2019年に注目したい「AI市場22社」と「4つのトレンド」まとめ

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2019.1.11

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。いち早くニュースをチェックしたい人はこちらを参照してください。

今回は2018年にFreaks.iDで紹介したAIスタートアップを紐解き、大きく4つのトレンドを簡単に紹介していこうと思います。

1.自動運転社会に向けて

AIが最も活用されている市場に自動運転が挙げられます。最初に紹介するのが自動運転技術に欠かせない検知センサーLiDARや3Dマッピングの開発スタートアップ。

11月、自動運転車向け画像処理システムを開発する「AEye」が4,000万ドルを調達。LiDARを搭載した車を走らせ高い精度のデータを大量に収集、ローデータを自動運転システム向きに最適化させるシステムを開発。

LiDARの弱点であった悪天候での機能不全を解決する次世代LiDARを開発する企業も登場。たとえば「Lunewave」は11月に500万ドルを調達しています。他にも長距離センシング対応のLiDAR開発スタートアップも一例として挙げられます。10月、「Aeva」が4,500万ドルを調達しています。

3Dマッピング企業も大型調達をしています。

11月、自動運転車向け3Dマップを提供する「DeepMap」が4.5億ドルの評価額で6,000万ドルを調達。8月には「Carmera」が2,000万ドルを調達。なかでもCameraは路上状況の把握だけでなく、障害物のリアルタイム分析機能を開発している点で競合優位性を高く保っている印象です。

マッピングと同時に重要視されるのがナビゲーションです。直近で最も目立った調達ニュースは、AIとARを組み合わせた次世代カーナビゲーションを開発する「Phiar Technologies」。12月に300万ドルの資金調達に成功しており、Y Combinatorのプログラムを卒業しています。

同社はリアルタイムで各地の道路情報を読み込み、ドライバーはアプリ上でARナビゲーションを確認しながら安全かつ最短ルートを選択できます。ARグラスが普及した時代を見据えた一大AIナビゲーションプラットフォーム構築を目指している点が興味深いといえるでしょう。

道路舗装データを集めるスタートアップも登場し始めてきました。

11月、道路インフラ調査スタートアップ「RoadBotics」が390万ドルを調達しています。撮影用アプリを搭載した自動車を走行させて道路状況をモニタリング。画像データを収集し、自動運転車が最適なルートを選定できるように収集データを活かします。また、9月には自動運転車向け地中レーダーシステム「WaveSense」が300万ドルを調達。レーダーを駆使して道路の舗装状況を把握、悪天候の中でも安全に自動運転走行できる道路を選ばせることができます。自動運転をする際、しっかりと舗装された道路でない限り的確に走行箇所を判別できずに道を逸れてしまう危険性があります。こうした課題を解決しているのがRoadBoticsやWaveSenseです。

2.チャットボットから商談自動評価まで

AIチャットボットの活用による顧客対応の自動化がますます進んでいます。

12月に900万ドルを調達した「Forethought」はチャット対応のオペレータに最適な回答文を提案するSaaSを提供。AIが問い合わせ内容や会話の文脈を理解して回答文章を自動構築します。同様のサービスに800万ドルの資金調達をした「Observe.AI」が挙げられます。同社はコールセンターのオペレータ向けに音声会話内容を把握して、次に回答すべき最適な回答文をリアルタイムに提案してくれます。

インバウンド顧客対応チャットボット「Ada」も12月に1,400万ドルを調達。Adaは利用企業が用いる独特の言い回しを理解し、ブランド性を反映させた回答をする24時間対応の自動顧客対応チャットボットを展開。

前述した3つのサービスは2C向けの顧客対応に特化していますが、ビジネスシーンに対応したAIチャットボットも登場。12月、法人向けAIチャットボット「Pypestream」が1,500万ドルを調達しています。チャットボットを通じてテキストや写真だけでなく、スケジュール調整やファイルのやり取りもできます。セキュリティーレベルも高く、保険業界や金融業界で企業同士のコミュニケーションに使われています。

