インドネシアの中古車販売アプリ「BeliMobilGue」、トヨタの現地ディーラーなどからシリーズAラウンドで1,000万米ドルを調達

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ジャカルタ市内
Photo credit: Arga Aditya / Unsplash

しばしば世界最悪の交通状況としてランキングされるインドネシアの首都ジャカルタは、あまり快適に移動できる場所ではないかもしれない。だが自動車販売に関わる者にとっては大きなチャンスがある。

そしてそれこそが、Rolf Monteiro 氏が自身のスタートアップでやっていることだ。

インドネシアでは1年に110万台の新車が売れていますが、中古車は350万台です。

そう語る同氏はオランダ人起業家だが、彼の両親はインドネシア出身である。

彼のスタートアップ BeliMobilGue は広大な中古車市場に注力し、自動車の所有者が自分の自動車を売ることができるアプリを提供している。これは自動車を一覧に並べて、変な質問をしてくる見知らぬ誰かに対応しなければならないというものではない。このサービスは Monteiro 氏の言葉でいえば「eBay のようなオークション」であり、しっかりとしたカーディーラーがユーザの中古車を買い取ってくれるというものだ。

そして国内の自動車の半分はジャカルタが占めているため、この首都からビジネスを始めるのは当然のことである。

同社は2月12日、アプリのローンチから2年も経たないうちに、シリーズ A ラウンドで1,000万米ドルを調達したと発表した。

自動車ディーラー

左から:CEO Rolf Monteiro 氏、VP Alexander Alvin 氏
Image credit: DailySocial

ディーラーは85%から90%の時間を自動車の調達に費やしています。(Monteiro 氏)

Monteiro 氏はディーラーの貴重な時間とリソースを節約するチャンスをそこに見出し、また一般の人が自動車を売るプロセスに抱えている不満を少なくできるのではないかと考えた。いわば便利さのマリアージュである。

BeliMobilGue という名前は「マイカーを買う」という意味だが、同社はジャカルタじゅうに30ヶ所の検査センターを持ち、自動車の売り手は時間を予約して、そこで専門家に自分の自動車を査定してもらうことができる。査定の所要時間は30分である。査定のレポートは売値の提案と共に提示され、もし所有者が値段に同意すれば、国中のディーラーに向けてオンラインオークションが開始される。

競り勝ったディーラーは即座に銀行振込で所有者に支払を行う。

弊社は面倒なことを可能な限り取り除こうとしています。(Monteiro 氏)

加速前進

Image credit: BeliMobilGue

自動車の所有者にはサービスのすべてが無料であり、オークションに競り勝ったディーラーが自動車の検査費用を支払う。

同社は少なくとも今のところは取引の一部をマージンとして取るということはしていない。

Monteiro 氏はこう述べている。

弊社は現時点ではあまりお金に専念していません。

むしろ成長に注力しているマーケットプレイスです。

私の最初の目標はマーケットシェアの1%まで行くこと、そして願わくば、いつの日かは10%を目指しています。

今回の資金で同社は、ジャカルタやその他主要都市に全部で100ヶ所を配置できるように、さらに多くの検査センターを作る計画である。

Monteiro 氏が「目標はそこにある」とする、東南アジア全体への拡大のための「リサーチは完了している」という。しかし、それは今年切るカードではない。彼は「広げすぎて薄くなることは望まない」ためである。

今回のシリーズ A ラウンドの投資家には、インドネシアの巨大なカーディーラーのネットワークである Toyota Tunas が参加している(トヨタはインドネシアで圧倒的にトップの自動車ブランドである)。

これは BeliMobilGue にとってユーザ増加の追い風になるかもしれない。トヨタのセールスマンは顧客に古い自動車を売るためにこのアプリを使うよう仕向けるだろうからだ。同社はまた中古車検査をディーラーで行うことができるように投資家と話をしている。実現すれば国全体への拡大が加速するだろう。

ドイツとのコネクション

BeliMobilGue は Monteiro 氏の最初のスタートアップベンチャーであるが、彼がテック業界でリーダー役を務めるのは初めてではない。同氏は Groupon に勤めた後、インドネシアで LivingSocial のビジネスを率いていた。

彼はドイツの Auto1 の台頭を目にし、2015年に売り手とディーラーを結びつけるというアイデアを得た。

彼らのビジネスへのアプローチが非常にシンプルなこと、そしてそれが成功していることに、私はワクワクしました。そして気が付いたのです、これは東南アジアでもいけるんじゃないかって。

2億6400万人の人口を擁し地域で最大の中古車市場を持つインドネシアに狙いを定めたところで、彼は障害に気が付いた。彼は「技術者ではなかった」のだ。

2016年末、彼は初めてのテックビジネスの開始を容易にするために、BeliMobilGue をジョイントベンチャーとして設立しようと、ベルリンを拠点とし中古車のマーケットプレイスを運営している Frontier Car Group とつながりを持った。その数か月後にアプリはローンチされた。

Monteiro 氏のスタートアップは Carmudi や iCar Asia、OLX のようなリスティングサイトに対抗しており、クラシファイドサイトよりも彼のマーケットプレイスアプリの方が良いということを自動車所有者に説得しなければならない。

だが敵対関係ばかりではない。OLX は  Frontier Car Group に投資しているため、Monteiro 氏は彼のアプリの利益となり得る将来的なタイアップの可能性も見ている。

入手可能な情報:

  • アプリのローンチは2017年4月。
  • 従業員230名。
  • 自動車用の倉庫と検査センターが30ヶ所。

シリーズ A ラウンド:

  • Frontier Car Group がリードし、1,000万米ドルを調達。
  • 新たな投資家として Toyota Tunas Indonesia が参加。
  • インドネシアの Intudo Ventures を含むアーリーインベスターも参加。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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