スタートアップが大事にすべき”TrueNorth”とはーーLinkedIn村上氏が語る「変革期に必要な人物」日本マイクロソフトが都内でミートアップ開催 #ms4su

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LinkedInカントリーマネージャー(日本担当)/ プロダクトヘッドの村上臣氏

本稿は日本マイクロソフトが運営するスタートアップインキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」による寄稿転載。同プログラムでは参加を希望するスタートアップを随時募集している

日本マイクロソフトは3月20日、インキュベーションプログラム「Microsoft for Startups」に関するミートアップを開催した。イベントには国内拠点のスタートアップ、VC、CVC、アクセラレーターらが参加し、企業間コラボレーションの加速を図るための議論が交わされた。スピーカーには、LinkedInにて日本のカントリーマネージャー・プロダクトヘッドを務める村上臣氏が登壇し、「変革期に生きる私たちに必要なマインド」という題目で基調講演を披露した。以下は、村上臣氏によるプレゼンテーション内容をまとめたもの。(取材・編集:増渕大志

LinkedInが目指す”Economic Opportunity”というビジョン

LinkedInがMicrosoftに買収されてから2年が経過した。村上氏によれば「LinkedInとMicrosoftが掲げるビジョンは限りなく近い」という。日本におけるLinkedInは、まだまだ転職活動のためという印象が強い。

ただ、LinkedInは転職活動やリクルーティングのみにフォーカスしているわけではなく、ビジョンとして「人と人とを繋げることで、新しい”Economic Opportunity(経済機会)”を作り上げていく」ことを目指しているという。

インターネットは需要と供給のマッチングを得意としています。LinkedInは採用や転職のみのプラットフォームと理解されやすいですが、その根底にはインターネットが進化することにベットした私たちのビジョン“Economic Opportunity”を作り上げていくことがあるのです(村上氏)。

LinkedInには世界から6億人以上のユーザーが集結しており、日本にも200万人ほどのユーザーが”Economic Opportunity”を求めてこのSNSに集まっているという話だった。

情報革命の中で生きるスタートアップとエンタープライズ

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会場には100名以上のスタートアップ経営者などが集まった

さて、今回のミートアップテーマでもある「スタートアップと、エンタープライズ企業の関わり方」について村上氏は、「情報革命 (Information Revolution)」の文脈に沿って語ってくれた。

渦中にいると分かりにくいですが、実は私たちは数年後、“あの時、時代は変わったよね”と言われる革命期に生きています。

例えば、産業革命の時は1900年の時点では馬車が人を移動させる手段でした。しかしそこからたった13年経過した1913年には、辺り一面には車が広がっていたんです。この情報革命のスピードは、産業革命の時よりもきっと早く進んでいくと思っています。

つまり、産業革命時でいえば私たちは今、馬車から車へ変わりゆく13年間の”ど真ん中”を生きているんです(村上氏)。

このスピード感あふれる情報革命のど真ん中に生きているからこそ、ある分野に特化してテクノロジーを極めているスタートアップと、マーケットにおける存在感やグロースさせることが得意なエンタープライズ企業とのコラボレーションが求められていると同氏は語る。

アジアという市場は今、久々に経済やマーケット的な伸びしろが見え始めています。日本のスタートアップが国内市場だけでなく、伸びしろが見えてきている身近なアジアというマーケットにエンタープライズを上手く“利用”すべきです。日本というロケーションで活動している地の利を、最大限利用しない手はないだろう、と思います(村上氏)。

イノベーションを起こすスキルの”実需要”

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では、この情報革命「ど真ん中」にいる企業に求められるのはどういう人物なのか。これに関して、村上さんはLinkedIn特有のデータを生かして次の説明をしてくれた。

横軸は前年比におけるスキルの実需要増加率を表していて、縦軸が市場からの需要です。このデータは、LinkedInというプラットフォームの特質上、ユーザープロフィールと求人データのDemandとSupplyを比較することで導き出すことが出来ました。

一目瞭然ですが「人工知能、ビッグデータ、クラウドコンピューティング」の実需要と需要が突出していますよね。みんな、この市場に飛び込もうとしているけれど、これらのスキルを持ち合わせた人材は圧倒的に市場には少ない、こんなミスマッチが起きてしまっています(村上氏)。

LinkedInではこれら3つのスキルを”ABC”という、ハードスキルと呼ばれるものに分類している。一方、これに対していわゆるマネジメント能力や、パブリックスピーキングなどのスキルはソフトスキルと呼んでいるそうだ。

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昔はいわゆるコーダーはずっとコーディングだけしていることが一般的でしたが、その概念が変わりつつあると思っています。つまりハードスキル+ソフトスキルを持ち合わせたマルチスキルな人材の必要性です。

背景には、その製品を作っている人物が相手と話した方が説得しやすいという点に尽きると思います。加えて、情報革命のスピード感に遅れを取らないために、旧来営業などの仲介的な人物が多くなればなるほどリアルタイムさが失われてしまう。

だからこそ、エンジニアが直接パブリックスピーキングをすることで、リアルタイムにビジネスを進めることの重要性が高まってきているのです(村上氏)。

スタートアップこそ大事にするべき”TrueNorth”とは

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LinkedInにおける企業の”カルチャー

True Northとは行き先を見失ったときに振り返るべきスタート地点や基準値を意味する。スタートアップにおいてそれは「ビジョン」だと同氏は語る。

スタートアップにはお金だけが減っていって、今の事業がワークしているのかもわからないような苦しい時期がたくさんあります。そういう時こそ設立時に決めたであろうビジョンを振り返ることが大事になるんです。

たとえ目先に売り上げがあったとしても一度立ち止まって、それを得ることで到達すべきビジョンへの道のりが遠回りにならないか考えることが大切です(村上氏)。

続けて、ビジョンとミッションの関係性はどうだろうか。村上氏はこう続ける。

ビジョンはあくまで夢なんで、ふわっとしてていいんです。だけど、ミッションはデジタル的に計測可能なものが望ましいです。その区別を設けることで、True Northとしてのビジョンを常に考えつつ、デジタル的にミッションを達成できているか自分たちで計測する(村上氏)。

村上氏はスピーチの最後、「カルチャーをつくり、維持し続けるのは大変。だが、True Northを目指して仲間と挑戦するのは素晴らしい」と自身のスタートアップ経験も含めて会場に集まった起業家たちにエールを送っていた。(取材・写真撮影:増渕大志

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