融資型クラウドファンディングのリスクは誰が負うーー「CAMPFIRE Owners」公開、金融包摂の理想と問題点を聞く

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2019.2.8

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ニュースサマリ:クラウドファンディングサイトなどを運営する「 CAMPFIRE 」は2月7日、融資型クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤーオーナーズ)」を公表した。サービスインは今年春を予定しており、運営は100%子会社のCAMPFIRE SOCIAL CAPITALが手がける。なお、同子会社は2月6日付で第二種金融商品取引業取得手続きを完了している。

CAMPFIRE Ownersは資金需要者と投資家(支援者)をつなぐプラットフォーム。プロジェクトを立ち上げたオーナーが設定した目標金額を不特定多数から集めることができる。調達金額は10万円からで、同社は数千万円規模のプロジェクトも見込む。支援者は1万円からの投資が可能で、返済期間の間は利息を受け取ることができる。予測されている利回りは1.5%から。プロジェクトの審査とプロジェクトオーナーからの資金回収はCAMPFIRE側が実施する。CAMPFIREは2021年内にプロジェクトオーナー1万人、投資家100万人、流通総額1000億円の達成を目指す。

話題のポイント:CAMPFIREが長らく目指していた世界観にどうしても必要なチケットが「第二種金融商品取引業」でした。二種があるとファンドを組成し、複数の投資家に販売する事業を国内で展開することができます。クラウドファンディングがまさにそれですが、これまでは直接お金を集めて投資、配当することはできなかったので、「みなし」的に商品を予約販売するモデルを展開していた、というわけです。

CAMPFIREや同社の創業者、家入一真さんが目指している世界観は本誌でも度々お伝えしている通り、小さい力を合わせて世の中を良くしよう、というものです。社会には政府や民間でも解けない問題というのがゴロゴロしています。特に社会的弱者や地域の問題は、意思あるコミュニティが解決すべきであり、インターネットは情報の問題を解決してくれましたが、まだリソースには(特に何かを動かすお金の部分)最適解が見つかっていない状況です。

彼らが取り組みたいとしている「フィナンシャル・インクルージョン(金融包摂)」はまさにそれで、その手法のひとつであるマイクロファイナンスが今回の「CAMPFIRE Owners」になる、という流れになります。日本におけるグラミン銀行的存在が恐らく近いのではないかなと。

で、問題はここからです。

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理想はもちろん私も全面的に同意して応援しているのですが、「金融事業として本当に成立するのか」という大きなハードルが立ちはだかります。近年、同様のスキームで運営していたソーシャルレンディングでは考えられないような事件も起こっています。投資のリスクは誰が負うのか?プロジェクトのデフォルトはどのように防ぐのか?

お話伺った結論から言うと資産運用の金融商品などとは違い、どちらかというと寄付に近いイメージです。従来ソーシャルレンディングの問題点を解決して新たに立ち上がった「Funds」のような商品もありますが、その性質は全く違うものと考えた方がいいかもしれません。

ということで本件について、家入さんをはじめ、このプロジェクトの責任者でもあるCAMPFIRE取締役の中田雅人さんたちにお話をお伺いしましたのでショートインタビューと共に、このプロジェクトの詳細を掘り下げてみたいと思います(太字の質問は全て筆者)。

貸し倒れリスクの負担は誰に向かう

中田:リスク負担は投資家です。しかし今回のスキームは基本的に、既存の購入型クラウドファンディングである程度経験を積んで、一定の評価を得た借り手が対象になります。また、既存のクラウドファンディングオーナーに留まらず、地域活性や公共ファイナンスの視点での貸付先も予定しています。

購入型は前受け販売ということで分かりやすいが、融資の場合は返済ができないという問題をどうしても抱える。例えば融資した資金で街づくりといっても、利益が出るまでにかかる時間も相当になる。ソーシャルレンディングは結果的に利益が出やすい不動産事業ばかりが並ぶことになった

中田:確かにこれまでのソーシャルレンディングは不動産担保の商品がメインでしたが、私たちは事業性評価、定性評価を加点して、従来の貸付額よりも低いハードルで地域活性案件から海外マイクロファイナンス案件まで幅広に取扱う予定です。金額帯でいうと100〜1000万程度でまずは進めていきたいと考えています。

荒木(隆義さん、CAMPFIRE Bank事業部長):昨今のソーシャルレンディング事情を踏まえての厳しいご意見ありがとうございます。その点についてはまさに我々も真摯に向き合っていかなければならない問題だと考えています。一方で、これまでの処分事例においては、金融の常識から考えると逸脱した杜撰なコンプライアンス態勢による運営が行われていたと認識しております。

今回の許認可登録では、どのような態勢で臨めばそのような事態に陥らないかについて、約2年の年月をかけて当局と慎重に議論して参りました。合わせて当社の金融チーム、特にコンプライアンス態勢の構築や案件審査に関わる人員は金融機関でプロジェクトファイナンス等のファイナンススキームの構築において十分な経験を積んだスタッフで構成されております。これらの態勢をもって、まずは常識的な金融機関として求められる水準を満たした運営をいたします。

そのように金融機関に求められる責任を果たしながら、ユーザーの方に少しでもおもしろいと思っていただけるような商品を提供し、社会課題の解決に取り組むことが我々の使命だと捉えております。

サービスの具体的な部分をお聞きしたい。どれぐらいの期間で投資した資金は返済されるのか。また全額返済が難しい場合の対応はどうなるのか

中田:現時点では小口100万から1000万程度までを12カ月以内で償還を予定しています。また問題があった場合ですが、原則貸付先代表者を連帯保証人で保全します。もちろん問題がないように審査は慎重に行います。

家入:色々昨年あったソーシャルレンディングですが、利回りは低いが貢献性や地域活性性の高いプロジェクトに投資できるサービスにしていきます。

ありがとうございました。

彼らが「融資型クラウドファンディング」と呼んでいるものは、スキームとしてはソーシャルレンディングのそれと変わりありません。しかし、目指すところはユーザーに対して資産運用の金融商品を提供するというより、オーナー、ユーザーと共に課題解決をするための「フィナンシャル・インクルージョン(金融包摂)」を作ろうとするもの、と捉えた方が正しいでしょう。

なので、「元本は返ってくる可能性が高い寄付」というのがイメージに近いと思います。実際、中田氏の元にはリリースを見てNPOなどの案件が舞い込んでいるそうです。

一般的な金融機関からはなかなか借りられず、ノンバンクの高金利には耐えられないような事業はここで資金調達して、一緒に問題を解決できるようになるのではないでしょうか。

一方でここに投資を考えてる人は注意が必要です。

昨今増えてきた「少額でも投資できるお手軽な資産運用商品」と同じように考え、安易に手を出すと期待したリターンとは異なる結果が待ってるかもしれません。

ということで、春のプロジェクト公開時にまたお伝えします。

 

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