2億ドルの「手数料収益」を敢えてスルー、評価額15億ドル「Chime」が目指す新たなオンラインバンクの形

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ピックアップBank Startup Chime Secures $200M 

ニュースサマリー:米国発のフィンテック企業のChimeは3月5日、2億ドルの資金調達を公表した。DST Golbalがリード投資家として参加した同ラウンドでの評価額は15億ドルで、累計調達額は3億ドルとなった。同社は手数料なしのオンライン銀行を運営しているスタートアップ。昨年3月には100万口座の開設を記録している

今回調達した資金は、プラットフォームにおける利用者のクレジット構築並びに短期貸付のサービス開発に用いられ、モバイル完結型のサービス展開も計画している。

話題のポイント:Chimeは米国ミレニアル世代をターゲットに、その勢力を伸ばしつつあるチャレンジャーバンクです。同社は、既存金融機関が顧客から「手数料」という名で搾取している問題を挙げ、その解決策を提供しています。

同社のブログによれば、米国一般家庭では平均329ドルの「手数料」を金融機関に支払っているそうです。また、2016年度におけるBank Fee Finderのデータによると、旧来の金融機関は平均1500億ドルをあらゆる手段で徴収していると指摘しています。今までATMでお金をおろす、というサービスに対して手数料を金融機関に支払うのは通常であると考えられてきました。

しかし、特にミレニアル世代はこの「手数料」に敏感になってきています。なぜ、自分のお金を手に入れるのに対して手数料が存在するのか。Chimeはまさにそのような需要にこたえた形です。

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Chimeでは最低デポジット額や口座維持手数料などが設けられていません。また、口座がオーバードラフト(マイナス)になった際の手数料もゼロ。非常にユーザーフレンドリーな設計です。加えて特筆すべき点は海外送金手数料すらかからないこと。これは若い世代にとっては大きな利点といえるでしょう。

また、経営者や事業者が給料を手数料なしで前払い可能なサービスを始めるなど、単なるオンラインバンクではなく、そこに付加価値を与えることでメインバンクとして利用する「理由」を作り出しています。

以下は、同社が公開した2017年におけるユーザーデータです。既存の金融機関では費用が必要だったであろうオーバードラフトフィーが合計2億2500万ドルあったと発表しています。ある意味では、Chimeは2億ドルほどの利益をユーザービリティー向上のためにスルーした、とも言えます。

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Credit: Chime Blog

現状公開されているビジネスモデルは、小売店で決済された際にVISAから回収する手数料の1.5%のみです。もちろん利用者が増えればこの収益源も増えるわけですが、2億ドル以上を見込むには事業の横展開が必須となってくるのは間違いありません。

「手数料」という当たり前のビジネスモデルを「ペイン」と見立てて解決し、ユーザーの口座獲得に成功したのがChimeです。今回獲得した資金でモバイル展開を強化するということですが、多くのミレニアル世代を囲った今、次にどのようなサービス戦略を打ち立てるのか注目が集まります。

 

 

 

 

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