コールセンターのオペレータ対応を自動評価するAIサービスが目立った1年でもありました。

8月、コールセンター企業向け解析ツール「Cogito」が3700万ドルを調達。リード投資はゴールドマンサックスが務めました。顧客の発言意図や心理状態を汲み取り、オペレータが適切な電話応対をできているのかリアルタイムで評価・改善を指示するツールです。

コールセンターだけではなく営業マンの商談を評価するツールも注目を集めました。

12月、商談分析AIツール「Chorus.ai」を提供する「AffectLayer」が3,300万ドルを調達。商談中の会話内容から、どのタイミングに・どのような内容のオファーをしたら営業パフォーマンスが上がったのか営業会話タイムラインがダッシュボート上に反映されます。過去のデータからコンバージョン率の高い商談の流れをテンプレート化させ、営業人材の育成に役立てることができます。

オペレータを評価するAIツールだけでなく、顧客属性に合わせて最適なオペレータをマッチングさせるAIシステムも登場。

11月、コールセンター向けAIマッチングサービス「Afiniti」が16億ドルの評価額で1.3億ドルを調達しました。欧米には人種や母国語、出身国が違う人が多くおり、こうした人たちからの質問に最大限の顧客満足度を提供するためのマッチングツールとなります。

3.AIによる農業生産性の向上

農業向けAIサービスも見逃せないでしょう。

9月には農家向けビックデータサービス「Growers」が500万ドルを調達。肥料と収穫高の関連性を分析し、肥料の利用対効果を最適化するサポートソフトウェアを提供します。無駄な肥料の利用削減を目指し、累計1.6億トンの肥料削減に貢献したといいます。類似サービスとして、11月に1,300万ドルを調達した農地AIプラットホーム「Trace Genomics」が挙げられます。土壌の健康状態や栄養状態をAIで解析して収穫量増加をサポートを展開しています。

農業市場において主流となりつつあるAIサービスは航空写真の解析サービスです。

たとえば2,000万ドルを調達した農作物の異常検出技術を開発する「Taranis」が挙げられます。高精度の画像技術を持つ撮影用ドローンを該当農地に飛ばし、航空動画を分析して農作物の病気リスクなどを把握。ダッシュボードを通じて農作物栽培に関する事前のリスク予測および対処方法をユーザーに知らせます。

都市部に特化したスマート農業にも注目です。

10月には屋内野菜栽培ロボット「Root AI」が230万ドルを調達。農作物の発育状況を確認するため、画像認識技術を活用しています。競合企業に「Bowery」が挙げられます。こうした都市型スマート農業は、物流距離を従来と比べて圧倒的に減らし、新鮮な野菜を多くの人に届ける糸口となります。

4.顔認識による広告費用対効果

広告市場にAIが活用される兆しは知っておくべきかもしれません。

8月、顔認識を用いたTV視聴率計測サービス「TVision Insights」が1,150万ドルを調達。コンピュータビジョン技術を用いて視聴者がどのくらい熱心にテレビを見ているのかを測定、広告効果を正確に計測するサービスを提供します。

TVision Insightsに代表される顔認識技術の広告市場への応用はスマホにも適用されています。

たとえば、iPhoneの赤外線センサーを用いてユーザーの表情分析を行う「Observant」が挙げられます。プライバシーを厳重に管理した形でユーザーのリアルタイムの表情を読み取る機能をiOSアプリ企業向けに開発。具体的には感情分析SDKを提供します。同社SDKを用いるとスマホ動画などの広告効果を図れるようになります。

ObservantのようにSDKパッケージを提供する企業は他にも登場しています。12月にはAR画像認識ラボ「Banuba」が700万ドルを調達。利用企業は自社アプリに3D顔認識を用いたAR機能を手軽に埋め込めるようになり、ユーザーの顔の動作追跡や表情の解析、肌の調子などのデータ取得が可能となります。

AR機能をSDKの形で提供することで、あらゆるアプリ開発企業がユーザーアテンションデータを詳細に取得できるようになる世界がすぐにでもやってくるでしょう。こうしたデータはアプリ体験やその他スマホコンテンツがどのくらいのアテンション量で消費されているのかを把握するには必須となります。

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