購入済みの自宅を投資物件にする「Knox Financial」が目指す”不動産投資の民主化”ーーまずはボストンから

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ピックアップFintech company Knox Financial locks in $1.4 mln seed

ニュースサマリー:ボストンを拠点とするFintechスタートアップKnox Financialは7日、シードラウンドにおいて140万ドルの資金調達を発表した。調達元は公開されていない。

運営するプラットフォーム「Knox Frictionless Ownership Investment」は購入済みの自宅を誰でも投資物件にすることが可能なサービス。今までの不動産投資は富裕層に限定され、閉鎖的だったと主張している。同社サービスを利用すれば、誰でも簡単に自宅を投資物件へと変化させられる。

応募があった物件をKnoxサイドの専門家が評価し、保険証など必要な書類の事務処理、財産管理、賃貸物件としての告知や賃料の支払いなどを一括で請け負ってくれる。また、転居する際に必要な資金についても低金利ローンを斡旋するなど、買い替えプロセスも用意している。

自宅の所有者は新しい家の借り手が支払う賃料から住宅ローンの残債、税金や保険料、プラットフォームの運営費、財産管理や維持費などを差し引いた金額を分配金として四半期毎に受け取ることができる。

同社はサービスを通して不動産投資の民主化を目指すとし、まずボストン市に限定してサービスを開始し、徐々に対応地域を拡大していく予定。

話題のポイント:米国における主要都市での地価高騰は近年注目されています。以下はUrban Instituteが公開した2016年における調査結果です。全米で地元住民が自宅購入に際して、十分な収入を得ていない州・町をワースト順に並べたものになります。

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Credit:Urban Institute

これをみるとボストンはワースト全米5位で、全体の23.5%しか不動産購入に当たり充分な賃金を得ていません。つまりボストン市民の76.5%は不動産購入を満足に出来ない状況下にある、というわけです。

以下は同じくUrban Institute発表の2007年から2017年におけるボストン市街における不動産平均価格の変化を表したもの。中心都市である、Smervilleで89%, Cambridgeで76%, Bostonで61%の価格上昇が10年間に起きています。

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Credit:Urban Institute

Knoxによれば、ボストン市街に住居を所有しており、ここから離れる家庭の多くは自宅を売却してしまう傾向にあるといいます。Knoxはこの間に取って入り、今後も成長が予想される物件を投機対象として管理するべくサービス提供を開始しています。

同社は、不動産オーナーが逐一管理に入ることなく、利益の分配を長期にわたって受け取れる「受け身」な状態にプラットフォームを近づける構想だとしています。

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