ヒトのデータ化により広がるAIの可能性 ── 人工知能、期待される「3つのビジネス分野」 / フューチャーChief AI Officerの貞光さん(リレーインタビュー)

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本稿は、AI:人工知能特化型メディア「Ledge.ai」編集部による寄稿。リレーインタビューの参加者は2月13日開催、レッジ社主催のカンファレンス「THE AI 3rd」にも登壇予定

前回からの続き。本稿では、3回に渡って人工知能・AIが社会に実装される事例をみなさんと共有する予定です。電通でAI MIRAI統括・AIビジネスプランナーを務める児玉拓也氏さんから最後のバトンを受け取るのは、フューチャーのStrategic AI GroupでChief AI Officerを務める貞光九月氏。(太字の質問は全て筆者。回答は貞光さん/取材執筆:平野武士)

リレーインタビューでは識者の方に人工知能・AIの事例を共有いただいています

貞光:今回はデジタル化された「ヒト」のデータに着目してAIの事例をお話できればと思います。私が最近注目しているのは、顔認証技術の実用化とAIの医療分野、そしてスポーツ分野への適用です。

顔認証は使う機会が増えていますね

貞光:去年、海外から羽田や成田に帰国した際、空港の顔認証システムを体験された方も多いと思います。中国では、既に決済や銀行ATMでも顔認証が導入され始めています。リアル空間の自分自身が、デジタル空間に写像された世界でも観測可能となることで生まれる、新しい体験のひとつと捉えています。一方、プライバシー情報をいかにセキュアに扱っていくかについても、議論していく必要があります。

医療分野へのAI活用事例も範囲が広そうです

貞光:そうですね。2018年7月、理研と国立がん研究センターが、医師の診断精度を超える胃がん検出AIについて発表しました。また、ひとつ数百億円という莫大な開発費がかかる創薬の世界でも、『Graph Convolutional Networks』と呼ばれる新しいAI技術を導入することで、学術領域における成果が出始めています。

世界で最も早く超高齢化が進み、その高齢化率が27.7%に至る日本において、医療分野へのAIの適用は、課題先進国としてのチャンスと捉えています。弊社でも大阪大学医学部と一緒に、医療分野に関する先進的な研究を進めています。

スポーツの分野ではどのような事例がありますか?

貞光:スポーツほど、ヒトの一挙手一投足の動きが大事な分野はありません。

例えば、ライブリッツ株式会社の「Fastmotion」は、試合中の野球選手をトラッキングし、投球や打撃、守備、走塁といった動きを全てデジタル空間に写像することができます。その結果「フライを捕る際、最短距離よりどう遠回りしたか」「守備のうまいショートは投球の瞬間どう反応しているか」というデジタルな分析が可能になります。

ちなみに、導入いただいている福岡ソフトバンクホークスは見事、2年連続日本一となりました。私も福岡出身なので個人的にも嬉しいニュースでしたね。

事例のご紹介、ありがとうございました。

 

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