Thanksgiving Day を過ぎれば欧米のビジネスシーンは静かなものだが、連日のように、どこかのアクセラレータがデモデイを開いたり、VC が一年のラップアップイベントを開いたりしているのが12月の日本のスタートアップシーンだ。IPO の数でも12月が最も多い。数えてみると、今月の IPO は、東証マザーズへのそれだけで12件に上る。

THE BRIDGE の取材スコープの観点から言えば、IPO は我々が取材対象として定義する駆け出しスタートアップからの卒業を意味し、後進の起業家を育成してくれたりコミュニティを盛り上げれてくれたりする活動が無ければ、取り上げる機会は減るかもしれない。かくして、我々は限りある取材リソースを、新たに生まれてくる次のスタートアップたちに注ぐことになる。

一つの成功マイルストーンにたどり着いたスタートアップへの賞賛として、12月に IPO を遂げたスタートアップのいくつかをまとめてみた。文中のバリュエーション金額などは、すべて概数である。

Kudan

2011年に設立された「SLAM（simultaneous localization and mapping）」を使った AR スタートアップ。一般的に被写体との距離や位置関係を測るためには、人間の眼の構造や 3D カメラがそうであるように複数の視点が必要になる。

Kudan の開発した SLAM のエンジンは、映像内の複数の特定点をマッピングすることにより、単眼カメラで空間の位置関係を把握するため、カメラが一方向に一つした備わっていないスマートフォンやタブレットでも、さまざまな AR アプリケーションの実装が可能。

経営陣のほか、個人投資家の江見淳氏や江見氏が率いる Net Capital Partners が主要株主。初値ベースで、バリュエーションは961億円に達した。公開価格に対して、騰落率+276.34%の初値がついた有望銘柄となった。

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EduLab

2015年3月に設立された EduLab は、世界のEdTech 分野における新規事業の開発、投資、教育 IT ソリューション・プラットフォームの提供を行っている。THE BRIDGE では EduLab そのものを取り上げたことはないが、同社は日本から世界に EdTech スタートアップへ輩出を支援する観点から、The Global Edtech Startup Awards（GESA）の日本チャプターの主催をスポンサードしていることで知られる。

主要株主は経営陣、NTT ドコモ、旺文社や旺文社キャピタルなど。初値ベースで、バリュエーションは277億円に達した。

自律制御システム研究所

自律制御システム研究所（ACSL）は、千葉大学教授（当時）の野波健蔵氏によって2013年11月に設立。野波氏の長年にわたる研究開発からもたらされた独自の飛行制御技術を活用し、産業ドローンを開発している。同社の旗艦製品には、2016年に紹介された産業用ドローンプラットフォーム「ACSL-PF1」や、2017年に紹介された非 GPS ドローンプラットフォームの「PF1-Vision」などがある。

主要株主は、UTEC（東京大学エッジキャピタル）、CEO の野波氏（14.23%）、楽天、菊池製作所（東証：3444）など。バリュエーションは初値ベースで287億円と、公開価格よりも落ち込んでのスタート。

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ポート

2011年4月の設立当時はソーシャルリクルーティングという社名で知られ、採用支援・バーティカルメディア事業を展開してきたポート。それらバーティカルメディアのうち、ヘルスケア領域のメディア「メディシル」をきっかけに医療関連の事業に進出。このピボットには、ドリームインキュベーター出身の伊藤恭太郎氏や、アクセンチュア出身の宇佐見潮氏の参画が大きく影響したようだ。

遠隔診療サービスの「ポートメディカル」のほか、 金融サービス情報サイト「マネット」、就活・転職情報プラットフォーム「キャリアパーク！」、医師監修によるダイエット支援アプリ「ドクターズダイエット」などを手掛ける。主要株主は経営陣のほか、Eight Roads Venture Japan、サムライインキュベート、グローバル・ブレイン、三菱 UFJ キャピタル、SBI グループなど。初値は値つかずで25日に持ち越し、バリュエーションは公開価格ベースで170億円。

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