治験被験者と製薬会社を結ぶBuzzreach、KLab VPなどから5,000万円をシード調達——マッチングプラットフォームの正式運用を開始

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2019.3.5

Buzzreach と KLab Venture Partners と皆さん
Image credit: Buzzreach

治験被験者と製薬会社のマッチングを効率化するプラットフォーム「puzz(パズ)」や情報提供メディア「smt(エス・エム・ティー)」を提供する Buzzreach は5日、シードラウンドで5,000万円を調達したことを明らかにした。調達完了時期は2018年12月で、リードインベスターは KLab Venture Partners 。なお、この金額の一部には金融機関からの融資が含まれる。

Buzzreach は2017年6月、クリニカル・トライアル、クロエと2つの治験被験者募集会社の立ち上げに共に関わった猪川崇輝氏(現 CEO)、青柳清志氏(現 COO)らにより創業。

製薬会社のグローバル化、ひいては創薬のグローバル化が進む中で、新薬を導入するには各国政府の当局承認が必要になる。そして、この承認に必須となるのが治験と呼ばれる臨床試験のプロセスだ。

新薬の開発プロセス
Image credit: Buzzreach

治験は大きく3つのフェーズに分類され、健康な人への安全性検証(フェーズⅠ)、少数の患者に投与量や方法を検証(フェーズⅡ)、多数の患者に有効性と既存薬との比較検証(フェーズⅢ)を経て、新薬は認可プロセスへと向かうことになる。この中で、フェーズⅠについては、アルバイト情報誌などで広告を目にすることもあるように、被験者は報酬と引き換えに広く募集されることが一般的。一方で、フェーズⅡとフェーズⅢについては、実際に疾病を経験している患者から被験者を募集する必要がある。

ただ、この患者から被験者を募るプロセスは、さまざまな難しさを伴う。まず、新薬で治験しようとする条件に、被験者候補となる患者の症状や条件が合致している必要がある。さらに、その治験を引き受けてくれる医療機関・治験専門医との連携、条件に合致した患者が見つかったとして、その治験を引き受けてくれる同意を得る必要がある、など。十分な症例数が得られないと、製薬会社は試験期間を延長するか、参加してくれる治験実施医療機関を増やす必要に迫られ、新薬開発から市場投入に伴うコストは膨れ上がることになる。

治験における業界図
Image credit: Buzzreach

そこで Buzzreach が提供するのが治験参加者データ管理システムの puzz だ。治験を実施したい製薬会社、治験のプロセスをモニタする CRO(受託臨床絵試験実施機関)、治験が実施できる医療機関情報を有する SMO(治験実施施設管理機関)らが参加でき、約250万人以上の治験希望者データベース、10以上のヘルスケア関連媒体メディア、10以上の患者会や患者団体への治験情報拡散が可能。

さらに、治験情報を必要とする被験者候補に対しては、自分の疾病に当てはまる可能性がある治験情報を検索できるメディア smt を提供している。治験情報については、業界団体である日本医薬情報センターの臨床試験情報サイト「Japic CTI」でも提供されているが、情報が少なかったり、問合せ窓口が無かったりなどの理由から使いやすいものとなっていない。そこで、smt では Japic CTI からの引用情報に加え、製薬会社から提供された独自情報を詳細に公開。被験者候補はヒットした検索結果からアンケートに答えることで、被験募集への参加意思を製薬会社に伝えることができる。

smt
Image credit: Buzzreach

Buzzreach のビジネスモデルは、製薬メーカーから月次で料金を受け取るサブスクリプションによるものだ。創薬の開発パイプラインの数やかけられるコストに応じて、3つの料金体系から選ぶことができる。

KLab Venture Partners がバーティカル SaaS の領域のスタートアップに出資するのは珍しいが、Buzzreach のビジネスモデルでは、製薬会社のその先に患者というコンシューマが存在することも無視できない。データプライバシーに配慮が必要となることは言うまでもないが、Buzzreach は極めて希少価値の高いデータを保持することになるので、データの二次活用により治験以外の情報提供による価値も創出できる可能性があるだろう。

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