
Image credit: Samurai Incubate
サムライインキュベートは21日、新ファンド「Samurai Incubate Fund 6号投資事業有限責任組合」の組成クローズを発表した。当初発表していた30億円の予定規模に対し、オーバーサブスクライブして34.5億円で資金調達をクローズした。前5号ファンドの組成発表から約4年ぶりとなる。投資対象地域は日本(50%)・イスラエル(40%)・アフリカ(10%)で、アフリカについては、ファンド・オブ・ファンズの形で、元サムライインキュベートの寺久保拓摩氏が率いる Leapfrog Ventures を通じて実施される。
投資領域は、物流、ヘルスケア、リテールテック、フィンテック、建設、MaaS(Mobile as a Service)で、LP が持つ独自性の高いアセットを活用し、成長加速可能領域を中心に投資・インキュベーションを行うとしている。チケットサイズはプレシード〜シードの1,000万円前後を想定しているが、フォローオンを含め最大5,000万円程度までの投資が可能。昨今の投資環境を反映してか、前5号ファンドよりもチケットサイズをやや増やした格好だ。新ファンドでは、新規案件80社、うちフォローオン案件で20社程度への出資を想定。うち、12社への出資がすでに実行されている。
この種のファンドには珍しく LP(ファンド出資)の顔ぶれが明らかになっているので紹介しておく。
- 京浜急行電鉄
- 住友生命保険
- セイノーホールディングス
- セプテーニ・ホールディングス
- ダイキン工業
- 前田建設工業
- マネックスグループ
- 丸井グループ
- モノフル
- ロート製薬
- FFG ベンチャービジネスパートナーズ
- 千葉功太郎氏
サムライインキュベートは昨年末、コワーキングスペース「Samurai Startup Island」を閉鎖した。一方で、これまでの VC やファンドとしての位置付けに加え、ここ数年で新たにコンサルファーム出身者らを数名採用し、大企業向けのオープンイノベーション支援を強化している。サッポロホールディングス、京急電鉄、日本郵便、地銀6行と日本IBMが出資する T&I イノベーションセンターといった企業のアクセラレーションプログラムの運営を手がけるようになり、ビジネス構造は完全に変化し多様だ。
前述した Samurai Startup Island は、サムライインキュベートがアーリーステージで出資していたノボットが KDDI に15億円で買収されたことを受け、その際の株式の売却益の一部を充当する形で2011年に開設された。同社は、ポートフォリオがイグジットを果たしキャピタルゲインを得たタイミングで次の新しいアクションを取ることが多い。最近では、サムライインキュベートのポートフォリオだったレモネードが UUUM に5億円で買収、また、ポートが IPO が果たしたことから、次の新たな動きが始まることが期待できる。
サムライインキュベートは最近、「The First Movers」という駆け出し起業家向けの短期集中プログラムを開始した。これまでの累計支援150社(うち、国内110社、海外40社)に及ぶスタートアップや大企業とのネットワークを通じ、新たなスタートアップの誕生やエコシステムのさらなる醸成に寄与したいとしている。
<参考文献>
- ポートIPOに寄せて 〜やるかやらないかで世界を変える〜(榊原健太郎氏の Medium)
- パートナーとキャピタリストが語る『The First Movers』Hands “in” Batch Program の想いとは?!(サムライインキュベート Investment Group の Medium)
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