独「eGym」がフィットネスクラブをアップデートする方法ーー個人とジムを繋ぐ、その仕組みとは

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティ Freaks.iD 編集部との連動記事。いち早くニュースをチェックしたい人は こちらを参照してください。

ピックアップ:eGym raises $20 million to grow its connected fitness platform in the U.S.

ニュースサマリ:独発、フィットネスプラットフォーム「 eGym 」がシリーズDラウンドで2,000万ドルを調達。1,000を超えるエクササイズメニューを映すモニター付きの運動機器と、運動データを記録・管理できるモバイルアプリを提供する。今後は米国のフィットネス市場に参入予定。

話題のポイント:テック系のビジネスモデルを解説するコラム、今回はドイツのフィットネスプラットフォーム「eGym」を取り上げます。同社は今回の2000万ドルのシリーズDラウンドで累計調達1億1000万ドルを調達済みで、2016年時点で6000あるドイツのジムの内、1000のジムにて導入済みだそうです。

Allied Market Researchによると、IoTフィットネス機器のグローバル市場規模は2023年までに10億4800万ドルに達すると予測されています。2017〜2023年の年平均成長率は30%で、アジア太平洋地域は新たに出現した成長率の高いエリアとされています。ちなみにアジア太平洋で区切ると日本が2016年に33%と最も高いシェア率です。

市場のリーディングカンパニーとしては今回取り上げるeGym(独)やLife Fitness(米:上場企業)、Technogym(伊)などの企業があります。

さて、近年のフィットネスジムの経営課題のひとつに「顧客定着率」があります。例えばフィットネスクラブ会員ソフトウェア企業の「Clubwise」のブログには、メンバーの退会理由として「指導の欠如」を挙げています。簡単に言えばフィットネスマシーンの使い方がわからない、というのが退会理由になってるという話ですね。

そこで登場するのがeGymの製品群になる、というわけです。ユーザーは、スクリーンにタッチするだけでガイドを受けながらエクササイズを楽しむことができます。例えばウェイトであればユーザーに最適な重量でトレーニングできるようオススメしてくれる、といった具合です。

RFID付きのバンドをスクリーンにタッチすることでパーソナライズする仕組みもあり、トレーニング結果も専用アプリで確認することが可能です。またジムに所属しているパーソナルトレーナー向けにも専用のアプリを提供していて、1000を超えるメニューの中から顧客向けにカスタマイズし、進捗管理をしてくれます。

またジムがもうひとつ抱える悩みとしてアプリやウェアラブルデバイスの登場による「そもそもジムに行かなくても良いフリーミアムモデル」の出現があります。ソーシャルやアプリなどに移行しつつある消費者行動への対応は不動産型のジムが個別に対応するのは困難が伴います。

eGymはこの問題にプラットフォームとして旧来のプレイヤーでも対応できるようにしたのが特徴です。つまり、ジム以外に流出してしまった個人のトレーニング・データをeGym上で統合することで、不動産型の旧来モデルのジムと個人をうまく繋いだのですね。

例えばローカルのジムの実施したトレーニング履歴やスマート体重計などのデータ、1人で行うジョギングなどデータをアプリで一元管理し、ジム側にはそれらデータに合わせたパーソナライズ(ゴール設定やリワード)などの機会を提供することで「ジムをアップデート」できる、というわけです。

国内ではライザップを筆頭とするプライベートパーソナルジムが盛り上がりを見せていますが、スタートアップとしては旧来の商用ジムと彼らの会員を支えるeGymのようなテクノロジーに注目しています。

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