法案成立の原動力となったのは、政府による「Thailand 4.0」またはデジタル政府の取り組みだ。政府のビッグデータ、データセンター、クラウドサービス、ワンストッププラットフォームなど必要とされるインターネットのインフラ処理を監視していくのに、この6本の法律が活用されていくとみられる。
インフラ支援に加えて、ビッグデータ、セキュリティ、データ保護に関して複数の政府機関が重複投資する無駄も省かれる。法案成立を受け、最終的には政府に中央データセンターが創設されることになるだろう。
データ保護法は、タイでは初となる個人情報の保護を定めた法律だ。タイ居住の有無を問わずデータ管理者とデータ処理者に適用され、素性に関わらずタイに住む個人からデータを収集、使用、公表する全ての組織が従わなくてはならない。
同法に関して言えば、タイで操業している、もしくはタイ国民のデータを取り扱っている全ての企業は、新法成立により自社の個人データ処理に際しての指針や手続きを見直さなくてはならなくなる。
すでに成立したデジタル経済社会評議会法に関しては、同評議会が政府と連携して、デジタル技術を活用して社会の公平性を確保するよう定めている。そのため、評議会メンバーには、デジタル事業セクターに加えデジタル製品を扱う企業からの代表者も含まれることになる。
他に成立したデジタル ID 法に関しては、今はモバイルバンキングの新機能導入に向けたテストフェーズ段階にある。
タイ政府は2016年以降、デジタルタイランド計画と併せて Thailand 4.0 を推し進めてきた。中所得国の現状から抜け出し、技術が主導するバリューエコノミーの政府を作りだす準備を進めているところだ。
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