Golden Gate VenturesとHanwha Asset Management、東南アジアでシリーズBラウンドの資金需要の空白を埋めるべく提携

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Golden Gate Ventures のメンバー
Image credit: Golden Gate Ventures

シンガポールを本拠とする Golden Gate Ventures は、東南アジアでシリーズBラウンドに投資をしていくため韓国の Hanwha Asset Management と提携したことを両社が20日、共同で発表した。

Golden Gate Ventures はこれまで、シードやシリーズ A ラウンドの投資に概ね特化しており、e コマース事業の Carousell のほか、P2P レンディングの Funding Societies、ネットスーパーの Redmart といった著名なスタートアップを早期から支援してきた。

他方 Hanwha Asset Management は、東南アジアの配車アプリ Grab やアメリカのバイオテックスタートアップの Zymergen といった企業のグロースステージで投資してきたことで知られる。

Bloomberg は匿名関係筋の情報として、両社は共同で2億米ドルの東南アジアファンドを立ち上げ、すでに受託資本を8,000万米ドル確保したと報じている。この報道に関する Tech in Asia からの問い合わせに対し、両社とも回答を控えた。

両ベンチャーキャピタル企業は共同声明の中で、「東南アジアで急成長している中流階級を最大限生かせるテック系プラットフォーム」に共同で投資し、「インターネットのほか携帯電話、技術浸透の加速、オンラインでの消費支出増加」につなげるとコメントした。

主な投資先は、「モビリティ、コマース、物流」といった分野で消費者志向のテック系スタートアップとなる予定。それにより「消費者や中小小売店のロングテール上にあるユニークなデータをとらえ、東南アジア一帯で金融包摂、技術対応のヘルスケアその他新しい革新的な業界にとっての開始地点としての役割を果たす」としている。

過去のシリーズ A ラウンドのトレンドからすると、Golden Gate Ventures と Hanwha Asset Management は「今後2年、あらゆるところで80~110のシリーズ B ラウンド案件があるとみており、この数字が4年以内に倍増するだろう」とコメントした。

投資調査会社 Preqin によると、東南アジアにはシリーズ B ラウンドの投資をテーマとする専門ファンドは2つしかない。これに対して、シードとシリーズ A ラウンドは32、ポストシリーズ B ラウンドは24ある。

さらに Singapore Venture Capital and Equity Association によれば、欧米では平均するとシリーズ A ラウンドを調達したスタートアップの半分がシリーズ B 資金を調達するのに対し、東南アジアのスタートアップの場合は3分の1に満たない。

東南アジアのシリーズ B ラウンド案件がきわめて少ないことは良く知られているが、その要因についてはさまざまな考え方がある。

投資家は見込みのあるスタートアップにアーリーステージで小規模な投資をして、より安全なレイトステージに大規模な投資をするため、シリーズ B ラウンドの資金が不足するという意見がある。その結果、ミッドステージのスタートアップが投資対象から漏れてしまう

投資資金はあるものの、東南アジアのシリーズ B ラウンド案件には「大当たり」する機会が少ないとみられているために、資金が行き渡らないと考える人もいる。

さらには、これは単純に自然な成り行きが表れているケースであり、同地域のテック系エコシステムが成熟していくにつれて、かつてはアーリーステージの投資に割り当てられていた資金がシリーズ B ラウンドに向かっていくだろうとする見方もある

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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