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サイバーエージェント(CA)は7日、同社の連結子会社で VC 事業を展開するサイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)を、サイバーエージェント・キャピタル(CAC)に改称したことを発表した。CAC の代表取締役には、CAV で取締役日本代表を務めていた近藤裕文氏が就任する。
2006年にサイバーエージェント・インベストメント(CAI)として設立された同社は 2010年に CAV に社名を改称。今回で2度目の改称となる。運営会社やファンドの成長に合わせた CI の変更が背景にはあるようだ。また、「CAV マフィア」という言葉があるように、同社からは多くのベンチャーキャピタリストが輩出され、他の VC にジョインしたり、新たに独立 VC を設立したりしてきた。
CAC の誕生を受けて、同社には新たなチームメンバーの役割整理やプレゼンス向上に狙いがあると見られる。CAI から CAV に改称された2010年には投資先スタートアップは約100社(うち海外20社)だったが、現在ではその数も8カ国約350社(累積社数のため、イグジット済のものを含む)に上っている。CAC がオフィスを設置しているのは、本社のある東京をはじめ、アジアを中心に8カ国10拠点。CAC の誕生とあわせて、日系ブラジル人3世の大村マウリシオ氏がチームにジョインすることも明らかになった。

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なお今回、2013年に開始されつつも、最近では事実上休業状態にあった通称「藤田ファンド」についても投資活動が再開されたことが明らかとなった。藤田ファンドとは、CA 代表の藤田晋氏が若手経営者の応援を目的としたシード・アーリースタートアップ向けの投資イニシアティブだ。便宜上、ファンドという表現が用いられるが、LP はおらず CA 本体会計からの出資となる。
藤田ファンドからは、これまでにウォンテッドリー、クラウドワークス、BASE など、現在では IPO を果たしたスタートアップに投資された実績があるが、スタートアップバブルを理由として2014年秋以降、投資活動を凍結していた。再開第1号案件となるのは、昨年8月にローンチしたワークシェアアプリ「Taimee(タイミー)」を運営するタイミーだ。同社は昨年、ジェネシア・ベンチャーズ、CAV(当時)、ガイアックスから総額5,600万円を調達している。
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新生・藤田ファンドは CAC とも投資実行で連携する。藤田ファンドの運営は CA の社長室投資戦略本部が担当するが、同本部長を CAC 代表取締役の近藤氏が兼任、また、Abema TV プロデューサー出身の坡山里帆氏が専任で運営にあたる。藤田ファンドのチケットサイズは1億円から数億円程度で、インターネット関連の事業であればバーティカルは問われない。これまでにタイミーを含め4件への出資が決定しており(残る3件は未公表)、また、タイミーを含め2件については CAC の既存投資先となっている。
CA と CAC は今後、月例で開催している資金調達イベント「Monthly Pitch」の運営も積極化させたい考え。渋谷の再開発に伴い CA や CAC も新社屋への移転が予定されており、スタートアップや起業家を勇気付けるイベントは、昨年に増して開催することになるだろう。Monthly Pitch の登壇企業数は160社を超えており、(以前の Rising Expo のように)同イベントのグローバル展開も検討しているそうだ。
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