東大、卒業生・在学生向けスタートアップ支援プログラム「FoundX」の起業支援施設をオープン——第1弾は、三菱地所の協力で東京・本郷に

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FoundX について説明する東京大学産学協創推進本部 イノベーション推進部の馬田隆明氏

東京大学産学協創推進本部は、東京大学の卒業生・研究生・学生の起業を支援するスタートアップ支援プログラム「東京大学 FoundX」向けの施設を開設した。第1弾は、東京大学本郷キャンパスの赤門から程近い、本郷7丁目のオフィスビルの地下階。三菱地所の寄付により実現した。東京大学では今後、企業からの寄付を受けて、同種の施設を本郷周辺に複数展開していきたいとしている。

東京大学の本郷キャンパス内には、東京大学に関連したスタートアップ複数社が拠点を置くアントレプレナープラザが存在するが、チームビルディング期や MVP 作成期などプレシードステージにあるチームが活動できる場は十分ではなかった。FoundX の起業支援施設はコワーキングスペースのような内装構成で、起業チーム同士のシナジーや化学反応を狙った環境の構築を狙う。

FoundX をリードするのは、元マイクロソフトのテクニカルエバンジェリストで、現在は東大生がプロダクト開発を行うスペース「本郷テックガレージ」を運営する馬田隆明氏だ。馬田氏によれば、FoundX ではアイディエーション(アイデア探し)のための個人向け 6ヶ月間プログラム「Fellows Program」と、法人登記までの助走期間を支援する「Pre-Founders Program」、アイデア事業化のための9ヶ月間プログラム「Founders Program」を提供予定。Fellows…は東大卒業生・学生・研究者が対象、Pre-Fellows…や Fellows…は、東大卒業生・学生・研究者がチーム内に一人以上含まれるチームが対象となる。

東京大学が運営するさまざまな起業支援関連の活動における FoundX の位置付け。

Founders Program の対象チームには数名までが入室できる個室も与えられるが、1,200万円以上の資金調達が成功したら当施設を出る必要がある、3ヶ月毎にマイルストーンを提示し支援施設内で部屋を移動する必要がある、など、活動を活性化させることを意図していくつかの条件が設定されている。Fellows Program は今月から、また、Founders Program については今年4月から参加チームの募集が開始される予定だ。

海外を見てみると、大学が企業や事業家からの寄付を募り、起業支援のプログラムを開設していたり、スタートアップに施設を開放したりしている事例は少なくない。ハーバード大学の Harvard Innovation Labs、スタンフォード大学の StartX、マサチューセッツ工科大学の Martin Trust Center、オクスフォード大学の Oxford Foundry、トロント大学の ONRamp、清華大学の x-Lab、アルト大学の A Grid、カリフォルニア大学バークレー校の SkyDeck、シンガポール国立大学の BLOCK71Runway & The Hanger など。FoundX の開設は、こういった流れに遅れを取るまいとする東大の決意の表れでもある。

FoundX の施設は利用が東大関係者に限定されるが、この動きに刺激を受けて、他大学でも同じようなスタートアップ支援プログラムが生まれたり、起業支援施設が開設されたりすることを期待したいと語った。

本郷通り、本郷三丁目交差点付近から東大本郷キャンパス方向を臨む。
写真左の文光堂書店の入るビルの地下階に FoundX 1号施設がある。
ANRI の NestHongo や Deepcore の Kernel Hongo など VC の起業支援施設からも近い。
玄関には、Y Combinator の標語としてもお馴染み「Make Something People Want」の文字。
Y Combinator の次は Alan Kay。
Alan Kay の次は Paul Graham。
オープンスペースから玄関方向を臨む。

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