
ニュースサマリー:サウジアラビア金融当局とアラブ首長国連邦(UAE)の金融当局は1月29日、2か国間における銀行間取引円滑化を目的に、2017年より進めていたブロックチェーンベースのプロジェクトに関する詳細を発表した。今回発表されたのは「ABER」というプロジェクト名で、既に実証実験が開始されている。
同プロジェクトはブロックチェーン上のトークン”ABER”を介し、両国間における国際送金コストの削減を図ることが目的。最終的には国内における決済での利用も検討しているが、現在は技術的な検証をしている段階。
話題のポイント:サウジアラビア、UAE間における暗号通貨を用いた国際送金システムの構築は2017年ごろから報じられていました。しかしそれ以降、目立った動きがなかった中で、今回初めて同プロジェクトで用いられる通貨名、また現在の実験段階の詳細が発表されました。
サウジアラビア金融当局の発表によると、現在は一部の銀行間で実験的に導入され、ブロックチェーンが技術として役立つかの検証を行っている段階だそうです。仮に、技術的に問題がないと判断されれば、経済的、法的側面の整備へと動き出すとしています。
この実証実験は、現在上記2カ国間限定で行われていますが、仮に実証実験が成功し法整備などが開始されれば、中東全域を巻き込んだ”ABER”中心の経済圏が構築される可能性も視野に入ってきます。
特にUAEなどは、中東の中でも独自に発展を進めIT分野での著名度も日々増してきています。また、同じ中東国家のイスラエルはテック企業の誘致や国内テックスタートアップの増加など、政府が率先して国家システムに新たな技術を採用している印象を受けます。こういったことから中東におけるブロックチェーンを介した経済圏が生まれることも、不思議ではありません。
もちろん技術の検証段階である今、すぐに動きがある話ではありません。しかし、実際にプロジェクトとして動き始めている”ABER”の実証実験を通した発見や動きは逐一発信される可能性が高いため、今後の中東情勢を知るという意味では無視できないプロジェクトだと思います。
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