注目はこの3社、「IoT+SaaSはオープンイノベーションで生き残れ」ーーVCが語る注目トレンドと企業/NTTドコモ・ベンチャーズ マネージングディレクター 浅田賢氏

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本稿はIBM BlueHubによる寄稿。スタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」では2014年の第1期スタートから現在まで、参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現している。第5期のDemo Dayは3月18日に開催される

前回からの続き。IBM BlueHubでは3月18日に開催する「第5期 Demo Day」を控え、プログラムに参加してくれたメンターや卒業生などを中心に、B2B領域におけるSaaSなどのトレンドについてそれぞれの見解を語っていただきました。前半は主にベンチャーキャピタリストによる市場トレンド、後半はスタートアップによる技術トレンドをリレー形式でお送りします。

VCパートのトップバッター、DNX Ventures(旧・ドレイパーネクサス)の倉林陽氏からバトンを受け取るのはNTTドコモ・ベンチャーズでマネージングディレクターを務める浅田賢氏です。(太字の質問は全て筆者。回答は浅田氏)

リレーインタビューでは注目のビジネストレンドをお聞きしています

浅田:純粋なクラウドサービスのみの「B2B SaaS」とは少し視点が異なるかもしれませんが、ハードウェアをフックにサービスモデルで稼ぐB2Bスタートアップの動向に注目しています。

ハードウェアの売り切りモデルについてはその限界が数年前から言われてました。特にIoT(Internet of Things)の概念が出てきてからは徐々に「ハード売り+サービス課金」への理解も進んだように思います

浅田:そうですね。最近では「IoT+SaaS」として認知されるセグメントに成長していると思います。ただこのモデルはまず、ハードウェアを顧客に対して「インストール」するという、ハードルの高さがあります。

初期の投資がウェブ・クラウドベースのスタートアップに比較して重いのも特徴です

浅田:投資サイドとしてこういった多額の初期投資が必要になる領域はやはり手が出しづらくなるのは事実です。一方、近年は多くの事業会社がベンチャー企業との協業を目的に出資や事業提携に積極的になってきています。こういったトレンドのおかげで、いわゆる「死の谷」を超えて事業化に至る可能性も高まっているんです。

IoTモバイル通信を牽引するスタートアップ、ソラコムが登場したあたりから「IoT+SaaS」のトレンドが顕在化した印象があります。同社は創業3年で大型買収されたことでも話題になりました

浅田:オープンイノベーション的な要素もひとつ重要なトレンドだと思います。こういったハードウェアスタートアップの生存確率が高まっているのは、事業会社を中心とするビジネスパートナーとハードウェア投資のリスクを分かち合い、またビジネス開発や営業面でのサポートが得られる環境が整ってきたことも大きいと感じています。

今後2、3年でこれまで地道にビジネスを育ててきたベンチャーがいくつか大きく成長するのではと期待しています。

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具体的に期待している「IoT+SaaS」プレーヤーは

浅田:JR東日本への本格展開が開始になったMamorioのサービスには注目しています。51駅で紛失防止タグを使えるアンテナが設置されたことで大きな話題になりました。この先行事例として米国の遺失物捜索プラットフォームの「Tile」も注視しています。

また、2014年にキックスターターでブレイクしたMoffも同様です。ウェアラブルトイから始まって、現在はヘルスケア領域に狙いを定めたクラウドビジネスに転換しはじめています。

TileもMAMORIOと同じ2012年のスタートアップですね。CrunchBaseをみると累計調達額は5900万ドルで、最近ではBLEチップメーカーと提携して「Tileでハードを検索」という体験を提案していました。ただ、昨年には大型レイオフなどもあってまさに「HARD THINGS」です。この分野でスタートアップする人たちへのアドバイスは

浅田:Proof of concept(POC)が終わった段階で良いビジネスパートナー(時には株主である事業会社)を選ぶことです。その上で役割、リスク負担などを適切に双方が担うビジネスモデル、ビジネススキームを構築することが大切ですね。

ありがとうございました。ではバトンを次に回します

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