
Image credit: Masaru Ikeda
DMM.make AKIBA とパリ拠点のハードウェアアクセラレータ Usine IO は17日、戦略的パートナーシップを締結し共同でアクセラレータプログラムを展開すると発表した。Usine IO は、昨年からパリで展開しているハードウェア特化のオープンイノベーションプログラム「FOCUS」を日本でも展開する。
Usine IO は2014年、パリ市内でハードウェアスタートアップを支援するファブラボとして設立されたが、昨年、活動拠点を Station F に移して、メンバーシップ制のテクニカルコーチングと FOCUS といったオープンイノベーションプログラム提供組織にピボットした。
ハードウェアスタートアップが成功するまでの道は険しい。Usine IO CEO の Benjamin Carlu 氏によれば、仮にアイディエーションのフェイズで100チームのスタートアップがいたとして、そこからテクニカルコーチングに参加して PoC やプロトタイプに至るのが15チーム程度、最終的に FOCUS を通じて DFM(製造性考慮設計)に至るのが5チーム程度なのだという。

USINE IO の強みは、スタートアップに製造マシンが使える環境を提供できること、コーチングや FOCUS のフェイズで大企業とのネットワークが提供できることだ。Carlu 氏は、この FOCUS の仕組みがスケーラブルだと考えており、海外展開の第一弾として東京を選んだ。その理由として、最近、非常に多くの日本の大企業がパリの Usine IO を見学に来ていることや、DMM.make AKIBA に代表されるファブラボやハードウェアスタートアップのコミュニティが存在することを挙げた。
FOCUS は、プログラムのプロセスやレシピが整備されているため、スタートアップとどのように協業を進めればいいかわからない大企業にとっても、大きなバリューが提供できるだろう。(Carlu 氏)
FOCUS の実施が予定される年内には、Usine IO がスタッフをパリから東京に派遣し、DMM.make AKIBA のスタッフとともに プログラムを運営することになるようだ。FOCUS ではこれまでに、オートノマスカー(自動運転車)とコネクティッドモビリティ、インダストリー4.0 をテーマとしたバッチを展開しており、今年の3回目となるバッチでは Nespresso、SNCF(フランス国鉄)、ロレアルなどをパートナー企業に迎え、リテールをテーマにしたプログラムを運用する方針。おそらく、このリテールのバッチが、フランスと東京で同時に運用されることになるとみられる。日本の大企業が新たにパートナーに加わる可能性もある。
以前 Makers Boot Camp の牧野成将氏のが寄稿してくれた記事にもある通り、Usine IO は Makers Boot Camp とも親交がある。Carlu 氏はMakers Boot Camp と連携した大阪や京都での FOCUS の展開も模索しているようだが、この件について Makers Boot Camp は「現時点で決まっていることはまだ無い」との回答を寄せた。
Usine IO は日本を皮切りに、今後、複数の国々で現地のファブラボやハードウェアコミュニティとの協業により FOCUS を展開していきたいとしている。
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