monooQ は荷物預かりのシェアリングサービスで、荷物を預けたいユーザーは現在地から荷物を預ける場所を指定し、その場所を管理するホストに預ける日時を通知して予約する。具体的な受け渡しの方法はサービス内のメッセージで直接やりとりをし、その確定した内容で荷物を預ける。

決済は事前に済ませておけるほか、事前のやりとりの中で預ける荷物の写真や情報を共有しておき、預ける当日のトラブルを避けることができる。荷物の返却も事前に予約した内容でおこなう。三井住友海上と包括契約を結んでおり、保管時のトラブルの補償も得られる。イナバクリエイトと提携し、空いた土地にコンテナボックスを置き、その場所での荷物預かりサービスも提供。

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macci by Review

macci は、街の情報をもとにビジネスに活用できるサービスだ。空き地や新築建物などの不動産、求人、駐車場の状況をもとにビジネスを展開する企業は多くある。Google StreetView や Google Earth などでオンラインでも街の情報は得られるが、これらは頻繁に情報更新されるサービスではないため、その情報をもとに出店計画や営業計画を立てるのには不十分だ。

macci では主婦やシニアを活用し、街の情報を道路に沿って人海戦術による実地調査で網羅。得られた情報を集約・精査し、ユーザ企業に底k評する。情報は3ヶ月おきに更新される。

Velodash by Velodash

Velodash は、自転車競技やツーリングにおいて、自分や仲間の時間記録を管理できるアプリ。これまでの方法では、サイクリングイベントを見つけるには複数のプラットフォームを使う必要があり、グループでツーリングを企画するには6〜7つのツールを使う必要があり、また、グループ内参加者全員の走行状況を追尾・記録するには外部デバイスが必要になる。

Velodash では、これらの情報管理をモバイルアプリ一つで完結することができ、天気予報やコースの難易度レベル、リアルタイムでの走行状況、グループ間でのインタラクションなどが行える。今年4月のローンチ以来、2万ルートが登録され、イベントが5,000件主催された。

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Porker by Eco-Pork

養豚においては、種付、肥育、出荷など多くの過程が存在するが、それらは紙ベースで管理されていることが多い。Porker は、モバイルアプリを使ってそれらの情報を養豚の現場で即座にデジタルに貯めることができ、生産性成績の比較、改善点の可視化ができる養豚管理システムだ。オンラインで、担当獣医師や農場指導者に連絡し、アドバイスをもらうこともできる。

豚肉の需給予測によれば、2021年に需給バランスが崩れ需要が供給を上回り、豚肉の販売価格が高騰することが懸念されている。Prker はそれに先んじて豚肉の生産性を向上させようという試みだ。今年度中には、AI と IoT を組み合わせたサービス「Porker EVO」を開発予定。そこから得られるデータをもとに、養豚産業全般に関わるエコシステムを形成したいとしている。

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