法定通貨の安定価値+暗号通貨の自由度を兼ねた「ステーブルコイン」、日本で発行するには?ーーブロックチェーン会計士柿澤氏に聞く

by ゲストライター ゲストライター on 2018.12.6

本稿は「NodeTokyo 2018」編集部による寄稿。インタビューに応じてくれたブロックチェーン会計士の柿澤仁氏は「ブロックチェーンビジネスサミット(主催:Neutrino、日本マイクロソフト、HashHubの3社共催)」にも登壇予定。

暗号/仮想通貨を実社会で利用する際、大きな課題のひとつとなるのが「価格変動」だ。もらったコインで買える商品の数が分刻みで変動するようなボラティリティは、投機筋にとっては魅力的でも実生活の中では利用の支障にしかならない。

そこで注目を集めているのがステーブルコインである。法定通貨などに紐づくことで安定した価値を持ちながら、暗号通貨ならではの越境送金の手軽さや手数料の軽減などのメリットを享受できる。

海外ではTetherの発行するUSDTなどドルペッグのものが多く発行されており、国内もGMOが10月に円ペッグの「GMO Japanese YEN」を2019年に発行すると公表している。

ではこのステーブルコイン、国内で発行する場合にはどのようなステップが必要なのだろうか。この件についてブロックチェーン会計士の柿澤氏(Omise Japan所属)が詳しい解説をソーシャル上に投稿していたので、その内容について話を聞いた。(太字の質問は全て筆者、回答は柿澤氏)

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ステーブルコインを具体的に国内で発行する際、どういったプロセスを踏む必要がある

柿澤:JPYステーブルコイン発効までのプロセスとしては、まずどのようなステーブルコインを作るか概要を検討することから開始して、どのような法律構成になるのか弁護士と検討するのが先決ですね。

ステーブルコインを発行流通させるには前払式支払手段、資金移動業、仮想通貨交換業などの規制が関連しそうと言及していた

柿澤:ただ、本当に複雑で解釈も分かれますから、要件が決まった段階で金融庁に相談に行く必要があります。そこでOKになれば必要な免許を取得し、発行に向けた具体的な準備を進めることになるでしょうね。

規制についてもう少し詳しく。どういった法律が関連するか

柿澤:実は現状でステーブルコインに関する包括的な法律がないため、どのようなものにするにも弁護士と一緒に個別具体的に検討してどのような法律の整理になるかを検討する必要があります。金融庁へのお伺いも同様ですね。ただその上でAML(アンチマネーロンダリング)対策は必須になると。

暗号通貨の発行には仮想通貨交換業が必要だが、一方で金融庁がステーブルコインを現行法では暗号通貨とみなさない、という報道もあった

柿澤:そうですね、仮想通貨に当たる場合でも発行自体は何ら法律の縛りはありません。発行してJPYや仮想通貨を受け取るには仮想通貨交換業が必要になります。もしくは既存の仮想通貨交換業者に販売してもらうかですね。

NEMベースのLCNEMはプリペイドの方式を取っている

柿澤:日本の仮想通貨に当てはまらない形で発行する場合ですね。ただこちらについても前払式支払手段(プリペイド/スイカなどと同じ区分)に当たる場合は、業登録をしてから発行する必要があります。また、JPYのようなものを送金するには為替業務にあたるので、資金決済法の資金移動業の登録または銀行法の銀行業の免許が必要です。

海外への送金で課題になるのは

柿澤:JPYステーブルコインと外貨の両替を行う場合は外貨両替、JPYステーブルコインを海外に送る場合は海外送金にあたり外為法の対応が必要な可能性が出てきます。

では日本の法律の仮想通貨に該当する形で発行する場合は。ハードルがかなり上がりそうだが

柿澤:まず仮想通貨交換業を日本で取得しないといけませんが、取引所を作る場合、従業員40−50人(相当数の金融のプロを含む)が必要で登録完了までに1年はかかります(取引所の新規の登録ですでに100社以上が待っている状態のため)。コストもおそらく数十億円単位で必要でしょうね。

あと、仮想通貨としてのステーブルコインを日本で売買するにはそのステーブルコインを金融庁に認めてもらう必要もあります。

こうやってお聞きするとプリペイド方式が現実的に見えますが、課題は

柿澤:前払式支払手段の登録は大変じゃないですが、預かったJPYの半額を供託または信託する必要があります。また仮想通貨として海外の取引所や国内の取引所で流通してしまったら前払式支払手段ではなくて仮想通貨とみなされる可能性が高くなります。結果的に利用範囲が限定的になる可能性はありますね。そのため、目的にもよりますが、前払式支払手段よりは銀行業や資金移動業を利用した方が利用範囲としては自由度が高くなると思います。

お時間ありがとうございました。

柿澤氏も登壇するカンファレンスでは、ブロックチェーンの社会実装ついて議論される予定だ。本誌も取材に入る予定で、読者向けの特別割引コードも発行してもらっている。ご興味ある方は議論に参加されたい。

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