スマホアプリ向けキャラクタースタンプ制作のクオン、VCなど6社および銀行2行から約4億円を資金調達

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2019.2.20

クオンのチームメンバー
Image credit: Quan

東京、バンコク、上海を拠点に、スマートフォンアプリ向けキャラクタースタンプの制作・流通を展開するクオンは20日、約4億円を資金調達したことを明らかにした。この出資に参加したのは、ニッセイ・キャピタル、ABC ドリームベンチャーズ、オー・エル・エム・ベンチャーズ(IMAGICA GROUP)、みずほキャピタル、SMBC ベンチャーキャピタル、CiP 協議会で、調達金額には三井住友銀行とみずほ銀行からの融資を含んでいる。

これは同社にとって、2017年の東宝からの資金調達(日経報道によれば5,000万円)、2014年に実施した VC 6社からの数億円の調達、2012年に実施した Netprice.com(当時)と East Ventures からの調達に続くものだ。今回の調達を受けて、クオンは累計調達金額が約8億円に上ったことを明らかにしている。クオンでは調達した資金を使って、キャラクターのライセンス事業構築、マーチャンダイズ事業の加速、VTuber やブロックチェーンなど新規テクノロジー向けキャラクターの開発に注力するとしている。

クオンのキャラクター
Image credit: Quan

クオンは2011年、水野和寛氏(現 CEO)により設立。設立当初は「LOUNGE」という名前のメッセージアプリでアジア市場を席巻しようとしたが、その後2012年にモバイルアプリ向けのキャタクタースタンプ制作の分野にピボットし、LINE、Facebook、WeChat、KakaoTalk など主要メッセージアプリに配信を始めた独自制作のキャラクタースタンプが人気を獲得した。2018年12月末現在の累計スタンプダウンロード数は26億件、メッセージアプリを介した累計送信回数は240億回を超えているという。

クオンのビジネスモデルは、無料のキャラクタースタンプで個性あるキャラクタの人気を獲得し、そのキャラクタのマーチャンダイズ販売や企業のプロモーションの利用してもらうことでマネタイズするというものだ。タイや中国には現地法人を設立し、2017年頃から営業活動を本格化させている。今回、ともに26歳という新進気鋭の両現法代表者が日本に帰国していたので、直近の営業動向などの話を聞くことができた。

左から:タイ法人代表の奥川真人氏、CEO 水野和寛氏、中国法人代表の佐藤宗高氏
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中国法人の代表を務める佐藤宗高氏は、慶應大学在学時にインターンとしてクオンに勤務するも、その後、大学卒業を機にクオンを退社。北京大学に留学した後に起業し、外部委託先としてクオンの業務を営業支援してきた。クオンは2013年頃から中国向け事業に着手していたそうだが、事業の本格化にあわせ中国法人を設立することとなり、佐藤氏に白羽の矢が立った。以来、約2年にわたり中国での同社の事業を取り仕切っている。

中国法人は中国本土、香港、台湾での事業をカバーしているが、香港のショッピングモールでのタイアップや大塚製薬の Web CM にクオンのキャラクタが採用されるなど、営業の波は中国南部から北上して行っているという。IP 事業者にとっては、特に中国において懸念材料となるのが海賊版問題だが、正規品ではないものが駆逐される土壌や、マネタイズしやすい環境がここ数年で整ってきつつあるという。また、Alibaba(阿里巴巴)のライセンシング & エンターテイメント部門「Alifish(阿里魚)」が立ち上がり、Taobao(淘宝)上では自社キャラクタを使った商品がどれだけ売れたか、月毎の売上を個数単位で把握できるようになった。

クオンの中国法人メンバー
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タイ法人の代表を務める奥川真人氏は、現地国立タマサート大学の出身。大学卒業後にクオンに入社し、当初はスマートフォンゲームのディレクターを務めていた。2016年からクオンのタイにおける事業責任者を務めている。タイ法人がカバーする東南アジアでは、K-POP スターを起用した韓国のコンテンツ輸出戦略(テレビやドラマの放送権などは無料や安価で提供し、マーチャンダイズなどでマネタイズする)が功を奏している。インターネット発のキャラクタービジネスはチャレンジングだが、ライセンスビジネスだけでのビジネスは難しく、企業のプロモーションに起用してもらうのが売上の多くを生むことになりそうだ。

水野氏によれば、中華圏でも「Ali the Fox(阿狸)」や「長草顔団子」など、日本人をアドバイザーに引き抜いて、インターネット発のキャラクタを出し始めた企業があるものの、スタンプキャラクターの事業で資金調達に至っているところはほぼ無いという。今後はキャラクターを流行らせるだけでなく、それをマネタイズするために営業組織を強化するということで、インターネットとリアルのビジネスの間をつなぐ現代版のサンリオのような会社を目指したいと語ってくれた。

クオンのタイ法人メンバー
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