2019年、東南アジアのeコマース業界で注目されるテーマとは?

by e27 e27 on 2019.2.6

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Photo by mahda doglek on Unsplash

新しい年が始まった今、2018年を振り返った上で2019年に予想される動きを考えてみよう。1か月間にわたる観測を踏まえ、スリリングかつ有望な地域、エキサイティングな業界で起きると考えられることをここでシェアしたいと思う。

東南アジアの e コマース:世界で注目を集める成長スポット

貿易摩擦や金利上昇といったマクロ経済的な要因により、2019年は全世界的な経済成長を期待するのは難しいかもしれない。しかし、厳しい1年を迎える可能性がある中で、東南アジアのデジタルエコノミーは、世界でも有数の輝かしい成長分野になるとみられる。

楽観主義的な見方をする背景には、構造的な要因と強力なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が多数ある。

東南アジアにおける最近3年間の e コマース市場規模は、年平均成長率(CAGR)で62%以上も成長したことが「Google-Temasek e-Conomy SEA 2018レポート」で明らかになった。同レポートによると、e コマースにおける総流通総額(GMV)は、昨年の230億米ドルから2025年までに1,000億米ドル超に増加するという。

これほど驚異的な成長が予想されているにも関わらず、オンラインコマースの小売販売全体に占める割合は約2~3%と大きく変化しない。中国の20%、米国の10%と比較すると、低い水準にとどまっている。

このようにデジタルエコノミー、とりわけ e コマースの市場環境は2019年も引き続き明るいものとなるだろう。

体験型 e コマースの出現:発見、エンターテインメント、ソーシャルエンゲージメント

オンライン、オフラインを問わず買い物の選択肢が多くなっている中で、体験が新たな広がりをみせている。消費者は自分が欲しいものをただ購入するのではない。新たな商品を発見し、楽しみ、さらにはオンラインコミュニティと関わりたいのだ。

その結果、東南アジアのオンラインショッピングでは、ソーシャルで没入的な体験がますます増えている。

この地域に存在する e コマースアプリの多くは、流行り廃りのある消費者向け取引プラットフォームから進化した。商品を購入したくない場合でもアプリにアクセスし、e コマースのプラットフォームが取り揃えてくれた商品や取引をただ眺めるために使用しているのかもしれない。

消費者は、さまざまな商品について詳しく知るために販売者とチャットしたり、友人や家族のソーシャルフィードをフォローしたりすることもできる。

コンテンツを使用するために e コマースアプリにアクセスすることもあり得る。例えば、Shopee で最も人気がある最新機能に、有名人が運営し、家族や友人と一緒に遊ぶことができるインタラクティブなクイズがある。

ショッピング、ソーシャル、エンターテインメントの境界が曖昧になるにつれて、e コマースのプラットフォームからすると、アプリの使用時間やユーザをつなぎとめておく機能などがパフォーマンスを測る指標として重要になるのかもしれない。

オフライン小売店と e コマースプラットフォームがノンゼロサムの提携関係を構築

識者の間では、オフライン小売店と e コマースプラットフォームはゼロサムの競合関係に縛られているとする見方もあった。一方が成功を収めるには、他方から顧客を奪わなければならないという構図だ。

2019年はこうしたパラダイムが今まで以上に検討を求められる年となるだろう。多くのオフライン小売店が信頼のおけるパートナーとして e コマースプラットフォームに関わるようになるからだ。すでにオンラインの世界で存在感を発揮しているブランド企業でさえも例外ではない。

既存の従来型店舗は、出品・販売、決済処理、必要な配送の手配といったネット上での取引だけでなく、全般的なオンライン戦略とオフラインの物流ニーズを管理するための手段として e コマースプラットフォームに一層注目するようになっている。

この動きは、e コマースプラットフォームの果たす役割が信頼のおける e コマースパートナーに変化していることを示している。

ネットで商品を販売し、e コマースプラットフォームを信用している店舗であれば、パートナーが提供する数々の利点を享受することができる。データの利用や予測技術、効果的な広告・販促やフルフィルメントサービスなどがそれにあたる。

つまり、オフラインとオンラインの小売業の関係はゼロサムゲームではない。オフライン店舗と大規模オンラインプラットフォームは補完的な関係を持つようになった。東南アジアでは、大規模小売チェーンや消費財企業が e コマースプラットフォームと提携する事例が数多くみられる(シンガポールの Miniso、マレーシアの Nestle、タイの BigC など)。このトレンドは2019年も継続するとみられる。

東南アジアの隠れ資産が明るみに

e コマースマーケットプレイスはデジタルのプラットフォームとして、規模を問わず起業家やブランド企業が現地以外の市場、普及が進む一級都市以外の場所にもリーチする手助けをしている。

中流階級消費者に占める携帯世代が増加し、スマートフォン普及率が急速に上昇しているインドネシアのような国では、首都以外の地域に住む消費者の重要性がますます大きくなっている。

インドネシアでこうした人々の占める割合は全人口の約90%だが、ブランド企業の小売戦略では補足的な扱いを受けてきた。

今年は、多くのブランド企業にとって、その補足的な人々が主役に躍り出てくる可能性がある。

しかし商品の流れは一方通行ではない。実際、一級都市以外の地域から誕生したばかりの起業家や中小企業(SME)も、e コマースによって新たな市場機会をつかめることがわかってきた。

インドネシアのバリにいる Ibu Vina さんがその良い例だ。Ibu さんは優れた品質のつけまつげを作っており、小さな店舗で販売していた。しかし生計が厳しく、販売を増やすには歩いて近所の美容院に行くしかなかったため、オフラインでの販売はうまくいかなかった。当初、つけまつげの月間販売数は100セットほどだった。

ところが2017年4月、Ibu さんはオンラインでの販売にシフトすることに決めた。配偶者と協力してオンラインストアを開設したところ、自宅のあるバリ地域以外で、品質が高く手頃な価格のつけまつげを求める巨大市場にすぐさまアクセスすることができたのだ。

今では月間1万セットほどを販売できるようになった。当初比では100倍増だ。現在、Ibu さんの小さなオンライン販売事業では、注文処理に携わる従業員が50人以上もいる。

2019年は e コマース業界にとって、取引を体験できる新たな方法の出現から、オンライン販売を開始するブランド企業にとって重要な役割を果たすプラットフォームに至るまで、変化と成長が期待できる有望な1年となるだろう。

【via e27】 @E27co

【原文】

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