人工知能を用いたアクセス解析ツール「AIアナリスト」開発のWACUL、シリーズCラウンドでリコーなどから5.6億円を調達

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左から:TIS 山岸功昇氏、リコー 濱部宗之氏、WACUL CFO 竹本祐也氏、WACUL CEO 大淵亮平氏、WACUL COO 垣内勇威氏、マイナビ 須山俊介氏、みずほキャピタル 脇門勇気氏
Image credit: Wacul

<12日16時更新> 写真と画像を差替。写真のキャプションを追加。

ウェブ改善コンサルティング事業を行う WACUL(ワカル)は12日、シリーズ C ラウンドで投資と融資により5.6億円を調達したと発表した。この調達ラウンドのリードインベスターはリコーが務め、マイナビ、TIS、みずほキャピタル、個人投資家が参加。合わせて、みずほ銀行と東京スター銀行からは融資を受けている。

これは同社にとって、2015年6月のジャフコからの調達(シリーズ A ラウンド、調達額約3億円)、2017年2月の電通デジタル・ホールディングス(DDH)とジャフコ(東証:8595)からの調達(シリーズ B ラウンド、3.5億円)に続くものだ。今回の調達を受けて、WACUL の累積調達額は12億円超に達した。

WACUL は2010年9月の設立。2015年4月にウェブサイトのアクセスデータを自動解析するツール「AIアナリスト」をリリースしている。Google Analytics とアカウント連携することで、コンバージョンレートを上げるために現在のウェブサイトをどう改善すればよいか、具体策を人工知能が教えてくれるのが特徴だ。提案内容には、人工知能のコメントを受けて、WACUL のコンサルタントからの提案も付加される。

WACUL が提供するサービスのうち、接客機能の実装でリコーと、CRM 機能の実装で TIS との連携が期待される。既存投資家の電通は、すでに広告自動最適化の部分で連携している。
Image credit: Wacul

今回の調達のうちリコー、マイナビ、TIS の3社は事業会社であり、業務上の連携やシナジーを想定した戦略的投資であることが考えられる。

このうち、リコーとの関係では、同社が持つ中小クライアント企業のデジタルトランスフォメーション促進の一端を WACUL が担うことになるようだ。10月、リコーは請求書発行クラウドの MakeLeaps を買収しているが、WACUL へのリードインベスターとしての出資参加の背景には同様の文脈があるように伺える。マイナビとは、企業の採用ホームページにおける、ユーザのビヘイビアのビッグデータ収集や分析などでの連携、また、TIS は開発インテグレーション業務が多い中、SaaS を提供する WACUL と組むことで、顧客とのエンゲージメント向上を期待しているようだ。

WACUL 取締役 CFO の竹本祐也氏は THE BRIDGE とのインタビューで、AI アナリストはサービスローンチからの約3年半で25,000サイトに導入され、ビヘイビアデータの集積が通算で40億セッションに達していることを明かしてくれた。同社ではこれまでのデータアナリストやサイエンティストに加え、カスタマーサクセス担当などの採用強化も行なっていきたいとしている。

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