Xprize、IBM Watson提供のAIコンテスト最新情報を公開—優勝者に賞金500万米ドル、上位入賞者に「TED2020」のコンテスト参加権を提供

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Image Credit: Xprize

人工知能(AI)は社会貢献にも活用できる、そう断言するのが「社会的に大きな問題」を解決するプロジェクトをサポートする、非営利組織の Xprize である。Xprize はモントリオールで開催されたカンファレンス「NeurIPS 2018」に参加した。この場で同組織は、世界で最も困難とされる問題の一部に取り組むための、スケーラブルな AI テクノロジーの開発に向けた4か年計画について最新情報を発表した。

12月2日の朝にはトークセッションが行われた。この場に集まった聴衆に対して、Xprize でイノベーションと成長を統括する Amir Banifatemi 氏は次のように問いかけた。

AI でできることは何でしょうか。新たにこの分野に参入した人たちは持続可能な開発目標に目を向けています。そして困難な問題を解決するために、共通のフレームワークを使っています。

Xprize のフレームワークでは SDG(持続可能な成長目標)を採用している。これは2015年の国際連合総会で設定された、17個の世界規模の目標から構成されている。これらの目標は、貧困の根絶、地球保護、平和と繁栄の実現に向けた活動を呼びかけるものである。そして、こうした気高い目標を、世界中の上水・下水処理や貧困の撲滅へと具現化させている。

SDG の市場規模はかなり大きいと Banifatemi 氏は指摘する。Business & Sustainable Development Commission(ビジネス・持続可能開発委員会)が2017年に発表したレポートによると、エネルギー、都市、食料、農業、および医療の分野における、持続可能で包括的な戦略には「少なくとも」12兆米ドルの価値があるという。こうした戦略に SDG が加わるとさらに8兆米ドルの価値が追加されることが見込まれる。

Banifatemi 氏はこう尋ねる。

市場が十分に大きいなら、SDG 向けの AI の採用を促進するにはどうすればよいでしょうか。

近年では前向きな進捗も見られる。Xprize が主催する AI コンテストは IBM の Watson 部門がスポンサーとなり、2016年5月には147チームから1万件以上の申し込みがあった。30人の審査員で構成される選考委員会は2017年12月に59チームまで絞り込んだ。そして、2018年11月には8か国(オーストラリア、カナダ、フランス、イスラエル、イタリア、オランダ、英国、米国)の30チームが残った。

トップ10に選ばれたチームは今週(12月第2週)、モントリオールのコンコルディア大学で自分たちのテクノロジーを聴衆と審査団の前で披露する。1位には3万5,000米ドル、2位には2万米ドルが与えられ、一般投票特別賞を受賞したチームには5,000米ドルが贈られる。

Sean McGregor 氏は AI Xprize で技術部門の責任者を務め、AI コンピューティングで最先端を走り、カリフォルニア州アーバインに拠点を置くスタートアップ Syntiant のテクニカルスタッフでもある。彼はファイナリスト10チームの中でも特に注目すべき2チームの名を挙げた。それは Zzapp Malaria と Behaivior である。

Zzapp Malaria は病気で苦しむ人たちの治療コーディネートに AI を使おうとしている。データセットと衛星データを解析するなどして、患者が置かれている環境やその他の状況に合わせた治療法を伝える。

Behaivior は2016年に4万2,000人の死者を出したオピオイド依存の問題に取り組んでいる。Behaivior の AI システムではウェアラブルデバイスとスマートフォンのデータを組み合わせて、依存の再発と過剰摂取を初期段階で警告することで依存を予測・防止する。

今週(12月第2週)、1位を巡って争う残り8チームは以下の通りである。

  • Aifred health: メンタルヘルスに関する高品質データを使ったシステムを開発し、うつ病患者個人に合った治療ができるよう医師たちを支援する。
  • Amiko AI: 投薬と患者の健康状態をリアルタイムで監視できるシステムを開発し、医療プロフェッショナルを支援するとともにぜんそく患者の治療結果も改善する。
  • Choosito!: AI を活用したスマート検索エンジンツールでユーザのインデックス化、分析、検索の方法を自動解析し、ユーザに合わせたデジタルコンテンツを配信する。
  • Deep Drug: 過去の治験の成功と失敗を学習する医薬品設計ソフトウェアを開発し、新薬開発期間を短縮する。
  • emPrize: オンライン教育向けのバーチャル家庭教師を開発し、質問への回答やフィードバックの提供など、生徒個人に合わせた指導で学習を支援する。
  • InnoVie Health: 人材が不足している病院のサービスを最適化し、医療の質を上げるための支援をしている。
  • Machine Genes: 革新的な機械学習と高度な AI を使って、これまでにない安定性と安全性で最適なインシュリン摂取量を推奨し、各患者の血糖値をコントロールするなど、不安定型糖尿病を含む1型糖尿病患者の支援を行う。
  • Nectar: 分析によって養蜂家の仕事とコロニーの損失を最小限に抑える支援をしている。

AI Xprize の優勝者には500万米ドルが贈られる。2位には100万米ドル、3位には50万米ドルがそれぞれ贈られる。幸運に恵まれたファイナリスト3チームは、会場とオンラインから聴衆が見守る TED2020の Grand Prize コンテストに参加する。

Banifatemi 氏は次のように語る。

今回のコンテストによって、AI を社会貢献に活用しようとする各チームの努力がトレンドを生み出したことが明らかになっただけでなく、世界中を巻き込む動きにまで発展しました。人々が一緒になって、信頼性が高くて役に立つ AI を開発し、現在最も困難とされている問題の一部を解決しようとする姿に感銘を受けています。

Xprize は1994年に設立され、宇宙、海洋、学習、健康、エネルギー、環境の分野で17の賞を設立している。これまで、賞金として1億4,000万米ドル超を提供している。この中には Global Learning Xprize の1,500万米ドル、Qualcomm Tricorder Xprize の1,000万米ドル、Barbara Bush Foundation Adult Literacy Xprize の700万米ドルも含まれる。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】